この記事は2020年11月12日に行われた公開取材のログ記事(前編)です。今回は「学校では教えてくれないお金の授業」第二弾!野村ホールディングス 酒井さんをゲストにお迎えし、インタビュー形式の公開取材を行いました。
インタビューしてくれたのは国際教養大学4年、株式会社Media Beatsの代表を務めている櫻庭さんです。
それでは、本編をご覧ください。
お話してくれるのはこの2人
野村ホールディングス株式会社 酒井賢一さん
ESG推進室 金融リテラシー推進課
ヴァイス・プレジデント
昭和63年大学卒業後、国内の銀行に就職。その後外資系証券会社を経て平成20年に野村グループに入社。債券のミドルオフィスを経て6年前より現職。
【野村グループの紹介】
世界30カ国・地域を超えるネットワークを持つグローバル金融サービス・グループ。営業、アセット・マネジメント、ホールセール、マーチャント・バンキングという4つの部門が連携し、国内外のお客様に付加価値の高い商品・サービスを提供しています。
インタビュアー 櫻庭 悠汰さん
株式会社Media Beats代表/国際教養大学在学中
大学3年から広告代理店でインターンを始め、多くのWeb事業を経験。その後、国際教養大学在学中に株式会社Media Beatsを起業。現在はWeb広告やメディアの制作、運用をワントップで行うWeb会社を経営。50種類以上のメディア制作、運用経験からクライアントにとって最適なコンテンツを制作、運用している。
目次
1.これから投資を始めたら、資産1億円突破するの!?
2.そもそも大学生から投資を始めるのは適切?
本日は酒井さんへ投資の疑問について色々とインタビューをさせて頂きたいと思います。
よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
最初に、野村グループの説明をさせていただきます。
野村ホールディングスは野村グループの持ち株会社で、傘下に野村證券、野村アセットマネジメント、野村信託銀行といった金融サービス会社を擁しています。
世界30か国で27,000人の職員が働いていて、その半数が日本、半数が海外です。
社員の国籍を合計すると90か国になり、グローバルに展開していることがお分かりいただけると思います。
ありがとうございます。グローバルでスケールの大きい会社なのですね!参考になりました。では、早速ですが最初の質問から始めていきます。
「これから投資を始めたら、資産1億円突破するの!?」という質問です。
いきなり本題に入ってしまうのですが、こちらはいかがでしょうか?
この質問の答えはとても難しいのですが、「1億円突破するのは難しいけれど無理ではない」です。
まず、こちらの写真を見てください。この左上の写真がなんだかわかりますか?
たぶん昔のお金ですよね?
そうです。ここに書かれているように、明治18年に発行された1円札です。
実はこの1円札はまだ有効、つまりお店で1円として使えるんです。
え!まだ使えるんですか?
はい。ただ、これをお店に持っていってもただ驚かれるだけだと思うんです(笑)。どうしても1円として使いたい場合は、日本銀行で1円玉に換えてもらう必要があります。
でも、オークションなどでは5万円位で取引されていますので、ちょっともったいないですよね。
5万円!結構高いですね!
はい。ちなみに櫻庭さん、最近見かけないお札ってありませんか?
最近ですと、2000円札とかですかね?
そうですね。こちらはまだ珍しい感じはしないと思いますが、もしかするとあと135年後には5万倍の価値が出るかもしれませんよ。
2000円札を5万倍するとちょうど1億円ですよね。どうでしょう?
夢がある話ですね!
そうですよね。何が言いたいかというと、「1億円を突破するかどうか」ではなく、「いつ、いくら必要なのか?」を考えることが大切だということです。 これから卒業して就職していく中で、ライフステージに応じて計画的に資産管理をしていく必要があるんじゃないかなと思います。
ちなみに、唐突ですが櫻庭さんの夢ってなんですか?
僕の夢は、マイホームを買って幸せな家庭を築くこと、ですかね?
素敵な夢ですね。では、結婚するにはいくらかかると思いますか?
だいたい300万~400万円くらいだと思っているんですけど…。
世間の相場はそのくらいですね。
もし豪華に世界一周旅行に行きたいとなれば、その倍くらいはかかるかもしれませんが。
あとは結婚して家を買うとか、子どもが生まれて教育費を出さなくてはならないとか、これからのライフイベントのためのお金が必要になってきますね。それらに備えて計画的に資産を増やしていくことが大切だと思います。
ここで、視聴者の皆さんに事前にお送りしている関数入りのエクセルシートを使って一緒に計算してみましょう。※こちらのシートは正確性を保証するものではありません。あくまで目安としてご覧ください。
ここで紹介したいのが「72の法則」というものです。簡単にいうと金融商品に投資をする際に、金利の複利効果により元本を2倍にするための投資期間を計算するための法則です。
たとえば運用利率を3%と入力すると、運用期間は24年となります(運用利率3%×運用期間24年=72)。
終価は2,052,588円なので、100万円が2倍になっていることがわかります。
「拠出金」というのが「元本」ということですか?
