起業を考えている学生はもちろん、企業に就職する場合、フリーで働く場合でも、自身の考えを持ち、積極的にビジネスに関わっていく姿勢は重要です。ではその「起業家精神」を手に入れるためには、日ごろからどんな意識を持つ必要があるのでしょうか?
「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2019」のイベント内で9月21日に行われたMeet-Upセッション 「学生だからできること 〜令和の起業家精神〜」にて、プロボクサーとして実績を積み上げてきた村田選手と、各方面で活躍を見せる現役学生、若手社会人が意見を交わしました。
目次
1.一歩踏み出す「恐怖」にどう立ち向かう?
2.コミュニティが恐怖を乗り越える手助けになる
3.やりたいことを形にするには環境が大事
4.人との出会いやインプットが、思いもよらなかった答えを生む
岡さん:本日モデレーターを務める岡です。テレビ東京でプロデューサーを務めているほか、城西国際大学で教鞭もとっています。まずは、自己紹介から始めましょうか。
村田さん:プロボクサーです。実はボクサーになる前は大学の職員で、学生部で5年ぐらい働いていたました。
山羽さん:城西国際大学メディア学部の4年生です。
主な活動としては「渋谷未来デザイン」の学生パートナーをしています。その他にも今回の『SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA』の学生企画の取りまとめなど、様々なイベントに携わっています。
小西さん:慶應義塾大学2年です。
「人を動かすジャーナリズム」をテーマにドキュメンタリー映像・写真に加え、取材道中の出来事や取材裏をInstagramを中心にSNSで発信しています。
北原さん:株式会社Makuakeというクラウドファウンディングのプラットフォームで働いています。
僕は学生ではないんですが、クラウドファウンディングというプラットフォームを通じて、多くの学生が想いをカタチにしていることを知っていただきたくて今回参加しています。
キャンパス・ライフをより良くするアイデアの実現とイノベーター育成を目指す学生対象のプログラム「Red Bull Basement University」では審査員も務めています。
田村さん:Slush Tokyoというスタートアップ系カンファレンスの運営をしています。
グローバルでかつオープンなコミュニティ形成と起業精神の応援をして日本を盛り上げていこうという目的で運営されているコミュニティです。
岡さん:今回のテーマは「起業家精神」ですが、起業はもちろん、独立、プロアスリート、世界でジャーナリストとして働く…すべてに共通するのは「恐怖と戦う」ということだと思います。
みなさんは自身の挑戦のなかで、どうやって恐怖を乗り越えてきましたか?
北原さん:共通していたのは「ワクワクすることしかやりたくないよね」ってことでした。ワクワクすることをどんどんやっていきたいっていう気持ちのほうが、恐怖を乗り越えなきゃって思いより大きかったです。
山羽さん:恐怖の先にあるワクワクが見えているからこそ、頑張れるんですよね。
私にとっては自分がやりたいと思ってやったことが周りに妬まれ、僻まれ、萎縮してしまうことが恐怖ですが、その結果、自己実現ができなくなって、自分が自分でなくなることのほうがもっと怖い。
自分の人生なんだから楽しまなきゃ損だなって思えたからこそ、吹っ切れましたね。
村田さん:恐怖って目に見えないからこそ怖いわけで、可視化してあげることが大事なわけです。
例えば僕の場合だと、密室でマイクタイソンと対戦するってなったらぜひやってみたいですけど、みんなの前で戦うのは嫌。つまりは人からどう見られるかが恐いんです。
そうやって恐怖を見えるようにするのが大事だと思います。
小西さん:僕はちょっとみなさんと違って、ワクワクでは超えられないものに出会う瞬間もあります。そんなときはプライドで打ち勝ってますね。
「できなかったときの自分」を愛せなくなることのほうが怖いから、動くと言う感じです。
岡さん:ジャーナリストの小西さんは、組織に所属せずSNSを活用して活躍されていますよね。就職でもなく、起業でもない道を進むことができた原動力は何なんでしょうか?
