証憑の意味は? 正しい使い方を例文付きで解説

更新:2022/08/29

ビジネス用語


みなさんは「証憑」という言葉をご存知でしょうか? 「はじめて見た!」「読めない!」という人も多いのではないでしょうか。「証憑」は(しょうひょう)と読みます。普段はあまり使うことがないかもしれません。しかし、ビジネスシーンでは重要な役割を持った言葉です。この機会に覚えておくようにしましょう。

証憑の意味は?

「証憑」(しょうひょう)とは「取引の成立を立証する根拠」のことを指す言葉です。

あるいは「事実を証明する根拠、よりどころ」と言い換えることもできます。主に会計・経理の分野で用いられる言葉なので、普段事務的なことに関わりのない人にとっては「何のこっちゃ」かもしれませんね。漢字もとても難しいので、正しく書ける人は少ないのでは。

経理といえば、ビジネス上で売った・買ったなどの「取引」があると、それを帳簿に記録していく仕事であることはイメージしやすいでしょう。ですが、ただ会計ソフトに記録するだけだと証拠がないため、本当に買った・売れたのかを後で確認することができません。

そこで、取引の根拠として必要となるのが「証憑」です。分かりやすいところでは、モノを経費で買う時にもらっておく「領収書」がそれに当たります。領収書をきちんととっておけば「いつ、何を、いくらで買ったか」証明する根拠になってくれるでしょう。

このように、証憑は会計取引の正確性・真実性を証明するために、とても重要な役割を果たしています。経理ではこの証憑をよりどころとして、正しく帳簿に記録していくことが求められているのです。

証憑書類とは?どんな種類がある?

証憑は書類(書類データ含む)として提示されるものですから、「証憑書類」とも呼ばれます。つまり「証憑」と「証憑書類」はほぼ同じ意味で用いられています。先ほど一例として「領収書」を挙げましたが、ほかにどんな証憑書類があるかご紹介します。

社外取引の「証憑」
発注書・注文書・商品受領書・契約書・請求書・領収書・レシート・小切手および小切手控・借用証書など

社内取引の「証憑」
出荷指図書・入庫伝票・出庫伝票・指示書・口座の通帳・立替精算書など


「証憑書類」は、主に経理部の担当者が管理しているケースが多く、経理を担当する人は「証憑書類」の重要性や役割を正しく認識しておく必要があります。

証憑はメールでもやり取りできる?

最近では急速にペーパーレス化が進み、クレジットカード明細などもメールでお知らせ→webやアプリで確認、といったスタイルが増えてきました。では証憑はどうでしょう。メールでもやり取りができるのでしょうか。

答えは、Yesです。証憑はメールにて、PDFなどのデータでやり取りすることが可能となっています。むしろ国の方針として、データでのやり取りを推進している流れとなっています。

ただし、注意しなければならない点があります。領収書や請求書など、証憑にあたるデータをメールでやり取りした場合、「電子帳簿保存法」という法律上の『電子取引』に該当します。法律ではこの電子取引に関して、データ保存義務などを明確に定めているのです。

●メールでやり取りする際のポイント

・令和6年1月から、定められた保存要件に従った電子データの保存が必須
・令和5年12月31日までは、従来通りプリントアウトしておき、税務調査の際に提示できるようになっていればOK(経過措置)

つまり、令和6年からはプリントアウトした書類ではなく、電子データとしての保存の方が必須になる、ということです。それも単にメールボックスに保存したまま、というのはNG。

●電子データはどのように保存する必要がある?

・改ざん防止のための措置をとる
・「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
・ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける

といった要件が設けられています。この法律をふまえて、会計ソフトの方では証憑アップロード機能などを充実させているところが多いようです。これからは「証憑はデータで保存」が当たり前の時代となっていきそうですね。

証憑の保存期間について

「証憑書類」の保存期間は原則7年とされています。たとえば法人の領収書の保存期間は7年、個人の場合は5年というのが一般的です。現金出納帳の保存期間は7年です。帳簿の保存期間は税法で規定されています。

証憑関連ワードの意味と読み方を一挙紹介

証憑関連ワードの意味と読み方

証憑という言葉は漢字が難しいため、それだけで難しいイメージですが、さらに漢字が追加されてさまざまな形で使われます。主なものをピックアップして意味と読み方をご紹介します。

証憑突合

●読み方
⇒しょうひょうとつごう
●意味
⇒証憑と他の内部資料を照らし合わせて、「本当に取引が実在したのか」「正しく記帳されているか」「証憑そのものに不審な点はないか」などを確認すること。会計監査の際に行われる業務の1つです。

証憑添付

●読み方
⇒しょうひょうてんぷ
●意味
⇒会計伝票などの書類に証憑をつけ添えること。紙ベースなら証憑を一緒に添えることを指します。データなら会計ソフト上でアップロードする「証憑添付機能」が出ています。

証憑台紙

●読み方
⇒しょうひょうだいし
●意味
⇒証憑書類を貼り付けて保存するための台紙のこと。会社により所定の台紙が決まっている場合があります。領収書などの証憑は大きさがまちまちなので、台紙に貼り付けることによってファイリングが楽になります。

証憑画像

●読み方
⇒しょうひょうがぞう
●意味
⇒証憑のデジタル画像のこと。もともと紙だった領収書などをスキャンすることで、画像にしてから会計ソフトなどに保存するといった方法があります。

証憑の使い方を例文で解説

証憑の正しい使い方を例文付きで解説しましょう。

●設備や装置が正常であることを承認して検収書を発行したことは、確かな「証憑」となった。

●取り交わした契約文書などがインターネットで簡単に検索できる時代だ。だからこそ、証憑管理に関するコンプライアンスを強化する必要があるだろう。

●今回パソコンをネットで購入したのですが、どんな証憑をつけたらいいですか。

●「証憑」とは経理処理のための証憑性を担保する請求書や領収書を指す言葉である。

まとめ

証憑の正しい意味、メールでやり取りする際のポイント、証憑を使った例文などを解説してきました。「証憑」は普段の生活で使うことはあまり考えられません。しかし経理を担当する事務業務ではよく使う言葉なので、意味をしっかり理解しておくようにしましょう。漢字は難しいですが、社会人になれば立替金精算などで一気に身近に感じられるようになりますよ。

文:マイナビ学生の窓口編集部

<参考資料>
国税庁「電子取引関係」


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