駅での“コミュニケーション”を支える仕組みとサービスとは? 西武鉄道が行う誰もが安心して駅を利用するための取り組みを#つながる体験部 が調査!

みなさんが毎日当たり前のように利用している“駅”。ここにも、誰もが安心して利用するためのコミュニケーション手段がたくさんあるってご存じですか?
今回 #つながる体験部 が訪れたのは、西武鉄道所沢駅。西武鉄道の駅係員さんがお客さまとのコミュニケーションを取るために、どのような意識・工夫を心掛けているのか伺ってきました。今回はこの所沢駅における取り組みから“つながる社会”について考えていきたいと思います。
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#つながる体験部とは?
「#つながる体験部」は、聴覚・言語機能・音声機能・視覚・盲ろう・失語など、障がいや難病によって意思疎通に困難を抱える人と、その周りの人との“伝える・伝わる”を支える「意思疎通支援」をテーマに、実際の現場を取材・体験しながら学んでいく企画です。身近な体験を通じて、“つながる社会”について考えていきます。
駅にはさまざまなコミュニケーション手段が!

やってきたのは、埼玉県所沢市にある、西武鉄道の所沢駅。駅の改札内外には「グランエミオ所沢」という大きな商業施設があり、駅前にはバスロータリーが広がっていて、毎日たくさんの人たちが利用しています。
駅を利用するのは、子どもからご高齢の方、そして障がいのある方などのさまざまな人たち。私たちは普段何気なく使っているけれど、誰もが安心して駅を利用するには、どんな工夫がされているのかな?
そこで、西武鉄道株式会社 鉄道本部運輸部お客さまサービス課でお客さまサービスを担当する佐藤さんに、お話を伺いました。

駅はさまざまな方が利用されると思うのですが、西武鉄道の駅には、どんなコミュニケーション手段があるのでしょうか?
西武鉄道では、ハード面と、ソフト面の両面から、さまざまな方とコミュニケーションを取れるようにしています。

たとえば、ハード面ですと、誰もが認識しやすい表示とするため、駅に設置している列車案内表示器をカラーユニバーサルデザイン対応のものにしています。

本当ですね、文字がくっきりはっきり見えて、緑は緑でもエメラルドグリーンのような鮮やかな色がすごく見やすいです。
また、視覚障害のあるお客さまのために、自動券売機は音声案内機能があるほか、自動券売機付近に点字運賃表を掲出しています。そのため、点字表記と音声案内で切符のご購入をご案内しています。

普段駅を使っていても、全然気づきませんでした。こうして駅をみると、さまざまな配慮があるんですね。

たとえば駅で困ってしまったときは、駅係員さんに相談したいと考える方が多いと思うのですが、そういうとき、駅係員さん側では、どのような対応があるのか知りたいです。
たとえば、駅係員一人ひとりが携帯しているタブレットに『みえる通訳』というアプリがあり、お客さまのご希望に応じてオンライン通訳を介して手話でのコミュニケーションが取れます。また、外国の方向けに英語や中国語など13か国語にも対応しています。
えっ、すごい!オペレーターさんにつないで、通訳をしてもらえるんですね。これは安心してコミュニケーションを取ることができますね。

はい、ほかにも筆談をご希望の方には、簡易筆談器を全駅にご用意しています。

なるほど、大きな文字で簡潔に書いたほうが伝わりやすいんですね!そう言えば前に耳が聞こえない方への対応をみんなで考えたときは、スマホを使ったりしてたなあ。コミュニケーションには色々な方法があるんですね。
ほかにも駅からお客さまにお知らせしたい内容、たとえば電車の遅延の状況については、駅構内や車内の一斉アナウンスをしたり、改札付近にも急告板を掲示する等してお知らせしています。また、運行状況はホームの路線図や車内にある二次元コードを読み込むことで確認することができるようになっており、さまざまな方法で現在の状況をお伝えすることができるようにしています。

