アライアンスとは、ビジネスシーンでは主に「業務提携」という意味で使われています。
ただし、一口にアライアンスといってもその中身はさまざま。業務提携にも種類があるため「どんなアライアンスなのか?」を文脈の中から読み取っていくようにすると、より深く理解することができるでしょう。
ここでは、アライアンスの意味や種類、使い方がわかる例文、そしてメリットデメリットも解説。混同しやすいM&Aとの違いについても取り上げます。
▼目次
1.「アライアンス」の意味とは?
2.アライアンスが意味する提携の種類
3.アライアンスとM&Aとの違い
4.アライアンスの使い方
5.アライアンスの使用シーンがわかる例文
6.アライアンスのメリット・デメリット
7.まとめ
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「アライアンス」(alliance)とは、もともとの英単語としては「同盟」や「縁組み」を意味しています。
カタカナ語としてビジネスシーンで使用される場合は、異なる立場にある企業同士がお互いの利益となるように協力し合う体制や経営スタイルのことを指します。
つまり、複数の企業がそれぞれWin-Winの関係になるように手をつなぐイメージです。
日本語では「同盟」のほか「提携」や「連合」といった言葉に言い換えてみると分かりやすいのではないでしょうか。
「アライアンス」は、企業間の資本関係の有無や提携の形式に関わらずに使用することができる言葉です。
そのため、会話や文面で「アライアンス」という言葉が出てきたとしても具体的な形態までは分からない、といったことも多いです。
「ミスアライアンス」とは、アライアンスに失敗したことを指しますが、もともとの意味は「不釣り合いな結婚」のことです。
身の丈の合わない者同士の結びつきは破綻しやすいとも考えられますね。
単に「アライアンス」とだけ使われた場合、それがどういった提携なのかはなかなか分からないものです。
具体的な内容については会話の中でもう少し聞き出してみるか、さらに詳しく知りたい場合は改めて企業が公表する内容を調べてみるといいでしょう。
「アライアンス」が意味する業務提携・資本提携の代表的なものに、以下のようなものがあります。
これらを順番に解説します。
生産提携は、生産ラインの一部を提携先の企業にお任せする提携です。化粧品や医薬品の製造委託などが当てはまります。
販売提携は、提携先の販売手段を使って商品やサービスを販売する提携です。フランチャイズが有名です。
などがあります。
技術提携は、提携先の企業が持っている特許などのライセンスや技術を自社製品の開発や製造・販売に利用する提携です。
などがあります。
上記で紹介したような提携は、一般に「業務提携」と呼ばれます。
そのほかに、提携先の企業に出資したり、お互いが株式を持ち合ったりする「資本提携」というものがあります。
アライアンスは資本関係の有無に関わらず成立するため、この「資本提携」が含まれる場合も。資本提携しつつ、業務での協力体制を築く場合は「資本業務提携」を結ぶことになります。
アライアンスと混同しやすい言葉に「M&A」があります。
「M&A」とは「Mergers(合併)and Acquisitions(買収)」のことで、一言でいうと「企業の合併買収」を指します。
M&Aの場合、A社とB社が合併により1つに統合されたり、A社がB社を買収することで経営権が移転したりします。
いずれにしてもM&Aでは経営権が統合されるのが特徴ですが、アライアンスはそのようなことはなく、あくまで別個の企業同士であることが両者の違いです。
アライアンスの方は、それぞれ独立した会社が同盟を組む、というビジネス体制なのです。
ただし、広い意味ではM&Aが、アライアンス(提携)までを含む場合もありますのでご注意を。「M&Aとアライアンスは全く別だ」と決めつけるのではなく、ケースバイケースで判断するようにしましょう。
ビジネスシーンでの基本の使い方は、「アライアンスを組む」「アライアンスを結んだ」などが一般的です。
また、ほかの単語とくっついて「アライアンス契約」「アライアンスパートナー」といった使い方も。バスの「アライアンス運行」といった表現も見られます。
そのほか、アライアンスに関連する言葉をご紹介しましょう。
競合企業と協力的な体制をとることで互いのメリットを深めるための提携のことを「ストラテジックアライアンス」と呼び、戦略的な同盟を結ぶことを意味します。
提携を結んだ企業同士を表すグループ名として「アライアンス」が使用されることもあります。
例えば、航空業界でマイレージの共通化やスムーズな乗り継ぎを目指して他企業同士が連携する「スターアライアンス」などはよく知られています。
アライアンスを使った例文をご紹介します。
アライアンスは企業同士の提携であることから、経営幹部の話し合いのシーンで使われることが多いでしょう。
上記は自社の足りない点を他社に協力してもらい、サービスの質を高めていこうと話し合っている例文です。
こちらも、経営戦略を練っているシーンを想定した例文です。「アライアンス」を上手に成功させれば、前向きな未来が見えてくる可能性があります。
A社のニュースリリースなど、広報からの発信を想定した例文。A社とB社はアライアンス関係にあり、それぞれの強みを活かして共同事業を始めようとしています。
1社だけでは叶わなかった事業が、2社協力することで実現できることもあるわけです!
上の例文のようにアライアンスにはメリットも大きいですが、実はデメリットもあります。
●業界内での競争力アップ
何といっても最大のメリットは、業界内での競争力アップでしょう。自社だけでは難しいことでも、各社の強みを活かすことで大きなシナジー(相乗効果)を得ることができます。
●M&Aよりも手軽である
また、前述でご紹介したM&Aよりも手軽であることもメリット。契約の詳細を詰めたりする必要はあるものの、基本的にはM&Aより低コスト&迅速に提携を進めることができるでしょう。
●効果が得られない可能性がある
事前に下調べをしっかり行っておかないと、期待される効果が十分に得られない可能性があります。提携後に予期せぬ問題が立ちはだかり、業務が進まなくなってしまうようなケースです。
●独自の技術やノウハウが流出するリスクがある
独自の技術やノウハウというのは、他社が簡単には真似できない企業の宝です。アライアンスで協業することによって、さまざまな情報が外部に漏れてしまうリスクがあります。
アライアンスは企業の立ち位置次第で風向きが変わる恐れもある経営戦略です。ビジネスシーンで使用するときには慎重に用いたいですね。
「アライアンス」は「提携」という日本語に置き換えて使うことが可能なため、使いやすいビジネス用語の1つだといえます。
「アライアンス」をビジネスで活用することができれば、新しい経営戦略に踏み出すきっかけや、苦境を乗り越える道が開けるかもしれませんね。
(マイナビ学生の窓口編集部)
学生の窓口編集部
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