手紙やメールで見かける「追伸」「P.S.」ですが、そもそも、ビジネスメールに使ってもいいのか疑問に思ったことはありませんか。何となく使っていると、知らず知らずのうちに失礼なメールになっていた、なんてこともあり注意が必要です。
今回はビジネスシーンの「追伸」や「P.S」の使い方について解説します。ビジネスメールで使うのはアリなのか、使えるとしたらどんなケースなのかを例文とともにご紹介。より丁寧な言い換え表現についても紹介しますので、うまく使い分けてメール上手になりましょう。
▼目次
1.「追伸」「P.S.」の元々の意味と使い方
2.「追伸」「P.S.」をビジネスメールで使うのはアリ?
3.「追伸」「P.S.」のビジネスメールでの書き方
4.「追伸」のビジネスメールでの言い換え表現と例文
5.まとめ:「追伸」でコミュニケーション上手に!
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「追伸」「P.S.」は手紙で使われていた文言です。
そもそもの意味と使い方を知っておくと、メールや伝言で使用するときにも悩みません。それぞれの意味と使い方を紹介します。
追伸は、手紙やメールなどでいったん筆を置いたあとに追記するときに使われます。
昔は手紙で、本文以外のことを書くときに、本文の補足をするときは「尚(なお)」、本文とは別のことを書き添えるときには「追いて(おいて)」を使っていました。
追伸の「伸」は、いう、のべるという意味合いから、追伸は「本来の用件とは別に述べたいことを書く」ときに使用します。
メールや電話がなく、伝達手段が手紙しかなかった時代に長々と書き終えた手紙を読み返したら言いたいことが漏れていた、といった場合に『追伸』が使われたという説もあります。
追伸のやりとりが重なったときは、「追伸」「追追伸」となります。
「P.S.」は「postscript」の略語で、日本語に訳すと追伸になります。つまり「P.S.」も「追伸」と同じ意味と考えて差し支えないでしょう。
語源はラテン語に由来し、「post」は「後」、「scriptum」は書くことを意味します。「P.S.」の表記は、ピリオドをPとSの両方のあとに必ず入れるか、両方ともに入れません。表記方法としては「ps」「p.s.」「PS」「P.S.」の4通りがあるということですね。
ネイティブの使い方では、メールの結びのあいさつの後に「P.S.」を付けます。英語の歌詞で「P.S. I Love You」というフレーズを耳にしたことありますよね。ネイティブでは、大事なことを最後に「PS」を付けて思いを伝えることがあります。
P.Sのやりとりが重なった場合の表記は、PS、PPS、PPPSと「P」を重ねます。
「追伸」「P.S.」を、ビジネスメールやビジネスでの手紙で使うことはおすすめできません。とはいえ、後述しますが使って失礼にならないケースも実はあります。
ですが使うシーンを選ぶため、基本的には避けておくのが無難ということです。その理由について、以下で解説します。
「そういえば追伸を使っている人、最近あまり見なくなったかも…?」
こんな風に感じることはありませんか?実際に最近では「追伸」「P.S.」は使われなくなってきており、言葉自体を古いと感じる人も出てきているようです。
確かに「追伸」は、手紙を手書きで書いていた時代は便利でした。手書きの場合、文章を書き終えてから追記したいことが出てきても簡単に書き直しができなかったためです。
ですが今は手書きよりも電子メールが主流の時代。電子メールなら書き直しが容易ですから「追伸」を使う必要性がなくなり、使われなくなってきているのです。
書き直しが簡単にできるのだから、「追伸」は使わず本文に記載するのがベスト、これが「追伸」の使用を避けるべき1つ目の理由です。安易に「追伸」を使ってしまうと、相手によっては「書き直すのが面倒なのでは」というマイナスイメージを持たれてしまうことにもなりかねません。
「追伸」では用件が伝わりづらい
ビジネスメールで「追伸」を避けるべき理由は、上記のような利便性だけではありません。2つ目の理由は「追伸では用件が伝わりづらい」ためです。
本来、ビジネスメールは「簡潔に、分かりやすく」が基本ルール。適切な箇所に分かりやすくまとめて書くことで正確に用件を伝えやすくなります。
ところが「追伸」を使うとどうでしょう。本文の内容があり、最後になって追伸の内容が出てくると、用件が散乱してしまい読む側にとっては分かりづらくなってしまいます。場合によってはどちらかの用件を忘れ去られるなんて可能性もゼロとは言えません。
ビジネスシーンで「追伸」を特に避けるべきケースは、次のとおりです。
●謝罪や感謝を伝える
「先日はご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした」「〇〇をいただきありがとうございました」といった謝罪や感謝の気持ちが追伸に書いてあったら、相手はどう感じるでしょうか。ついでのような、軽い印象を与えてしまうことになりかねません。
●重要な内容を伝える
基本的に、電子メールでしっかり目を通すところはあくまで本文です。追伸のところに次回アポイントなど重要な要件が書いてあってもスルーされてしまう可能性が否めません。それに「何でこんなところに重要なことを書くのだろう」と印象を悪くしてしまうことも。