そうです。
たとえば運用利率を6%にすると、運用期間は12年で終価は2,050,751円になります(運用利率6%×運用期間12年=72)。こういったものを「72の法則」といいます。
ただ、元本を貯めてから運用というのも難しいと思いますので、「月々」1万円ずつを積み立てる方法もあります。
65歳から年金がもらえるので45年間を積み立てるとします。実際に自分が出したお金は540万円ですが、45年間のうちに27,697,726円になるという結果が出ます。
1億円にはまだまだ足りない気がしますね…。
そうですね、でも今6%で運用するのはなかなかで難しいと思います。
例えば、年齢が上がるにつれて1万円よりも金額を増やせると思うので、「1年あたり増加金額」を1,000円に設定してみます。
すると、拠出金額は1,728万円で終価は63,559,840円になります。だいぶ1億円に近づいてきましたね。
1億円が見えてきたような気がします。
ただこの試算だと65歳になったときに毎月5万4,000円出さないといけないことになります。
あと、現実的に6%の運用利率は難しいので3%で試算してみましょう。
そうすると終価は3,000万円くらいなんですね。
実際、定期預金の利率は現在0.002%なので3%でもけっこう難しい状況です。運用利率に0.002%と入力してみると、利息が5,970円しか付かないのです。45年も運用しているのに。
全然増えないですね。
そうなのです。結構難しいですよね。
では次の質問ですが、「そもそも大学生から投資を始めるのは適切なの?」ということです。学生からは「早すぎなんじゃないか?」という意見もあるので、酒井さんの視点からアドバイスをいただければと思います。
はい、この答えは「イエス」ですね。
無理をしていけませんが、大学生に限らず、早めに投資を始めるのがいいと思います。
投資では「長期・分散・積立」を味方につけることが大切です。
前回のセミナーで横山さんが「長期」と「分散」について詳しくお話をされていたので、今回私からは「積立」についてお話しします。
この図の AとBのどちらの買い方がいいと思いますか?Aは毎月1万円で買えるだけ買う方法、Bは毎月100株ずつ買っていく方法です。
僕の場合は毎月決まったお金が出ていった方がいいので、Aのほうがいいですね。
はい!実は、Aの買い方の方がおすすめです。
もう少し詳しく見ていきましょう。
これは、AとBの方法で6か月間購入した場合の比較です。
Aは毎月1万円ずつ購入で、1月の株価は80円なので125株買えることになります。
Bは100株購入なので8,000円の支出になります。
2月は株価が50円なのでAは1万円で200株買えて、Bは100株買いなので5,000円の支出になります。この時点ではAとBのどちらがいいのか迷ってしまいますね。
そこで、4月を見てください。株価が250円なのでAは40株買うことになります。Bは100株で2万5,000円も出費しなくてはなりません。
これらを合計すると、次のようになります。
Aは毎月1万円ずつの支出なので合計6万円の支出になります。
全部で790株を買えて、平均単価は76円です。
一方、Bは毎月100株ずつなので600株買えますが、合計6万1,000円支出しています。平均単価は102円です。
だいぶ違いますよね。
そうですね。見てわかるように、Aの買い方の方がお得です。
まとめると、Aは値段が安いときに多く買え、高いときには少ししか買わなくて済みます。
非常に合理的な方法で、大学生に限らず早くから投資を始めると、「長期、分散、積立」といった効果が得られます。
ほかにも、常に株価の上がり下がりを見ていなくてもいいというメリットがあります。
毎月定額分を買うので「いつ買おうか」と考える必要がなく自然と資産が増えていきます。
たしかに、投資というとずっとチャートに張り付いていなくちゃならないイメージがありますよね。
そうですよね。あんなことしていたら夜眠れなくなっちゃいますよね(笑)。
この買い方は「ドルコスト平均法」と言われています。興味のある方は調べてみてくださいね。
※「ドルコスト平均法」についての解説はこちらをご覧ください。
▶後編では具体的な投資先の選び方や投資に関するリスクについて教えていただきました。
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