【誰もがエンタメを楽しめる世界へ】AI×脳×エンタメが生む新体験。東京ゲームショウ2025でも話題の「NeuroWizards」を開発したアラヤの挑戦を追う
こんにちは!ガクラボ学生ライターの榎谷です。
皆さんは、“脳で動かすゲーム体験”というものを想像したことがありますか?
ただコントローラーを操作するだけではなく、自分の思考や直感までもがゲームに入り込んでいくような、ちょっと未来を感じさせる遊び方。そんな不思議でワクワクする世界を実現しようとしているのが、株式会社アラヤ(以下、アラヤ)が開発する「NeuroWizards」です。
今回、私はアラヤを訪れ、実際に「NeuroWizards」を体験し、最先端の技術を使った新感覚すぎるゲームの世界をのぞいてきました。予想をはるかに超える仕掛けの連続に「これ本当に現実!?」と思う瞬間ばかり。その魅力を、この記事でたっぷりお伝えしていきます。
AIと脳科学で新しい体験をつくる──アラヤとは?
アラヤは、2013年12月に設立された日本のテック系ベンチャー企業です。「人類の未来を圧倒的に面白く!」をミッションに掲げ、「すべてのモノにAIを宿らせる」というビジョンのもと、AIを経済や日常に溶け込ませる新しい価値創出に挑戦しています。
特に注目したいのが、AIとニューロテックを組み合わせたエンタメ領域です。視線と脳波で魔法を操る「NeuroWizards」や、脳波と姿勢から状態を読み取ってカプセルを排出する未来型インスタレーション「無心Capsule」など、独自の体験づくりを進めています。
またアラヤは、神経科学やAIアルゴリズム開発など研究領域にも強みを持ち、「AI」と「脳科学」を融合させることで、新しい体験や価値を社会に届けることを目指す先端企業です。
脳波×視線で戦う魔法バトル──「NeuroWizards」とは?
「NeuroWizards」は脳波で魔力をチャージし、視線でドラゴンを狙い撃つ新感覚のユーザーインターフェースでプレイするゲームです。プレイヤーは実際に魔法を放っているかのような体験を味わうことができます。
今回は、制作・開発チームメンバーである浅井さんと留岡さんにお話を伺いながら、実際にゲームを体験させていただきました!
開発のきっかけについて
── そもそも、「NeuroWizards」を開発しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
浅井さん:アラヤはもともとニューロテックとAIを扱う会社で、福祉分野でも技術の活用を目指してきました。例えば、ALSの患者さんのコミュニケーションをサポートする取り組みや、福祉施設で生体情報を使った支援を行ってきたんです。
留岡さん:そうした技術は、もちろん福祉の現場では大きな助けになるのですが、どうしても届けられる人の数には限界があります。もっと多くの人にニューロテックの面白さや可能性を知ってほしい、という思いがありました。
── そこでエンタメに応用しようと?
浅井さん:はい。元々チーム内で開発を進めていた脳波ゲームと、コミュニケーションサポートで開発していた視線計測技術を組み合わせて、これまでにない新しいエンターテインメント体験として届けられないか、と考えたんです。
留岡さん:せっかくなら、誰もが気軽に楽しめてワクワクできる形にしたい。その入口として、ゲームはとても相性がいいなと思いました。
── そのアイデアが、「NeuroWizards」につながったんですね。
浅井さん:まさにそうです。脳波で魔力をチャージして、視線で魔法を放つ──生体情報を使ったまったく新しい体験として成立すると思い、チームで形にしていきました。
開発の背景を聞けば聞くほど、「NeuroWizards」がニューロテックの新しい可能性を広げる挑戦であることが伝わってきました。
では、その脳波×視線で戦う魔法バトルは、実際にどんな体験なのでしょうか。
そこで、私も実際にプレイさせていただくことになりました。ここからは、そのリアルな体験の様子をお届けします!
