文章などで、「ご理解のほどよろしくお願いいたします」という言葉を目にしたことはないでしょうか。丁寧さが滲み出る文章ですが、実際にどのようなシーンで使うと効果的なのか悩むところ。使い方を間違えると「上から目線」なイメージを与えてしまいます。今回はこの言葉の意味と、効果的な使い方をわかりやすくご紹介しましょう。
この言葉の意味は、簡単に言うと次のようになります。
こちらのやむにやまれぬ事情をあなたの広い心でどうか分かってほしいのです。お願いします。
このように、相手にとって不利益、または条件がよくない話を持ち出し、その状況を理解し、納得してもらいたい場合に使うことができます。これには、「その状況が改善できるようにできるだけ頑張りますが、中々難しいので許してほしい」というこちらの誠意と謝罪の意味が含まれます。
「ご理解よろしくお願いいたします。」と使うこともできますが、これはもう決まってしまった事柄に対して、「そういうことなので受け入れてください。よろしく」というニュアンスが強く、場合によっては「こちらの都合を聞かずに一方的に決まったのか!」と、相手に不快感を与えます。「ほど」を挟み込むことによりマイルドな言い回しになり、「聡明なあなたなら、こちらの事情を理解し、きっと許してくださると信じております」という相手の懐の深さを賞賛する印象が出て、尊敬の意味合いが強くなります。
それでは使い方を見ていきましょう。
「今回のお届け遅延に関して、お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
「明日の電気工事に伴う停電は15時の終了予定です。ご不便をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
このように、相手に迷惑をかける、自分の側に非がある場合に使われます。ただし、上司や、目上の人に向けて使う場合は注意が必要です。
<間違い>
「○○部長 先日の機械の不具合、誠に申し訳ありませんでした。現在原因を究明中です。ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
実は、「私はもう十分わかっている。そこまで物がわからない人間ではない。バカにしているのか?」という印象を与えてしまう場合があります。この場合、「何卒ご了承のほど、よろしくお願いいたします。」と言い換える方がベターです。なお、「ご了承」(ごりょうしょう)には上のものが下のものを許すという意味があります。
長文の言い回しは難しいですが、覚えておいて損はありません。「ご了承」とワンペアで覚えて使い分けるといいでしょう。ビジネスシーンでの表現の幅が広がります。
執筆:山河丸々(さんが まるまる)
海外で外国人に日本語を教えている兼業ライター。現在はアジア某国在住。日々生まれてゆく新しい日本語と、日本語能力試験に出る日本語との乖離に悩む。趣味はB級グルメ食べ歩き。
2021/04/09
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