確かに、困ってしまったときに色々な方法で情報を発信してもらえたなら、みんな今の情報を知ることができて、安心できますね。
さらに、今年の10月から新しい取り組みとして、乗車の際に、お手伝いが必要な車いすユーザーや視覚障がいの方を対象にした、『介助事前受付サービス』を開始しました。このサービスは事前に乗る駅と降りる駅、来駅時間などの情報を入力・受付していただくことで、当日駅係員がスムーズにご案内することが可能になるものです。
事前にご連絡することで、駅係員さんがスムーズに支援してくれる仕組みがあるんですね。当日早めに行って駅係員さんに相談したり、慌てて準備しなくていいので安心できます。たくさんの取り組みを教えていただきありがとうございます。本当にたくさんの配慮をされているんですね!
そのほか、ハード面では改札付近に設置されているインターホンや書画台、光や音で列車が入ってきたことを知らせる列車進入警報装置など、さまざまな取り組みをご紹介いただきました。
#つながる体験部 が実際に挑戦してみた!
専門機関と共同開発したオリジナルプログラムで、実践的なユニバーサルマナー検定(鉄道)を体験
先ほどは駅でのさまざまな取り組みを教えていただきありがとうございました。駅での取り組みだけでなく、会社全体で取り組まれていることはありますか?
そうですね。会社全体の取り組みとして駅係員等を対象に『ユニバーサルマナー検定(鉄道)』というものを導入しています。この検定は、障がいがある当事者の視点を活かして企業への研修も多く行われている株式会社ミライロさんと当社が共同開発しており、障がいのある方との向き合い方を通して適切なサポート方法を学ぶことができます。
『ユニバーサルマナー検定(鉄道)』では、どんなことを学ぶことができるのですか?
鉄道での利用シーンなど、日々の業務に即したプログラムとなっていて、日々駅や車内でお客さまと接している運輸部職員の約8割が認定証を取得しています。業務で使える聴覚障がいのある方とのコミュニケーション方法の習得や、視覚に障がいがある方に、駅での乗り換え方法を伝えるワークなど、とても実践的で充実したカリキュラムになっています。
#つながる体験部 が実際に挑戦してみました!
『ユニバーサルマナー検定(鉄道)』の実技講習が行われるということで、特別に今回 #つながる体験部 も参加させてもらうことに。当日は、聞こえない・聞こえづらい方の疑似体験をしました。
イヤーマフをして、聞こえない方の疑似体験も。乗り場の案内や料金のご案内といった、駅で使いそうなフレーズを、口の動きと身振り手振りだけで伝えます。

ガモウさんが伝える側として挑戦!大きく口を開け、身振りも大きめに表現。数字を指で表したりした結果、なんと1回で意思疎通することに成功! その後も伝え方のポイントの解説を聞き、実践したことを振り返りました。
「口の動きだけでは全然分からないけど、身振り手振りを加えて、大きく表現すると、伝わりやすいんですね」と、体験したからこその気づきがあったようです。
そして、最後に筆談を体験しました。今回は事故が発生した際に、状況を聞こえない方に文字で伝えます。

長文で書かず、端的に分かりやすく書く、というポイントを聞いて、伝え方のコツが理解できたガモウさん。実際に駅係員さんが話していた「筆談は分かりやすく簡潔に」という言葉を思い出し、しっかり研修が実践に役立っていることを改めて知るのでした。
実際に研修を受けたことで、実践に役立ったという声はありましたか?

研修を通して、お客さま一人ひとりによってサポートしてほしいことに違いがあることが学べたので、お客さまにサポートの選択肢をご提示することをより心掛けるようになりました。その結果、駅係員の対応に対して感謝の言葉をいただいたこともあります。
素晴らしいですね!それは研修で学んでいないと気づけないかもしれません。
障害者差別解消法が改正され、合理的配慮が義務化されたこともあり、私どもとしても、お客さまのご要望に無理のない範囲でご対応する法的な義務があります。まずは会社全体でその法令を理解し、ソフト面・ハード面を整備していくことによってお客さまへ寄り添えることを増やしていくのが大事だと考えています。
そのためには、検定を取得して終わりではなく、係員も成長し続けることが重要ですので、ユニバーサルマナー検定(鉄道)取得後も定期的、そして継続的にさまざまな研修プログラムの受講を促し、お客さま一人ひとりに向き合える係員の育成を目指しています。
共通意識があるから自然と支え合う環境づくりができる
今回お話を伺って、みんなが安全に利用できる駅にするためには、係員さんやその他の社員さんみなさんの意識づけが大事なのが分かりました。
はい、安全・安心なサービスをお客さまにご利用いただくため、そして西武グループのスローガンである『でかける人を、ほほえむ人へ。』を実現するために、駅係員、乗務員をはじめ社員全員が取り組んでいく必要があると思っています。
そんな共通の理念や目的意識を持っているからこそ、自然と支え合い、助け合う職場になっているなとも感じています。
素敵ですね!今後、さらに取り組んでいきたいことはありますか?
駅にはさまざまなニーズをお持ちのお客さまがいらっしゃるので、一人ひとりのご希望に沿ったサービスをご提供できるよう、社内教育を引き続き実施していきたいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
Q:今日の感想は?
一番印象に残ったのは列車案内表示器の色の違い。何気なく見ていると気づかないけれど、次の電車が何時に来るかってすごく大事ですし、見えにくい方がいるなんて思ってもみなかった。みんながパッと見えて内容が分かると安心ですよね。
こういった誰かのために考えたたくさんの細かい配慮を、みんなが「こんな取り組みがあったよ」って近くにいる人に伝えることで、少しずつ世の中全体で広がっていけばいいなと思うし、駅のような公共交通機関だけでなく、いろんな分野にも活かされていってほしいと思います。
また、ユニバーサルマナー検定(鉄道)を体験して、当事者の方が不便に感じていることに気づくきっかけにもなりました。耳が聞こえにくい方と接するときには、ジェスチャーを大きめにすると、言いたいことが伝わりやすいと分かったので、これから意識していきたいです。
駅の中には、普段気づかない配慮がたくさん隠れていました。駅だけでなく、誰もが安心して過ごせる空間を作るには、設備を整えたり、伝わる方法を意識したりすることが大切。ちょっとした声かけや気づきを大切にしながら、“つながる社会”をつくる一員として、伝わる工夫を意識してみませんか?