「NeuroWizards」で魔法使いになってみた──脳波×視線の新感覚プレイ
まず、ゲームを始めるために自社で開発中のポータブル型の脳波計を装着します。おでこに二つ、耳の後ろに一つ。脳波計と聞くと、ヘルメットのような大きくて複雑な装置を想像していたのですが、実際は驚くほどコンパクトで軽量でした。脳波計はまだプロトタイプだそうですが、価格も数千円程度になる予定と、想像以上に手に取りやすいものでした。
装着後は、簡単な視線チェックと脳波の測定を行い、魔法使いに欠かせない属性選びへ進みます。ここでは自分の脳波のタイプによって四つの属性の中から決まる仕組みで、私は「炎タイプ」と診断されました。
そして、いよいよゲーム本編へ。プレイは大きく3つのステップに分かれています。
ステップ1:脳波でチャージ
魔法の威力は脳波で変化し、特定の脳波成分が溜まっていくほど強力な魔法になります。目をつぶって集中するとチャージ速度が速くなり、まるで本当に魔力を溜めているような不思議な感覚を味わいました。
ステップ2:視線で狙いを定める
PCの下に固定した視線検出装置(アイトラッカー)によりPC画面上のどこを見ているかという視線の位置が検出されます。視線を向けた方向に照準が合って魔法が飛んでいく仕組みで、視線操作ならではの直感的なプレイが楽しめます。
ステップ3:魔法発動
ドラゴンには攻撃魔法、味方には回復魔法と、ボタン操作で効果を切り替えることができます。
コントローラーでの操作は、移動と魔法の切り替えのみを行うだけなので、ゲームが得意ではない私でもすぐに慣れることができました。にもかかわらず、ゲームの世界観や演出は非常に作り込まれていて、気づけば時間を忘れて熱中してしまいました。
さらに、自分の生体情報とゲームがリンクしていることで「本当に自分が魔法使いになって戦っている」ような臨場感があり、これまでにない没入感を味わうことができました。
初めての脳波×視線ゲーム体験は想像以上に直感的で、そして何よりワクワクするものでした。この革新的な仕組みの裏側には、どんな課題や工夫があるのでしょうか。ここからは、開発者の視点にさらに踏み込んでいきます。
「NeuroWizards」が抱える課題とは
── 開発の中で、どんな課題が見えてきましたか?
浅井さん:大きく3つあります。まず1つ目は、脳波をどう自然なゲーム演出にするかということです。視線操作は直感的でゲームの中の動きとの対応がわかりやすいですが、一方で、脳波は実感が分かりにくい。なので、脳波があることで体験として質が上がるようなゲーム設計を意識しています。2つ目はハードウェアの価格です。自社で現在開発中の脳波計は比較的ローコストで作れますが、視線を認識するアイトラッカーは研究用のもので約300万円。これでは一般の方に届けにくいので、もっと安くできないか、手に取りやすい価格帯を目指して開発しています。そして3つ目が手軽さです。従来の研究用の脳波計はデータの質が高い反面、セットアップに1時間以上かかったり、ジェルが必要なものもあり、ゲーム用途には向きません。短時間で装着できて、すぐ遊べるようにすることはとても重要だと考えています。
「NeuroWizards」が描く未来──「ゼロからプラスへ」のゲーム体験へ
インタビューを通して、様々な課題を一つひとつ乗り越えようとしている開発者の努力、そしてこのプロジェクトが大きく進化していく途中であることも強く感じられました。
では、この先にどんな未来を描いているのか。最後に、「NeuroWizards」のこれからについて伺いました。
── 今後、どんな方向に進めていきたいと考えていますか?
留岡さん:大きく二つあります。一つは誰でも遊べる体験をもっと広げることです。コントローラーに頼らず、目と脳波だけで楽しめる形を追求し、アクセシビリティを向上させたい思っています。
── もう一つの方向性は?
留岡さん:ゲームとしての面白さをもっと磨くことです。まだストーリーや世界観を作り込みきれていないので、シンプルでも体験そのものが面白い形に進化させたいですね。
── 浅井さんはどう考えていますか?
浅井さん:僕はコントローラーを再定義するような遊び方の開発に挑戦したいです。指で操作するだけでなく、心の状態がゲームに反映されるような、新しい体験を作りたいですね。
── 最終的に目指すものは?
浅井さん:障害のある方にとって“できないことができるようになる”ための補助だけではなく、健常者も含めて“全員が同じスタートラインで楽しめる体験”を提供したい。ニューロテックを使ったニューロゲーミングという新しいジャンルをつくれたら理想です。そしてアラヤのミッションである、“人類の未来を圧倒的に面白く!”を、ゲームという形でさらに実現していきたいと思っています。
取材を終えて
「NeuroWizards」は、脳波と視線というまったく新しい操作で未来のゲーム体験を見せてくれるプロジェクトでした。その裏には、誰もが“ゼロからプラスへ進める体験”をつくろうと挑戦を続ける強い思いがあります。
お話を伺う中で、大学生である自分自身も「これから社会にどんな価値を生み出していけるのか」を考え直す良いきっかけになりました。アラヤが掲げる“人類の未来を圧倒的に面白く!”というミッションが、今後どんな形で広がっていくのかその未来がとても楽しみです。
取材・文/榎谷 進之介(ガクラボ)
撮影・編集/マイナビ学生の窓口編集部

























