国境を越えたグローバル採用、世界規模で展開されるWEBサービスの登場……。ここ数年で、さらに日本の学生に身近になった"海外"では、今一体どんなことが起きているのでしょうか。また、海の向こうでは、どんな経験やチャンスが得られるのでしょうか? 世界一周の旅を続けた旅人「太田英基」さんが、日本の若者に伝えたいと思った"海の先で見つけたもの"を紹介します。
そろそろ卒業旅行の計画を考え始めた人が多いのでは?
皆さんは何処へ行こうと考えていますか。
国内でしょうか。海外でしょうか。
旅先に海外を選ぶ人の中には、この卒業旅行が「初めての海外」という人もいるでしょう。是非、日本では感じることのできない"世界"を体感してきて下さい。
僕の初めての海外旅行(個人)は、7年前のインド旅行でした。(詳しくは、
第1回目の記事をご覧下さい)。
首都「デリー」からタージマハルのある「アグラ」へ。そこから聖なるガンジス河のある「バラナシ」、ブッダが悟りを開いたと言われる仏教聖地の「ブッタガヤ」、そして東インドの主要都市であり、マザーテレサの孤児院がある「コルカタ」へと移動し、最後はコルカタからデリーまで鉄道で30時間かけて戻るという旅でした。
インド北部~東部に位置する数々の有名都市をわずか12日間で駆け回ったので、かなりドタバタしていましたが充実した日々でした。
▲言わずと知れた「タージマハル」。
▲「バラナシの路地」にいる牛。
▲夕暮れのガンジス河を渡るインドのおっちゃん。
▲インド東部「ラーンチ-」のDVD屋のおっちゃん。このターバンはシーク教徒の証。
初めてのインド旅行は、見事なほどにあらゆる場面で観光業を営むインド人に、ボッタクリ価格で物を買わされたものでした......。
今となっては良い想い出ですが、毎日がハプニングと交渉と理不尽の連続で、疲れるようで楽しいようなそんな日々を過ごしていました。
あれから7年が経過して、現在、再びインドに来ています。7年ぶり、人生で二度目のインドです。
今回は南インドの「バンガロール」から入国し、南部ケララ州を旅し、西インドの主要都市「ムンバイ」で2012年を迎え、その後はまさしく7年前を追いかけるように、デリーからアグラ、バラナシ、ブッタガヤと移動しています。
(今、この記事はブッタガヤの道端のレストランで、チャイを飲みながら書いています。)
▲「バンガロール」にあるインド有数の高級ショッピングモール「UB CITY」。
▲インド南部にある、IT特別地区にあるビル。
▲インド南部で食べれる幻(?)のレッドバナナ! 僕は黄色いバナナより好き。
7年前と、7年後の現在。
インドという国が変わった部分もあれば、僕自身が変わった部分もあり、今回のインド旅行では、7年前とは異なるモノが見えてきたり、感じたりすることができているような気がします。
それに、7年前の僕は旅行初心者でしたが、今回は世界一周して場数を踏んできたこともあり、インド人相手でも大きく騙されることは今のところ無いです(笑)。
7年前に僕が出逢ったインド人の多くは、観光客相手の商売人やリキシャ(人力車)の運転手、物乞い、他国の旅行者、そして同じ日本人旅行者でした。
今回の旅では、7年前に出逢ったような人々に加えて、インドのIT企業で働くインド人、インドの広告業界で働くインド人、インドの投資銀行で働くインド人、NGOを運営しているインド人、起業家......そんな多種多様なインド人達と交流をしてきました。
色々なインド人と話していると、時折、ライフスタイルや思考が日本人と非常に近い部分のあるインド人もいるんだなと、インドの多様性の幅に驚かされることもありました。
僕が仲良くなった外資系企業で働くインド人は、ヒンドゥー教徒なのに「牛肉を食べる」と言っていました。
多くの日本人と同様に「一応、ヒンドゥー教徒だけど、あんまり気にしていない」という様子でした。
インド人(ヒンドゥー教徒)にとって牛は神聖な生き物なので食べるなんて有り得ないだろうと思っていた僕は、度肝を抜かれました。確かに街の市場の一角で、牛肉が売られていました。
僕は宗教というモノが徐々に形骸化しつつある世界の流れを、旅する中で感じています。
もちろん、ヒンドゥー教徒といっても千差万別で、多くの人が今でも牛肉を食べることのない生活を過ごしています。
また、興味深いことに、インド人同士であっても買い物の交渉に苦戦しているのをたくさん見ました。金額をふっかける相手は、観光客だけではないのだと知りました。他にも「年末だから」という理由で、魚市場の商人が一致団結し、魚介類の価格が通常時の5倍になってしまった、という話なども耳にしましたね。
インドのとある私立幼稚園では、幼少期から他者を論破し、自らの主張を通すトレーニングを始めるそうです。
そういった能力を身に付けていかないと、このインドという国を生き抜くのは大変なことなのでしょう......。
インドという国は、一つの国であるのに、良くも悪くも"バラバラ"です。
異なる言語、異なる文化、異なる宗教、異なる気候、大きな経済格差と教育格差、未だに根強く残るカースト制。
そういった様々な要素から成り立つのが、インドという国なのでしょう。日本とは異なります。
2月~3月の卒業旅行で、インドに渡る人は多いと思います。
是非、皆さんも色んなインド人に出逢って下さい。そして、色んな視点でインドを楽しんで下さい。
多様性豊かなインドは、ありとあらゆる人を惹きつけて、楽しませてくれる国です。
あなたはインドで何を見たいですか? 何を感じたいですか?
あなた次第で、インドの旅は見えてくるモノが変化しますよ。
※最後に注意事項ですが、日本の大学生の卒業旅行シーズンを狙って、インド中からデリーやアグラなどの主要観光地に日本語を話せるインド人が出稼ぎにやってくるそうです。そこで多くの日本の若者たちが騙されていくそうですので、十二分に注意して下さい。もちろん、勇気を持って飛び込んでみないと深く知ることが難しい場面もありますが、常に危機管理だけは怠らないようにしてください。
太田英基
【バックナンバー】
>>旅の"カタチ"は自由! 世界には、ユニークな旅人が大勢います
プロフィール: 太田 英基(Hideki Ota)
大学在学中の2005年11月、広告サービス「タダコピ」を運営する株式会社オーシャナイズを仲間と共に創業。取締役を経て、2010年1月に退社。
2010年9月15日に出国し、世界一周の旅にシュッパス。その一方で、海外で働く日本人("異国のサムライ")100人を探す旅「SAMURAI BACKPACKER PROJECT」を遂行。
他、様々なWEBメディアでもコラムを連載し、好評を得ている。2011年夏、東洋経済新報社より「
1か月10万円留学の衝撃!『フィリピン「超」格安英語留学』を上梓。
SAMURAI BACKPACKER PROJECT:
http://samuraibp.com/
Twitter:
@mohideki
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