【シングル層にもマンション購入の需要がある!!】不動産業界で注目の起業家・中村建治さんが実践する営業視点の「Rethink」とは?#Rethinkパーソン

2022/09/09

社会人ライフ

2012年に、経験のなかった不動産業界に進出し、急成長を遂げた株式会社フィードの代表取締役・中村建治さんに、視点を変えて新たな事業を成功に導く極意について話をうかがいました。

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PROFILE

中村 建治 (なかむらけんじ)

◉――1972年生まれ。京都府出身。2007年に株式会社フィードを創業。2011年、東日本大震災でのボランティア活動がきっかけで、不動産業界に進出する。
◉――「シングル層」に向けたコンパクトマンションの開発・販売事業を展開し、不動産業界参入後わずか5年で、グループ全体で100億円に届く売上げに拡大。2015年よりブランドとのコラボレーションマンションという新たな事業をスタートさせ、現在に至る。

1.すべての根底にあるのは“営業力”への自信

学生の頃に、新聞勧誘のアルバイトではじめて営業という仕事をスタートしました。以来30年以上に渡り営業人生を歩んでいます。株式会社フィードは、ネイルやエステなど美容関係の会社として創業しましたが、不動産事業をスタートさせたのは2012年になります。

不動産業界に進出するきっかけとなったのは、2011年3月11日の東日本大震災。当時、会社の従業員たちとボランティア活動で仙台に足を運んだ際、家を失い、体育館に住むことを余儀なくされている方々を目にして衝撃を受けました。私の家は幼少期からあまり裕福ではありませんでしたが、それでも帰る家は当たり前にありました。それを失くしてしまう絶望感は、計り知れないものだと思います。

仙台から帰る夜行バスの中で、“安らぎが得られる家”を提供することが自分の使命のように感じ、不動産事業をはじめることを決意しました。

当時は宅建業法も知らず、右も左もわからない状態でしたが、「とりあえずやってみなければわからない」という思いがありました。それは、長年数々の業績を跨いだ経験と、扱う商品は違えど、ものを売るという能力に関しては、人より長けているという自信があったからです。

2.「シングル層」というブルーオーシャンを見つけるマーケティング力

不動産業界に進出することを決めたとはいえ、私には従業員たちの雇用を守る責任がありますし、自分のやりたいことだけをやるわけにはいきません。 不動産事業をやるならば、この業界で勝たねばならないという強い思いがありました。そこで重きをおいたのが、マーケティングとターゲティングです。

実需や投資、売買や賃貸と、幅広い領域がある不動産業において、実需用マンション売買にクローズアップしたときのマーケットは三層しかありません。ファミリー層、ディンクス層、シングル層です。

70平米、3LDKほどのマンションを求める“ファミリー層”は、野村不動産や三井不動産など、知名度の高い不動産業者から購入することが多く子供のいない“ディンクス層”には、ライフスタイルにこだわりを持っているので、リノベるやリノコの中古物件が人気でした。つまり、どちらの市場もレッドオーシャンだったのです。

そこで注目したのが“シングル層”です。そもそもこの層には、賃貸マンションにしかマーケットがありませんでした。リサーチしていくと、一都三県に住む25〜40歳までのシングル層は、200万人ほどでした。そのマンションのワンルームの平均家賃は8、9万円となっており、ほとんどが20〜25平米の部屋に住んでいます。この層に向けてワンルームよりもう少し広い、40平米ほどの1LDKのコンパクトマンションを販売すれば、需要があるはずだと考えました。マンション購入の際には住宅ローンが組めますので、今8万円の家賃を賃貸で払っている人も、プラス1、2万円の月々9、10万円くらいでマンションが自分のものになるのです。当時、シングル層はマンションを賃貸するのが当たり前で、購入するという選択肢はほとんどなく、このマーケットだけが大手企業が参入していない唯一のブルーオーシャンだったのです。

シングル層に向けた40平米前後のコンパクトマンションを売るという、マーケティングとターゲティングが功を奏し、初年度から30億の売り上げを達成。2年目には60億、3年目で80億の売り上げに届くまで成長を遂げることができました。

3.有名ブランドとのコラボマンションで認知を獲得

不動産業界では、まだ認知度の低い弊社にとって、次に必要だと感じたのはブランディングです。お客様にマンションを販売するときには、認知度の高さで売れるか売れないかが変わってきます。 例えば、同じ利便性で同じ価格の不動産があったら、多くの人は名前を知っている不動産会社から購入します。そのほうが安心感があるからです。大手の不動産企業は長い年月、何十億、何百億という広告宣伝費をかけて、認知度をあげることで“安心感”を獲得していますが、同じことをうちがやろうと思っても到底無理な話です。

そこでお客様の認知を得るために考えたのが、ブランドとのコラボレーションマンション。最初から広く名前が知られているブランドと一緒にマンションを作れば、「あのブランドのマンションだったら、地震対策もできているだろうし、管理もしっかりしているだろう」という安心感につながると考えたのです。