●目上の人に対して使う
前述の通り、追伸には「書き直すのが面倒なのでは」というマイナスイメージを持たれてしまう恐れも。それが目上の人ならなおさらでしょう。上司などには追伸は使わずに、メールを書き直すか、もう1通メールを作成する方が無難です。
以上のようなケースでは「追伸」は使うべきではありません。一歩間違えるととても失礼な印象を与えてしまうことになりますから、ご注意くださいね。
一方、使い方によってはビジネスシーンで「追伸」を使っても問題とならない場合があります。次から具体例で見ていきましょう。
基本的に「追伸」「P.S.」はビジネスメールにおいてはNGであることは既にお伝えしました。ですが実は、使い方によっては問題どころかむしろプラスの効果が期待できるようなケースも。
具体的には次のようなケースが挙げられます。
・相手への心遣いを表現するとき
・親しい間柄の上司や同僚に送る場合
ポイントとしては、メール本文での主な用件と切り離せるような内容であること、相手への親しみを添えるような内容であることです。そして、ある程度コミュニケーションが取れていて、関係性が出来ている相手である方がベター。例えば仲の良い同僚といった間柄なら、気軽に「追伸」を使っても差し支えないでしょう。
とはいえ、あくまでその内容は簡潔にまとめることが大切。あまり長々と追伸を書いてしまうと、大事な用件の方を忘れ去られてしまう、なんてことにもなりかねません。
メールに「追伸」「P.S.」を入れる位置ですが、結論からいうと厳密な決まりはないようです。本来、手書きでの手紙の場合は「日付・差出人名・宛名の後」つまり一番最後が「追伸」を書く位置となります。
そのルールにならった場合、電子メールでの「追伸」も名前や署名の後ということになりますが、名前の前に持ってきても良いという考え方もあるようです。
実際のところ、何行もある署名を使っている人は多いですから、その下に「追伸」を入れても気づかれない可能性も…。自分で使っている名前や署名の形に応じて、ケースバイケースで対応すると良いでしょう。
では次からは、「追伸」「P.S.」の書き方を例文でご紹介していきます!
このように、本題とは関係なく相手への心遣いを表現する場合は、「追伸」「P.S.」を使って大丈夫です。
上記は、残業が続いている上司に対して気遣う一文です。
こちらは親しい同僚へのP.Sですね。
どちらも他に転送される心配のないメールで送るなら問題ないでしょう。
ただし、異性の同僚や上司・後輩に対して私的な内容を含む追伸・P.Sを送るのはやめましょう。あなたは気遣いのつもりでも相手にとってはハラスメントかもしれません。
「追伸」を使いたいけれど、ビジネスシーンによっては「失礼になるのでは」と躊躇してしまう…。そんな時に便利な言い換え表現があります。それはずばり、
「末筆ながら」
「末筆ではございますが」
という表現です。これらを使うと、ビジネスライクでいかにも義務的で冷たい印象のメールが一気に温もりを感じるものになります。
「末筆ながら」「末筆ではございますが」は、目上の方にも問題なく使える言葉です。
ただし、話を変えて文章の締めに入る合図にもなりますので、そのあとにダラダラと文章を続けないように注意しましょう。
続いて、「末筆ながら」「末筆ではございますが」を使った例文をご紹介します。言葉の選び方次第で、冷たさを感じさせない好印象なメールに仕上げることができますよ。
例文の1つ目は季節に絡めたあいさつです。相手の体調を気遣う文章ですので、暑さ、寒さの厳しい季節に使うことが多いです。
季節ごとの季語の例をいれておきますので、参考にしてみてください。
1月:厳冬(極寒、酷寒、厳寒など)の折り
2月:余寒(残冬)の折り、余寒(残冬)なおきびしい折り
7月:炎暑(酷暑)の折り、暑さことのほかきびしいこのごろ、
8月:残暑(炎暑)の折り、残暑(炎暑)きびしい折り、
11月:初霜(向寒、霜寒)の折り、めっきり冷えこんでまいりましたこのごろ
12月:厳冬(寒冷、酷寒)の折り、年の瀬もいよいよ押しせまってまいりましたが、
本文でもきちんと謝意をお伝えしたうえで、最後の結びもお詫びで締めるときに、『末筆ながら』を使います。
例文にもあげましたが、本文中でお詫びの気持ちをお伝えしているので、結び文は、『重ねてお詫び申し上げます』として、謝り足りない気持ちを伝えましょう。
こちらに手落ちがあった場合の謝罪メールで、弁解がましい言い訳はしてはいけません。
基本的に社内文書に『末筆ながら』といった末文はつけませんが、例外として使われるのが自身の進退の報告のときです。引き継ぎなどの要件をお伝えしたうえで、今までお世話になったお礼の文章を付け加えます。
ビジネスメールの基本は相手の時間を奪うことのないように「要件を簡潔に」です。
間違った情報が伝わらないように「誤解されることなく」伝えることが一番ですが、それを踏まえたうえで相手のことを気遣う気持ちをさりげなく伝えられれば、ビジネスメールのコミュニケーション上級者になれるのではないでしょうか。
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