第9回住宅・子どものお金・老後資金etc......将来にどのくらい備えるべき?
■将来も豊かに生活するために「貯金」しよう
社会人になったら真っ先に始めたいのが
「貯金」の習慣。将来への備えがゼロでは、病気やケガなど突然のアクシデントに耐えることができません。何より、給料日前にも困りますよね。
今だけではなく将来も最低限欲しい物を買えて、生活に困らないようにするために、やはり貯金は大切です。
毎月貯金すると"塵も積もれば山"となり、時間をかければ 住宅・子どもの教育費・老後のお金を作ることができます。
例えば、
手取り給与の1/4(20万円の場合5万円)を貯めれば、3カ月で1カ月分の生活費(15万円)を作ることができます。これを続ければ、1年間で60万円。つまり、4カ月分の生活費を貯めることも可能です。4カ月分の生活費があれば、病気やケガに備えとなりますね。
さらに積み重ねれば、3年で180万円(1年分の生活費)、6年で360万円(2年分の生活費)を貯めることができます。2年分の生活費があれば、子育てで一時的に自分(もしくはパートナー)が仕事を休んでも当面の資金になるでしょう。
月5万円のペースで、貯金を15年間続ければ 900万円(5年分の生活費)になります。これくらいの資金があれば、住宅購入を検討することができます。
例えば、3,000万円の物件を購入する場合、 物件価格の2割程度の「頭金」を支払うことが一般的です。3,000万円の2割なら600万円ですね。その他にも諸経費(ローン関係費用、各種手数料、引越し関連費用など)がかかるため、物件価格の5~10%程度を余分に準備する必要があります。つまり、150~300万円程度。諸経費と頭金を合わせれば、750~900万円が必要になるというわけです。
一見膨大な金額に思えますが、22歳から貯金を始めれば37歳で住宅を持つのも可能です。
共働きの場合なら、もっと早く夢を実現させることもできます。
仮に2,400万円の住宅ローンを借りて23年で返済(60歳で完済)する場合、毎月のローン返済額は10万8,555円(金利2%の場合)です。この他に修繕積立金や管理費が2万円程度かかるので、毎月の住居費は約13万円ですね。
住居費は 手取り給与の30%程度に留めたいため、世帯月収手取り給与)は43万円程度は欲しいところです。つまり、共働きだとたいへん有利になるわけです。
より長いスパンで、 老後資金についても考えてみましょう。22歳で1/4貯金をスタートするなら、60歳までの38年間続けると2,280万円(約12年7カ月分の生活費)を貯めることができます。
厚生年金の支給開始年齢は、2013年度から段階的に現在の60歳から65歳に引き上げられることが決まり、さらに68~70歳開始とすることも検討課題となっています。
2040年には、日本の現役世代約1.5人が年金受給者1人の面倒を見ることが想定される超高齢化社会に突入します。つまり、年金をもらえる年齢や金額は今より厳しくなる可能性も高いのです。
そんな場合でも10年分以上の生活費があれば、年金がもらえない期間(退職が60歳で年金開始が70歳なら10年間)も生活できます。 制度を当てにしなくても自力でなんとかできるお金となるのです。ここでも共働きで貯めればより大きな金額になりますね。
せっかく良い計画を立てても、実行しなければ絵に描いた餅で終わります。まずは、確実に貯められる積み立ての仕組みを作るようにしましょう。
会社に「 財形貯蓄制度」があれば、貯金の一部でこの制度を利用してもよいでしょう。給与天引きなので貯めやすく、税金の優遇も受けることができます。
財形貯蓄制度には、一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類がありますが、一般財形貯蓄には税金の優遇がないので、財形住宅貯蓄がおすすめです。財形年金貯蓄と合わせて貯蓄残高550万円までの利子等に税金がかからず、住宅購入やリフォーム以外の目的外で引き出した場合も、税金の優遇がなくなるだけです。 もし、会社に財形貯蓄制度がない場合は、 銀行の「積立定期預金」や「投資信託」がおすすめです。次回以降では、運用の話もしていきます。
(2012.2.10)
■
ファイナンシャル・プランナー 花輪陽子(はなわ ようこ)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2011年度相談員。元外資系の投資銀行勤務。現在は雑誌・新聞・テレビ・ラジオ出演や全国講演などを精力的に行っている。『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)、『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。日経マネー、日経ウーマンオンライン、CREA webなどで連載。
■Twitter:@yokohanawa ■公式サイト:http://yokohanawa.com/
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