最近では耳にする機会も少なくなった、「すこぶる」という言葉。「今日はすこぶる気分がよい」というように使われたりもしますが、実は正反対の二つの意味を持つ、ちょっと変わっためずらしい言葉なのです。今回は「すこぶる」の意味や使い方についてご紹介します。
「すこぶる」は、「すこ」と「ぶる」の二つの文言が組み合わさってできた言葉です。「すこ」は「少し」のもとになった言葉で、「少ない」「ちょっと」といった意味があります。「ぶる」は、「○○ぶる」から来た言葉で、現在でも「大物ぶる」「大人ぶる」などの使い方をされています。二つを合わせて「少し」+「○○ぶる」ですから、もともと「すこぶる」は「やや」「少し」「軽く」といった意味でよく使われる言葉でした。ところが中世以降になって、「非常に」「はなはだしい」「おびただしく」といった、反対の意味も持つようになります。そのため「すこぶる」は『広辞苑』でも下記のように説明されています。
すこぶる【頗る】
(1)やや多く。少しく。やや。軽く。
(2)おびただしく。はなはだ。よほど。
(『広辞苑 第六版』P.1497より引用)
なぜ(1)の意味から、正反対の(2)の意味を持つようになったのかは、実はよくわかっていません。ただ、「すこぶる」は漢文を訓読するために使われる言葉だったので、そこで解釈間違いが起こり、それが一般化したのでは? と考えられています。
現在では「すこぶる」は(2)の意味で使われるのが一般的です。つまり「大いに」「かなり」「非常に」「はなはだしく」「おびただしく」などの意味で使われているのです。
少し時代がかった言葉ですので、現在ではあまり使用されませんが「すこぶる」を使った例文をいくつか挙げてみましょう。
・A社から横やりが入ったが、すこぶる迷惑な話だ。
・「最近体の調子はどう?」
「すこぶる好調だよ」
・業績がいいので社長はすこぶる上機嫌だ。
・100歳という年齢を感じさせない、すこぶる元気なおばあちゃんだね。
・昔のおもちゃだが保存状態がすこぶるいいので驚いた。
「すこぶる」は「かなり」「非常に」などの意味の「副詞」ですので、英語では「so」や
「very」といった単語に相当すると思われます。
・すこぶる良い ⇒ so good
・すこぶる良い ⇒ very good
・すこぶる悪い ⇒ so bad
・すこぶる悪い ⇒ very bad
また「すこぶるいい」は「very good」とも表現できますね。
・すこぶる好調だよ
⇒ It is quite good.
・すこぶる好調だよ
⇒ It is pretty good.
というふうに「quite」「pretty」も「すこぶる」の意味で使えるようです。
「すこぶる」は、「少し」「やや」と「かなり」「非常に」という、二つの意味を持った珍しい言葉です。ただし、現代では「すこぶる」というと、後者の意味で使うのが一般的になっています。「すこぶる」は、正反対の意味を持つ興味深い「副詞」なので、教養として覚えておくといいかもしれませんね。
(高橋モータース@dcp)
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