【変態性を磨け!】「地元サイコゥ!映像祭」を企画したクリエイティブディレクターに聞く、視点を変えて映像作品を生み出す方法  #Rethinkパーソン

2022/12/19

社会人ライフ

株式会社ロボットで映像ディレクターとして活躍しながら、熊本県・合志市で映像クリエイター育成事業に携わる清水亮司さんに、視点を変えて魅力ある映像作品を生み出す極意をうかがいました。

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PROFILE

しみずりょうじ

◉――1961年生まれ。20代後半に映像ディレクターになり、株式会社ロボットで約20年にわたって主にCMの演出を行う。2005年の愛・地球博にて展示施設の映像作品を手掛けたことをきっかけに、展示映像も制作するように。

◉――2015年より、熊本県の合志市役所とともに映像クリエイター育成事業「合志市クリエイター塾」を開講。地元の魅力を発信できる市民を育てる授業を行っている。年々生徒数を増やし、今年は全国23都道府県から125人が参加している。2023年1月には、B級グルメグランプリの映像版「地元サイコゥ!映像祭」を開催予定。

1.“記憶に残る映像”を目指す、クリエイター塾

20代後半で映像ディレクターになり、約20年にわたりCM制作や展示施設の映像作品を手掛けてきました。映像クリエイター育成事業に携わり始めたのは2015年から。

熊本県の合志市という市をご存知でしょうか?熊本市の隣に位置し、農業や酪農が盛んで大きな工場もある良いところなのですが、目立ったランドマークがなく特徴がある街ではありません。そこで、合志市役所から何かできないかという相談をいただき、合志市でクリエイターを育てる事業を提案したのです。地元で映像を作りお金を稼げる人を育てることができれば、合志市にとって新しい動きとなるんじゃないかと。8年前に「合志市クリエイター塾」をスタートさせました。

1年目は生徒数10人ほどでしたが、年々知名度が上がっていき、昨年から合志市だけでなく全国にまで活動の場を広げました。今年は全国23都道府県から125人が参加しています。
参加者の年齢層は中学生から70ちかい方まで。主婦もいれば農家の人やお坊さんもいますね。もちろん今まで映像を作ったことない人もいますし、少し齧っている程度の人、本気でプロを目指している人もいます。

→合志市クリエイター塾生・講義の様子をもっと見たい!

クリエイター塾では年齢も職業もバラバラの人たちが同じ班になって映像作品を作っていきます。僕がクリエイター塾を続ける中で、気づきもありました。ひと言で映像作品といっても、時代とともに発信の形はどんどん変わってきているんです。8年前にはYouTubeはあったけどTikTokはまだなかったですからね。時代に沿って授業も変化させています。去年はYouTuberに参加してもらい、YouTube動画の作り方を教えましたし、今年はTikTokの動画作品の制作方法も教えています。毎年バージョンアップしながらやっています。

映像には「これが正解」というものがないんですよ。もちろん観た人全員が面白いという作品になれば最高ですが、なかなかそうはいかない。それより、一人でも誰かの心に残る作品を作ることに意味がある。理解を超えて心にグサッとくるような「意味がわからないけどなんか何回も観ちゃう」というものを作ることが大切だと思っています。だからこそクリエイター塾の参加者たちには、目指すべきは“記憶に残る映像”なのだということを常に伝えています。

2.映像制作に必要なのは、個性よりもっと深い“変態性”

誰かの記憶に残るためには、映像に“変態性”を込める必要があります。
変態性という言葉だけ聞くと「え?」と思うかもしれませんが、これは我々が考える深い個性のようなもの。ただ個性という言葉ではどうしても弱い。

映像を作るうえでは、もっと深いところまで自分自身を掘っていかなければならない。他人とは明らかに違う変態性と呼べるところまで自分のこだわりを見つめていかねばなりません。
例えば、電車に関してはどこまでも深く掘り下げられる人がいれば、可愛い女の子に対して掘っていける人もいる。人によってこだわりは色々ありますよね。

その人にしかない深い部分を映像に込めていかないと、人と違う作品は生み出せません。だからこそ個性というよりもっと深く、普段は人に曝け出さないけれど、確実に自分の中には存在しているこだわりを映像の中で表現していく必要があります。それが面白い映像作品を作るためには絶対に必要なこと。映像を作るうえでは深い個性を見つめ直したほうがいいと教えています。

