みなさんはメールで相手にメッセージを送信する際、「拝啓」と「敬具」を冒頭と文末に付けているでしょうか。恐らく、付けているという人はほとんどいないと思います。
では実際のところ、メールに「拝啓・敬具」が必要なのか。ここで詳しく解説していきましょう。
「拝啓・敬具」の正しい意味を理解すれば、相手に失礼のないメールが送れるようになるはずです。
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「拝啓」の「拝」は、「あなたのことを尊敬しつつ」という意味を持っています。「啓」は「謹んで申し上げます」と言う意味。つまり、拝啓の意味は「あなたのことを尊敬しつつ、これから謹んで申し上げます」です。
古くは、「拝啓仕候」(はいけいつかまつりそうろう)という4文字の複合形で用いられていました。「拝啓仕候」から「拝啓」へ簡略化されたのは、明治時代の中頃だといわれています。
「敬具」は、「敬:謹んで」、「具:整える」という意味があります。つまり、「これにて謹んで文章をしめくくります」という意味になります。「敬具」が使われはじめたのは大正時代に入ってからだといわれています。それまでは敬具は使用されていませんでした。
手紙では「拝啓」のあと、時候の挨拶が続きます。いきなり本題を切り出してしまうと、せっかちな印象を相手に与えてしまうので、時候の挨拶をクッションがわりにはさんでから本題へ移行するのです。
春の時候の挨拶には
「桜のつぼみも膨らみはじめ、日を追うごとに暖かくなってまいりました」
夏の時候の挨拶には
「蝉時雨がにぎやかに降り注ぐ季節となりました」
秋の時候の挨拶は「木々の梢が色づきはじめた今日この頃」
冬の時候の挨拶には
「寒気ことのほか厳しい日々が続いておりますが、お元気でお過ごしですか」
などがあります。
「拝啓」でなく「前略」ではじまる手紙の場合は、「早々」で結びます。
「前略」は「失礼ながら時候の挨拶をはぶかせていただき本題に入らせていただきます」という意味になり、「早々」では「失礼ながら取り急ぎ要件のみをお伝えしました」という締めくくりになります。
メールで要件を先方に伝える際、拝啓と敬具を使っている人はほとんどいません。
特にビジネスメールの場合は、要件を相手にわかりやすく伝えることが重要課題とされています。そのため、拝啓や時候の挨拶は省略して「お世話になっております」程度の簡略化した挨拶にして本題へ移行します。
ビジネスメールの「拝啓・敬具」はマナー違反と思われる可能性がある
忙しいビジネスパーソンに向かって、拝啓や長々とした時候の挨拶をはさんでいたのでは、かえって失礼にあたります。
たとえば、ビジネス上の要件を伝えるメールに
ーーー
拝啓
蝉時雨がにぎやかに降り注ぐ季節となりました。
御社におかれましては、益々ご清祥のことと拝察いたします
ーーー
という時候の挨拶があれば、「それよりも要件を早く伝えてよ!」と思うはずです。
同じ理由で手紙では女性らしさが表現できる「かしこ」は、メールではかしこまった表現過ぎるとして使いません。
相手に負担をかけずに要件を明確に伝えることが、ビジネスメールのマナーです。
ビジネスメールでは「拝啓」と時候の挨拶のかわりに「お世話になっております」を入れます。
親しい相手の場合は、「今日はよい天気ですね」くらいは入れてもいいかもしれません。
「敬具」のかわりに「何卒よろしくお願いいたします」もしくは「よろしくお願い申し上げます」などが入ります。
また、手紙で挨拶を省略する際に使う「前略」はメールでは使用しません。急ぐのだったら「お世話になっております」という挨拶だけで十分だからです。
ビジネスメールでは、最低限の敬意を払いながら、スピードと効率化を重視することが重要です。
上司や取引相手へのお礼文や挨拶文をメールで送信する際には、拝啓と敬具を使うとより丁寧な文面になります。
こういった場合に送るメールは、会社によって体裁が異なっている場合があります。上司や先輩に相談の上、過去の慣例を確認して、それに沿った形式で文面を仕上げるようにしましょう。
ビジネスメールで要件を伝える際には「拝啓」のかわりに「お世話になっております」、「敬具」のかわりに「よろしくお願い申し上げます」を使用します。
ただし、新年の挨拶やお礼のメールには、「拝啓」と「敬具」をつけたほうが、より丁寧な文面になり、相手にも気持ちが伝わりやすくなります。
最低限の常識的な形式を守りながら、自分でも読み返してみて自然な文面に仕上げるようにしましょう。
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