将来に備えるための年金制度には、公的な年金制度と私的な年金制度の両方があり、私的な年金制度はさまざまです。その1つに企業型確定拠出年金という制度がありますが、この記事では制度の概要について解説します。
(監修協力:野原 亮)
「企業型確定拠出年金」は、掛金を出すのが企業であり、その運用を行うのは従業員個人であることが最大のポイントです。
個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)では掛金を拠出するのも運用するのも個人ですが、企業型確定拠出年金では掛金を企業が負担してくれます。しかし、それを運用するのは従業員であり、運用の結果、退職金や年金の額が変動するのは従業員の自己責任ということになるのです。
掛金の額は会社での役職などに応じて決まりますが、上限額は以下のように決まっていますので、この上限額を超えて掛金は拠出されません。
企業型確定拠出年金は、企業によって従業員が自動的に加入する場合と、加入するかどうかを選べる場合があります。iDeCoと同じく、原則として60歳になるまで積み立てた年金資産を引き出すことはできませんが、一時金(退職金)として受け取るか、年金の形で受取るかを選べます。
企業が拠出する金額だけではなく、もっと掛金を増やして運用したい、という場合、従業員が上乗せで掛金を拠出して運用する「マッチング拠出」という制度があります。
ただし、この制度を採用しているかどうかは企業によりますので、総務・人事などの担当部署に確認してみましょう。
また、マッチング拠出に関しても掛金の上限額が以下のように定められています。
つまり、他の企業年金の併用がない場合に、マッチング拠出を利用したとしても月額の上限額は、通常の企業型確定拠出年金の掛金と合計して55,000円ということになります。この点に注意しましょう。
企業型確定拠出年金には、以下の3つの税制優遇措置があります。
※年金残高に対し特別法⼈税(1.173%)がかかりますが、現在課税凍結中のため非課税
例えば、一般的な金融商品を運用した場合、その運用益に対しては約20%の税金がかかります。それが全額非課税となるのは非常に嬉しいポイントです。
また、マッチング拠出で自分が拠出する分の掛金は全額所得控除の対象となることから、所得税や住民税の負担を軽減することができます。
企業型確定拠出年金とは、企業が掛金を拠出し、従業員個人が運用する私的年金制度です。運用の結果、資産がうまく増えるかどうかは自己責任ですが、得た利益が全額非課税になるなどメリットも多い制度です。
(学生の窓口編集部)
監修協力:野原 亮(のはら りょう)
確定拠出年金創造機構 代表。証券営業、株式ディーラー、営業マーケティング会社を経てFPとして独立。中小企業の確定拠出年金を中心とした福利厚生の社外担当として活動。上場企業等の金融研修なども担当している。
https://fpsdn.net/fp/rnohara/
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