小西さん:うーん……僕は失敗しても帰る場所があるから、恵まれていると思います。だから挑戦できるんですよね。そういう意味でも周りの環境って大事で、帰れるコミュニティがあることが大事だと思います。
北原さん:コミュニティは重要ですよね。今日の登壇者みたいにやりたいことがしっかり定まっていれば自分自身で進めるけど、そうじゃない人にも支持者が見つかって、一歩後押しすることができるコミュニティがクラウドファウンディングだと思っています。
僕自身はそんな彼らをリスペクトしながら、起業家精神を忘れず、同じ立場から後押ししたいと思っています。
ただひとつ付け加えておきたいのは、起業したら偉い……みたいな風潮にはしたくないということ。「自分の中でそれが一番ふさわしいと思ったから起業する」っていうのがいいと思いますね。起業は自分がやりたいことを達成するための手段でしかないですから。
岡さん:田村さんはSlush Tokyoという国内最大のグローバルスタートアップイベントに関わっていらっしゃいますが、長年コミュニティに所属してきたなかで、感じる変化はありますか?
田村さん:ここ5年で変わったのは、クラウドファウンディングや企業、スタートアップという言葉が当たり前になって、方法を見つけたらなんでもできる時代になったことですね。
手段はいくらでもあるので、そこで実際にやりたいことを形にするためには、やはり環境が大事だと思います。
周りに起業などの行動を起こす人が多くいるSlushみたいな場所だと、行動に出やすくなるというか。成功したら喜びを分かち合えるし、ちょっとつまづいても仲間に相談できるし、コミュニティに帰ってくることによってエネルギーがチャージされる感覚があります。
岡さん:最後に、起業家精神を身に付けたい学生に向けてメッセージをお願いします。
山羽さん:ちょっとでも気になったことをやってみるのが大事なんじゃないでしょうか。私自身、きっかけは本当にちいさなことでした。世田谷区の区報を作ったのがきっかけで渋谷未来デザインの人と知り合ったので。
田村さん:イベントに行って多くの人と話すのが良いと思います。人に会ってインプットとアウトプットを繰り返せば、日々考えていることもどんどんアップデートされていくんですよね。その中で、自分がやりたいことのヒントも見つかると思います。
北原さん:自分の喜怒哀楽に敏感になることですね。
弊社のクラウドファウンディングでフルーツ焼酎を作ったある女性も、「フルーツとの組み合わせなら焼酎を美味しく飲める!」っていう喜びがスタート地点でした。
今の時代は豊かだからこそハングリーさを忘れがちで、だからこそ自分の感情に気づく訓練が必要かなと思います。
小西さん:自分が好きなことをたくさんやることをおすすめしたいです。恋愛と同じで、本当に愛せるものを見つけるためにはたくさん好きなことをやって、感覚を掴んで、本当に心から好きになれるものに出会う必要があるのかなと。
村田さん:田村さんが言ってくれたように、知識ってインプットだけじゃ本当にダメで、人と話すなかで思いもよらなかった答えが出てくるんですよね。
カンバセーションの内容が良ければさらにアウトプットの質も上がっていくと思うので、きょう登壇している4人のように、多くの人と会って話していくことは大事だと思います。
Red Bull Basement University
学内に変化を起こす大学生が持つ革新的なアイディアの実現と次世代のイノベーター育成を目的としたプログラム。アイディアを持つ学生であれば誰でもチャレンジ可能。アイディアをカタチにする過程や経験で学んだ学生の将来に翼をさずけることを目的としている。https://www.redbull.com/jp-ja/projects/red-bull-basement-university
SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(2019.9.11-2019.9.22)
渋谷〜原宿〜表参道エリアを中心に、多拠点でカンファレンスや体験プログラムが開催される都市回遊型イベント。2019年のテーマは 『NEW RULES. 〜新しい価値観〜』。
文・写真:フレッシャーズ編集部
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