「世帯主」は、社会人になるとたびたび目にすることになる言葉。年末調整の際に「これは誰?」と困ってしまうこともあるかもしれませんね。特に一人暮らしをしていると、誰なのか分からなくなってしまうことも。
今回は、この「世帯主」の意味や確認方法について解説。そして特に迷いやすい一人暮らしの際の「世帯主」の扱いや、住民票の項目の書き方についても解説していきます。
「世帯主」とは、広辞苑 第六版によれば、
世帯の中心となる者
(引用:広辞苑 第六版 P.1569より)
となっています。また「世帯持ち」は「一戸を構えて独立の生計をたてること。また、その人。」を表します。
このことから、親元から独立した生計を立て、一人暮らしをしている人は「世帯持ち」であり、「世帯主」ということになります。一人暮らしでも立派な世帯主、というわけですね。
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「世帯主」とは、世帯の中心となる者であることが分かりました。ではそもそも「世帯」というのが一体何なのか、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。
厚生労働省が実施する「世帯動態調査」の中にある用語集によれば、
世帯の定義は国勢調査と同じであり、調査日(7月1日)現在、住居と生計をともにしている人々の集まり、または独立して生計を営む単身者をいう。
(引用:厚生労働省「世帯動態調査」用語の解説)
となっています。つまり1つの住居で生計をともにしている家族というのが、世帯として最もイメージしやすいものでしょう。
そして実家を離れ、一人暮らしをしている場合も1つの独立した世帯です。一人暮らしをするあなたの世帯は1人で構成されていますから、当然に「世帯主」はあなた自身、ということになるわけです。
ここまで「世帯」や「世帯主」の基本的な意味について解説しましたが、これらは住民基本台帳法という法律に基づき、役所の住民票でしっかり管理されています。
第六条 市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。
(引用:e-GOV法令検索「住民基本台帳法」)
住民票を見れば世帯の構成員も分かりますし、世帯主が誰になっているかというのも確認することができます。住民票が「世帯主が誰か」を公的に証明する書類、ということですね。
そしてこの法律では、転入(新たに市区町村内に住所を定めること)をした者は、転入をした日から14日以内に「転入届」を市区町村に提出しなければならないとされています。基本的に社会人として一人暮らしを始め、住所を移そうとする場合には住民票も移すことが義務づけられている、ということなのです。
実際に一人暮らしで住民票を移す場合、もともと住んでいた方の役所で「転出届」、新しく住む方の役所では「転入届」を書いて提出することになります。
この時に「世帯主」をどう書くかですが、前述のとおり世帯主はあなた自身になります。そこで、具体的な書き方としては、
このように書けばOKです。書式は市区町村によって多少異なりますので、もし分からない時には窓口の方に確認されると安心です。その後住民票を取得したい時にも、もちろん世帯主のところはあなた自身の名前を記載しましょう。
ここまで、一人暮らしにあたり住民票を移す場合を想定して解説しました。ですが実際は住民票を移さずに実家のままというケースもあるでしょう。
前述のとおり、住所を移したら住民票も移すことが法律で義務づけられています。ですから住民票を移していないということは、厳密には住所は実家のまま、ということになります。
すると「世帯主」の方も今までどおり、実家での世帯主となります。父や母のケースが多いですが、3世代同居の場合は祖父などの場合も。心配な場合は事前にご家族に確認しておくと良いでしょう。
ちなみに、住民票上の住所とは別のところにアパートを借りている、というような場合、「居所(きょしょ)」という言葉が使われます。あくまで住所は〇〇にあるけれど、体だけ△△に居るといったイメージです。単身赴任など、生活の拠点はそのままにしたい時に、住所を移さずに居所を設けることが多いです。
*もっと詳しく*
前述のとおり、住民票が「世帯主が誰か」を公的に証明できる書類となることから、世帯主を聞かれたら住民票上の世帯主を答えるのが一般的です。ですが政府の各種統計調査などでは、住民票上の(名目上の)世帯主に関係なく、実態に即した世帯主の方を指すこともあります。
例えば一人暮らしで住民票を移していなかったとしても、1人で1戸を構えて暮らしていれば世帯主と判断します。こうしたケースもありますので注意が必要です。
「世帯主」といえば、年末調整の時に「はて…?」と困ってしまう方が多いのではないでしょうか。年末調整の書類の中には「世帯主の氏名」「あなたとの続柄」を書く欄がありますね。
一人暮らしで住民票を移していない場合、年末調整での世帯主も先ほどと同様、実家の情報を記載します。
ちなみに住民票を移している場合の書き方はこうなります。
最後に、同棲をする場合の世帯主について触れておきます。
同棲をする場合の世帯主も、基本的には住民票上の世帯主をベースに考えていきます。住民票を移すかどうかは、2人の実情や今後の方向性によって判断が分かれるところです。
1.結婚を前提とするなど、本格的に生活の拠点を移す場合
・2人そろって新居へと住所(住民票)を移す
・2人のうち一方が「世帯主」もう一方が「未届の妻(夫)」または「同居人」となる
1は結婚を前提とした本格的な引越しというパターン。何らかの事情で結婚はこれからだが、本格的に新居を構え、そこで婚約者との新生活をスタートするイメージです。
2.結婚は未定だが、本格的に生活の拠点を移す場合
・こちらも新居へと住所(住民票)を移す方がベター
・同じ住所で2人とも「世帯主」として届け出ることも可能
2は結婚の話までいっていないが、本格的に実家を出て長期目線での同棲生活を始めるというパターン。遠方から上京するケースも多いかもしれません。
この場合の世帯主は1と同じでも良いのですが、職場から住民票の提出を求められた時に同棲の事実が発覚する恐れも。まだ結婚も未定ということなら、最初から2人とも世帯主として届け出ることも可能です。
3.結婚は未定で、まだ実家を拠点にしておきたい場合
・生活の拠点は実家のままにして、住所(住民票)は移さない
・世帯主は実家での世帯主(父・母など)となる
3はまだ色々なことが未定で、不確定要素が多い同棲のパターン。例えばケンカして実家に帰った、仲直りして元に戻った、という度に住民票を移すのは現実的ではありません。また週末に頻繁に実家を行き来するなど半同棲のような形も考えられます。
そんな時は、あくまで生活の拠点は実家としておくと良いです。住所(住民票)は移さないため、世帯主はこれまで通り実家の世帯主となります。
「世帯」「世帯主」の意味や、一人暮らしをする時の「世帯主」の扱いなどをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。公的文書で「世帯主」「続柄」を記入しなければならないときは、自分の住民票がどこになっているのかを基準に考えればいいのです。
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