1991年に公開された、織田裕二主演の映画『就職戦線異状なし』。ここで描かれているのは、コネあり接待ありの、バブルど真ん中の就活生の姿。突然企業から内定通知が送られてきたり、他社との接触を防ぐために企業が学生を海外旅行に連れ出したり......なんて、にわかには信じられないような噂を今でも耳にしますが、実際はどうだったのでしょうか。バブル景気の影響で超売り手市場だった頃に就活を経験した世代に聞いてみました。
■即内定&超優遇
・バブル絶頂期の売り手市場だった。面接時に「明日からでも来られますか?」と言われた(46歳/男性/アパレル・繊維)
・面接を受ければ即採用のような感じだった。会社説明会時の昼食もとても豪華なものだった(41歳/女性/ソフトウェア)
・就職内定時にディズニーランドつきのシェラトン宿泊(44歳/女性/ホテル・旅行・アミューズメント)
・1日で何社か回るとき、すべての会社が言い値で交通費を出してくれ、さらにお土産をつけてくれる会社もあった(44歳/男性/商社・卸)
■教授の紹介で即決
・就職活動はまったく行わず、博士課程に進むか就職か迷ったあと就職に決め、教授に推薦状を書いていただき、それで採用が決まった(50歳以上/男性/情報・IT)
・今勤めている会社は、就職担当の教授の元にあったリストから選んだだけで決まった。その後も何社も面接に行き、タダ飯&酒を堪能した。いい時代だった......(43歳/男性/電機)
■企業の必死な囲い込み
・解禁日は2、3日拘束を受けた(49歳/男性/情報・IT)
・企業の方からOGを通して接触してきた(50歳以上/女性/情報・IT)
・むこうからガンガン電話がかかってきた(45歳/男性/アパレル・繊維)
■豊富な選択肢
・バブルの真っ最中だったので、求人数も多く、業種も多岐にわたっていた。今の学生が気の毒に思える(47歳/男性/ソフトウェア)
・バブリーだったので、解禁日に大勢で金融機関の採用会場に並んだ覚えがある。また、就職冊子が送られてきて、並べると2メートルくらいになった(45歳/男性/情報・IT)
有効求人倍率も1を越えたこの時代、人材を確保したい企業側による学生の青田買い、豪華な食事や海外旅行など学生に対する接待が激化していたという噂は本当だったようですね。今の時代から見るとかなり「異常あり」に思えることが日常的に行われていたバブル就活。そんな夢のような状況もバブルの崩壊とともに終焉を迎え、1993年頃には一気に就職氷河期に突入することになります。厳しい時代に就活を経験した筆者にとってはなんともうらやましい限りですが、企業、学生ともに冷静な判断ができていたのだろうかと思うとちょっと怖い気もします。みなさんはどう思いますか?
文●うすこ
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