3.変態性が出やすいのはTikTok動画

特に個性というか変態性が出やすいと感じるのは、TikTok動画。初めて動画を作る人って、長い動画だと、ついいろんなことをやりたくなってしまうんですよね。でも大抵の場合、ただの良い具合にあらすじを説明しただけの個性がない動画になってしまう。
その点、TikTokのような短尺の動画は、(文章に例えれば)作文よりも俳句に近い。5・7・5しかないとしたら、言いたいことをそのなかに詰め込むしかないので、個性が出やすいんですよ。

前述したように 今年からTikTokの映像制作を授業に取り入れ始めましたが、これがすごく面白いんです。TikTokはみなさんご存知の通り面白くなかったらスワイプして終わり。すぐ次の動画に飛ばされてしまいます。それがみんなわかっているから、つまんないとダメなんですよ。そうすると短い動画の中での面白さを自然と考えるようになるんです。開き直って自分の変態性を曝け出すようになるんです。それしか面白い動画を作る方法はないと気づくんですよ。動画を作るトレーニングの仕方としては、短い映像の方がいいのかもしれません。

4.清水さんが実践する、自分の変態性を見つける方法

変態性を磨く方法は、実は僕もまだわからない。いろんな映像に触れて、 自分がどこに惹かれているのかということを分析するしかないんです。例えば、なんとなく好きだと思う映画に出合ったら、どこが好きなんだろうと考えてみる。掘っていけば色々あると思うんですよ。映画の中の音楽が好きとか、役者の演技が好きなんだとか。ぼーっと観ていて好きだと思うもののどこに惹かれているかを分析してみることが大事。 

例えば、高名な映像作家が手掛けた作品には必ず「ここにこだわっている」という変態性が隠されています。ただ観ているだけでは気づかないかもしれませんが、「これが撮りたかったんだな」というものが絶対にあるんです。逆にそれがないと魅力的な映像作品にはなりません。

映像作品に触れるとき、一回目はまず素直な気持ちで観てみてください。ずっと分析しながら観ていると面白くないじゃないですか。僕も一回目はただ素直に楽しみます。それで観終わった後に「結局何が言いたかったんだろう」と考えて、もう一回見直すんですよ。もちろん、誰もが分析する必要はありません。ただ映像を作りたいと思うのであれば、分析してみるべき。自分が何にこだわりたいのか分析して、自分がいいと思うことを知るのは、作り手にとって重要です。

5.人間は結局一人。だからこそ自分を知ることが大事

若い頃から歳をとるまで、人は結局ずっと一人。できるだけ多くの人に出会い、意見を交わすことはとても大事ですが、それでも一人なんですよね。だからこそ自分とは何か、自分しか持っていない大切にしたいものはなんなのかを、常に意識することが必要だと考えています。それが自分の自信というか、結局自分ってこうなんだという開き直りになるんです。それを若い頃から意識することはすごく大事。自分のなかで譲れないものがあると、それだけで人生が違ってくるはずですから。

5.「地元サイコゥ!映像祭」で地元の魅力を再発見してほしい

来年1月新たな取り組みとして「地元サイコゥ!映像祭」を開催する予定です。地元の魅力を撮った映像作品を募集しますが、それと同時に審査員を一般公募するのも映像祭の特徴です。『踊る大捜査線』シリーズの監督を務めた本広克行さんと、映画感想TikTokクリエイター・しんのすけさん、僕という3名の審査員とともに、一般の人も動画作品を審査します。今の時代は誰でも動画をアップできて、誰でも「いいね」ができます。映像のプロだけが密室で審査するよりも、みんなが審査に加わった方がフェアだと思うんですよね。

「地元サイコゥ!映像祭」という名の通り、とにかく映像を楽しんで、その後意見交換も楽しんで、それによって人と繋がれる場所を作りたいと考えています。映像を作ったことがなくても、地元をなんとかしたいと考えている人にはぜひ参加していただきたいです。

→「地元サイコゥ!映像祭」について、もっと詳しく知りたい!

世の中は確実に変化しています。コロナ禍でリモートワークが当たり前になり、働く場所って本当に東京である意味があるんだろうかと、住む場所を考え直す人も多いでしょう。この映像祭がきっかけで地元の魅力を「再考」し、「再興」することができたら、地元って「最高じゃん」と思えるようになっていくはず。そうなれば結果的に日本が変わっていくと思っています。その想いを込めて「地元サイコゥ!映像祭」と名付けました。いずれは住んでいる場所は関係なく、その人が考える幸せの形を現実にできるようになればいいなと考えています。

取材・文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部




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