退職・転職でiDeCoから移換・iDeCoへ移換する必要があるケースを紹介

2020/09/02

税金・年金

個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)は、将来への備えとして自分で積み立てられる年金制度です。公的な制度ではありませんので、退職や転職の際に発生する手続きは自分で行わなくてはなりません。どのような場合に移換しなければならないのか、どのような手続きが必要なのかについて、詳しく見ていきましょう。
(監修協力:鈴木幸子)

退職・転職の際にiDeCoを移換する方法

iDeCoに加入していた場合の各種年金への移換について

iDeCoに加入していた後に、就職先で企業型確定拠出年金に移換する場合、加入者資格の喪失及び、資産移換の手続きが必要です。

まず、iDeCoの「加入者資格喪失届」に「加入者の資格を喪失した理由、喪失年月日」を証明する書類を添付し、運営管理機関に提出します。資産移換の詳しい手続きは、転職先の人事や労務担当者に確認しましょう。

転職先の企業型確定拠出年金規約でiDeCoへの同時加入が認められている場合は、引き続きiDeCoの加入者として掛金を拠出できる場合もあります。この場合は、国民年金の被保険者種別や登録事業所の変更手続きが必要です。

転職先に確定給付企業年金の制度がある場合は、規約で「確定拠出年金の個人別管理資産を受け入れることが可能」と定められている場合のみ、iDeCoから確定給付企業年金へ移換することができます。移換できるかどうかは、転職先の企業に確認しましょう。

企業型確定拠出年金からiDeCoに移換する場合

企業型確定拠出年金に加入していた人が、その制度のない企業に転職した場合や、役員就任などでその対象者ではなくなった場合、退職して国民年金の第1号・第3号被保険者になった場合には、企業型確定拠出年金の加入者資格の喪失および資産移換の手続きを行います。

その後、iDeCoへの加入申出の手続きを行えば、個人型確定拠出年金の掛金を拠出することができます。

厚生年金基金、確定給付企業年金からiDeCoに移換する場合

厚生年金基金や確定給付企業年金に加入していた人がiDeCoに加入したい場合、以下の要件を満たせば厚生年金基金や確定給付企業年金の脱退一時金に相当する額をiDeCoに移換できます。

  • iDeCoの加入者であること
  • 厚生年金または確定給付企業年金の脱退後、1年以内に移換元の厚生年金基金または確定給付企業年金に移換を申し出ること

つまり、加入申出を行った後、資産移換の手続きという順番で行います。まずはiDeCoで選択した運営管理機関に加入申出の手続きを行います。次に、移換元の厚生年金基金または確定給付企業年金から証明を受け、運営管理機関に提出します。

企業年金連合会からiDeCoに移換する場合

企業年金連合会の場合も上記の厚生年金基金や確定給付企業年金と同じように、iDeCoへの加入申出と資産移換の手続きを順に行えば、年金給付等積立金をiDeCoに移換できます。ただし、こちらは期限が3ヶ月以内と短いですから、移換を希望する場合は早めに手続きを行いましょう。

自動移換のデメリットについて

もし、企業型確定拠出年金に加入していた人が上記のような手続きを行わなかった場合、その資産は国民年金基金連合会に自動移換されます。この場合には、「資産の運用が行われない」「手数料が増えてしまう」「自動移換中の期間は、通算加入者等期間に算入されない」といったデメリットが生じます。

具体的には、以下のような自動移換の手数料がかかります。

  • 特定運営管理機関へ→3,300円
  • 国民年金基金連合会へ→1,048円
  • 自動移換されている間の管理手数料→52円/月

つまり、最低でも4,400円の手数料がかかることになります。最も手数料がかかる脱退一時金の受け取りの場合でも4,180円の手数料で済むところを、自動移換するとさらに大きな負担が生じます。移換手続きは忘れずに行いましょう。

まとめ

iDeCoは個人型確定拠出年金ですから、転職や退職によって加入する場合、または移換する場合には自主的な手続きが必要です。自動移換では手数料が増えてしまうなどのデメリットがありますので、忘れずに行いましょう。

(学生の窓口編集部)

監修協力:鈴木幸子
2010年よりFP活動を始め、子育てファミリーの家計相談、住宅購入相談を実施。フジテレビLive it Newsでコメンテーターを務めるなど、地元金融機関、住宅メーカーでの講演実績を持つ。保有資格AFP・証券外務員2種・相続診断士。
https://www.gyl-h.com/

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