塾ソムリエ・西村則康さんに聞く! 覚えておきたい、正しい幼児教育【前編】

更新:2016/01/28

社会人ライフ

塾ソムリエ・西村則康さん

新社会人の準備と言うと、仕事のこと、会社のことが話題の中心。でも、一方で結婚・出産・子育てといった家庭人としてステップアップしていく準備も必要です。 今回はそれらのなかでも、幼児教育にフォーカス。30年以上、中学・高校受験指導を行ってきた"塾ソムリエ"の西村則康さんに話を伺いました。「受験を通じて親子の絆を強くする」という理念を持ち、子どもとのコミュニケーション術に関しても造詣の深い西村さんが考える、正しい幼児教育とは?

自分の成功体験を押し付けない!

「今のフレッシャーズと言えば、いわゆる"ゆとり教育を受けた世代"です。そしてゆとり世代とは、簡単にまとめてしまえば『学生時代、基本的なことを覚えればなんとかなった世代』。学校で習った問題もほか世代と比べて、やさしかった。もちろん、ひとくくりにはできませんが、多くの方が学習面で記憶に残っているのは大学受験ではないでしょうか。そして、国公立、理系を除いて、もっともボリュームゾーンである私立文系大学を受験した方々は、勉強した科目が国語・社会・英語。すべて暗記科目であることがほとんどです。 それ自体が良い悪いは置いておいて、総じて親というものは、自分の成功体験を子どもに与えようとしがちです。暗記科目で育ってきた親は、算数などの教科でも、『繰り返し勉強しなさい』という指示を子どもにしてしまいます。 パターンを理解させる勉強も大事なのですが、そればかりになるのは間違っています。本質的に納得する、理解するような勉強方法が大事なのです」

幼児期に重要な"会話"

「その勉強方法というのは、特に小学校に入るまでの幼児期にこそ効果的です。ただし、幼児期の勉強というのは文字を覚えるとか、足し算ができるといったことではありません。生活知識の習得こそが大切です。 例えば、同じ大きさのものでも重さが違うと感じることは、密度の感覚につながります。野菜の切り方でかたちが変わることは図形に関する感覚を鍛えられます。そういった日常生活のなかでいろいろなことを学んでいく時期なのです。文字を書けることよりも、日常で『なるほど!そういうことか』と子どもが納得したり、理解したりする機会をたくさん作ってあげる。それが幼児期には必要です。 同じく、無視できないのが、家庭内での言語環境です。子どもとの会話は、ともすれば単語の投げ合いで片付くことが多いのですが、言語感覚を磨き、語彙力を鍛えていく意味では、『てにをは』が正しく使えるようになるよう、文章で "会話"をしてあげること有効なのです」

今、まさにやるべきことは?

さて、ここまでの話は、幼児教育の在り方ですが、当然ながらまだ家庭を持っていないフレッシャーズの皆さんにとっては未来の話です。準備として、皆さんが今できること、それは"一生懸命目の前の仕事をがんばる"ことだと西村先生は言います。 「幼児教育と仕事。一見関係がないように見えますが、とんでもありません。前述のように、幼児教育で重要なのは、生活知識の習得です。それには良質な家庭環境が必要になってきます。そして、家庭環境を整えるためには、両親の仕事が充実していることが必要不可欠です。 なにも経済的な意味ではありません。仕事が充実し、一人前の社会人になっていれば、子どもに関わる気持ちの余裕を持つことができます。一方、仕事がうまくいっていないと家庭はストレス発散の場にならざるを得ません。幼児教育どころか、子育てに支障をきたしてしまうことを覚えておいてください」

たしかに、私たちはついつい仕事と家庭を分けて考えてしまいがちですが、実はさまざまな面で影響を与え合う、深い関係にあることは間違いありません。今、仕事をがんばることは、自身のキャリアだけでなく、未来の家庭の基盤を築いていくことにもつながっているんですね。

(取材・村上陽一/Discot)

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