ポテンシャルとは、英単語「potential」から来たカタカナ言葉であり、人の能力評価や、自動車など機械の性能評価をする際に使われます。最近では就活、人材採用についてもポテンシャルという言葉が頻繁に使われるようになりました。
今回はビジネスシーンで活用されるポテンシャルの正しい意味と使い方について紹介します。
「ポテンシャル」は、英単語「potential」からきたカタカナ言葉ですが、現在ではすっかり日本語化して広く使われていますね。
英単語「potential」は、形容詞としては「見込みのある」「可能性のある」「潜在的な」という意味で、名詞としては「(将来の)発展性」「可能性」「潜在能力」という意味です。『広辞苑』では次のように説明しています。
ポテンシャル【potential】
1.潜在する能力。可能性としての力。
2.[理]粒子が力の場の中にある時、その位置エネルギーを位置の関数として表したスカラー量。
(『広辞苑 第六版』P.2598より引用)
つまり日本語の「ポテンシャル」は、英単語「potential」の名詞の意味とほぼ同義です。その人物、機械などの「潜在能力」「(将来の)発展性」「可能性」をポテンシャルと呼ぶのです。
・部長は、○○君のポテンシャルをうまく引き出した。
・あのメーカーの新車は、ポテンシャルが高い。
・Aさんは、もともとポテンシャルの高い人だ。
上記のような使い方ではポテンシャルを「潜在能力」と置き換えても意味が通ります。
例えば上司から「あなたはポテンシャルが高い」と言われたら、あなたがまだ見せていない力に上司は期待しているのでポジティブにとらえてもいいでしょう。
最近では「ポテンシャル採用」という言葉が登場しています。これは、看板どおり「その人の潜在能力に期待して採用する」というものです。
本来であれば、どの会社でも中途採用では即戦力の人材を求めます。しかし、この人手不足の時代にぜいたくは言っていられず、中途採用でも「即戦力枠」と、その人の潜在能力を評価する「ポテンシャル枠」を設ける企業が増えていることからこの「ポテンシャル採用」が生まれました。
このような背景ですので、ポテンシャル採用では、実務経験よりも人柄や意欲が評価されます。ただし、実務経験がなくてもその業務についての知識はあったほうが有利です。もしポテンシャル枠での採用を目指すのであれば、参考書などを読んで仕事内容についての知識を得て、その上で意欲をアピールするのがよいでしょう。
ポテンシャルと同様の働きをする言葉としては「潜在力」「伸びしろ」「素質」「発展性」などを挙げることができます。
・部長は、○○君の潜在力をうまく引き出した。
・部長は、○○君の伸びしろをうまく引き出した。
・部長は、○○君の素質をうまく引き出した。
・あのメーカーの新車には、発展性がある。
このように「ポテンシャル」という言葉を、似た働きをする言葉で置き換えても意味はほぼ同じで、理解できますね。
では、英語でのpotentialの使い方を見てみましょう。
・He has great potential.
彼は大きな力を秘めている。
・I believe that you have unlimited potential.
あなたには無限の可能性がある、と私は信じている。
・You have more potential than him.
あなたは、彼よりも潜在力が高い。
というような使い方で「秘めた力」「可能性」などを表現できます。また「potential ability」で「潜在能力」、「One's own potential」で「その人の可能性」という言い回しになります。こちらも覚えておくと役立つかもしれませんね。
上で、例えば上司から「ポテンシャルが高い」と言われたらほめられていることを表していますと紹介しましたが、「ポテンシャルが高い人」とはどんな人なのでしょうか? 潜在能力のある人、(将来の)発展性・可能性が感じられる人が「ポテンシャルが高い人」だとすれば、以下のような特徴を持つ人ではないでしょうか。
仕事に前向きなど、事に当たるのにアグレッシブでなければポテンシャルが高いとはいえません。「いざとなったら力を出す」なんていう人は信用できませんね。普段からアグレッシブであるからこそ、いざというときにも力を発揮できるのです。
これはコミュニケーション能力にも通じます。人の言うことに耳を傾け、その主旨を理解できなければ、ポテンシャルが高いとはいえません。人からもらった情報をきちんと整理しているからこそ、いざというときに取り出して使えるのです。これは、理解力がないと不可能です。
喫緊の場面では、人と協力して事に当たらないといけません。仕事であればなおのこと、人に対策を説明し、協力を取り付け、一緒に道を切り開くべきですね。そのためには表現力が必要です。ポテンシャルが高い人は表現力が豊かでないといけません。
他人を的確に評価できるだけでは駄目です。冷静な目で自分を見ることのできる人こそ、ポテンシャルが高いといえます。勝負事や緊急時には、熱くなったほうが負けです。自分の置かれた状況を客観視できなければ、状況に勝つことはできません。自己分析が普段から的確な人は、緊急の場にも対応できるポテンシャルが高い人です。
こうして特徴を挙げてみますと、ポテンシャルが高い人というのは、非常な「リアリスト(現実主義者)」でなければならないようです。どんな状況であれ、現実をしっかり見据え、自分を客観視でき、また対策を講じてアグレッシブに進める。まさに、このような人こそが「high potential」と呼べるのではないでしょうか?
すっかり日本語化している「ポテンシャル」という言葉は、「潜在力」「(将来の)発展性」「可能性」といった意味で使われています。最近では「ポテンシャル採用」なんて言葉もありますが、これは「潜在能力に期待した採用」という意味からきています。日本では、ポテンシャルはほとんど「潜在能力」と同義で使われてると考えてよいようです。「君はポテンシャルが高いね」なんて言われたら、あなたが見せていない能力に期待されていると覚えておきましょう。
(柏ケミカル@dcp)
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