ただ、コラボレーションを提案したブランドからは、ほとんど門前払を受けました。そして100社ほどの提案から、やっとLVMH「Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton」グループのヘネシーというブランデーのブランドを紹介していただくことができました。


※ヘネシーとのコラボモデルルーム。ブランドカラーのブラック&ゴールドを基調としたシックさがあり、非常に魅力的な内装でした。

ヘネシーはブランドの認知度はありましたが、昭和世代のお酒というイメージがあり、若い人たちへのアプローチに苦戦を強いられていました。そこで、ヘネシーに家飲みが格好良く見える部屋をプレゼンしました。今の世代は昔と違い、家でお酒を飲むことが文化になってきています。これからは家飲みが主流となる時代。その文化を作ったのがヘネシーだとなれば、ブランドにとってのシナジーになると提案しました。2015年にヘネシーとのコラボレーションが実現し、ヘネシーとのブランドマンションの部屋は、全7棟、総戸数240戸は、すべて完売しています。

その後、2019年にはポルシェ、2020年にディーゼルリビングとのコラボレーションも実現できました。弊社のようなベンチャー企業は、大手企業と同じサービスを提供していても事業は成功しません。自分たちしか作れないエッジの効いたものを提供し、「フィードという会社が、こんなに面白いものを作っている」と、知ってもらうことが大切だと考えています。

4.常にアンテナをはって面白いことを探す

世の中の色々なことに興味があるので、常にアンテナをはっています。部下や同業者、異業種の方と話すときにも、何が面白いのか、これはどうなっているのだろうと。日常での発見が、リシンクのきっかけになることも多いですね。

例えば、ブランドマンション事業の構想もそうです。私は旅行が好きで、いろんな国に行ったのですが、ニューヨークの5番街にあるヒルトン系列のセントレジスニューヨークというホテルに、一室だけティファニーの部屋があるんですよ。「ティファニースイート」という名前の部屋で、お部屋全体がティファニーブルーを基調とした洗練されたデザインで、アメニティや小物まで、全てティファニーで統一されています。近隣のホテルの宿泊料の平均は一泊10万円ほどなのですが、この部屋は一泊100万円弱もします。しかも何年も先まで予約が取れないほど人気があるのです。このことがきっかけでブランドのような付加価値に、お金を払うマーケットがあると気づきました。

もうひとつ、きっかけになったのがブランドのコンドミニアムです。マンションデベロッパーとして、一番のリスクは在庫を抱えてしまうこと。マンションが売れ残ることはなんとしても避けたい事態です。そこで、在庫を抱えずにすむビジネスモデルはないかと調べたところ、それもブランドに答えはありました。 今は世界中にブランドのホテルがありますが、コンドミニアムというのはアメリカのフロリダ州のマイアミにしか存在しません。それだけ希少価値があるものなので、ブランドがコンドミニアムを作るとリリースを出せば即日完売します。デベロッパーにとっては、これが一番理想的なケース。売れ残るリスクが少なくないというのもブランドマンションの大きな魅力です。

世の中にはまだまだ「こういうサービスがあったらいいのに」という潜在的なニーズが溢れています。営業とは、マーケットがないところに自分で新しい道を築いていくこと。こういうのがあったらいいのにという声は世の中に溢れているけど 、実際にマーケットを作るには、思いつきやひらめきといったクリエイティブな面だけではなく、そこに裏打ちされる努力や熱意が必要になってくると思います。

4.フレッシャーズは仕事のインナーマッスルを鍛える期間

武道や茶道などで修業の段階を示すのに、“守破離”という言葉があります。「守」「破」「離」のなかでも、フレッシャーズのうちは、師の教えや技を忠実に守り、確実に身につける「守」の段階がとても大事。例えば、野球部でもサッカー部でも最初の頃は、グランドの砂をならすだけで、いつになったら練習できるのだろうと思うかも知れませんが、その間に足腰が鍛えられるかもしれません。目の前のことだけではなく、もっと長い目で自分のためになっているかを考えてみてください。私自身も、経験のない不動産業界で通用したのは、30年以上、営業の「守」のようなものを忠実に守り、培ってきた経験があるから。若いうちはどうしても成功体験に目が向きがちですが、角度を変えて、今やっている地道なことも未来に繋がっているという視点を持ってください。

社会人2、3年目までは社会における自分のインナーマッスルを鍛える期間と思ったほうがよいでしょう。どんなスポーツをするにも、インナーマッスルは重要です。仕事も同じで、自分が将来何を成し遂げたいかまだ明確でないうちには、体幹を鍛えておきましょう。ブレない体幹さえ手に入れれば、いつか確実にやりたいことができるはずです。


取材・文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
取材協力:株式会社フィード
https://fido-co.com/

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