女同士の友情は、独身か否か、子どもがいるか・いないか、などの状況で変化することも多いといわれています。そのため仲良かった女性同士が、片方の結婚を機に関係が変わっていったり、片方の出産をきっかけに共通の話題を見つけるのがむずかしくなったり、などという話もよく聞きますね。
友だち同士、基本は気持ちが通じ合っていればそんな外的要素はさほど重要ではないとも思いますが、もしかしたらその「気持ち」自体が案外もろいものなのかもしれませんね。友だち同士、「同じような条件のもと、同じような状況にいる」と気持ちも通じやすいけれど、片方の状況が少し変わると気持ちがもろくなることもあるようです。
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さて、たとえば一方の女性がいわゆる「セレブ」でもう一方の女性がどちらかというと庶民的な場合、つまりお互いの経済状況に格差がある場合、友情は成り立つものなのでしょうか? 筆者の経験ですと、お互いがお互いの経済状況をあまり気にしていなかったり、お金以外の面でお互いのキャラクターが好きだったりする場合は意外と成り立つ印象です。また、片方がセレブで色んな持ち物などを披露するのが好きで、もう片方がセレブに憧れている女子の場合、この組み合わせも意外と上手くいったりします。
でも経済的な格差があまりに激しい場合は色んなハードルがあるのもまた事実です。女子の場合、持ち物などにその「差」がモロにあらわれますし。
たとえば外国から日本に来たばかりの女子留学生。本人は楽しんでいましたが、かなり経済的に苦しい立場にいました。本人はそんな事を気にしている風もなく、周囲に100円ショップで化粧品を買った話などを楽しげにしていましたが。そんな彼女は同年代の日本人セレブと仲良くしています。外国人大学生のほうは天真爛漫に「100円ショップでファンデーションを買った!」という話をセレブ女性にしています。それを聞いたセレブさん(以下セレブさんとします)は一言「それだと、お肌がかわいそう。お肌につけるものは、やっぱりちゃんとしたものを買ったほうがいいよ」——両者の発言に温度差を見ました。たしかにセレブさんの言い分(「ちゃんとしたもののほうが肌にいい」)も一理あるのかもしれませんが、この学生の場合は金銭的にそれどころではなさそうです。
世の中、「ちゃんとしたもの」「いいもの」とされているものの多くは値段が高めですから、セレブ女子または金銭的に余裕のある女子がそうでない女友だちとお話しするとき、以下のような発言には気をつけたほうがよいかもしれません。
「肌につけるものは、良いものを買ったほうがいいよ」
「口に入れるものは、良いもののほうがいいよ」
「住む場所には、やっぱりこだわったほうがいいよ」
「身につけるもの(服や靴、バッグ)は、やっぱりいいものを持ったほうがいいよ」
もう少しお金を出したほうが肌に良いとか健康に良いとか身なりが小奇麗に見える——それは正論なのかもしれないけれど、格差社会の世の中、もしかしたらこれは勝者の正論なのかもしれません。
なんだか難しい話になってしまいましたが、冒頭の金銭的に苦戦している留学生とセレブさんに関しては、幸いなことにお二人ともかなりの「天然ボケ」でして、現在も片方が100円ショップの話を嬉々とし、セレブさんが「やっぱり、いいものを......」と善意でアドバイスをする関係が続いております。もしかしたら二人とも天然ボケなのが、かえってよいのかもしれません。というのは、会話の際に裏を読み過ぎた結果「あら? これって嫌味かしら?!」などと疑い始めるとキリがないですし女同士どんどん関係が悪化していきます。女同士のお付き合いに関しては、嗅覚が鋭すぎたり、いろいろなことを敏感に察知しすぎるのは、むしろ考えものなのかもしれません。立場が違う者同士がお付き合いを続けるには、当人達に天然ボケの能力が備わっているときっと上手くいくでしょう。
......とはいってもイキナリ天然ボケになるのは難しいと思われますので、キーワードは「気にしない」ことだと言えそうです。心当たりがある方、一度試してみてはいかがでしょうか。
文●サンドラ・ヘフェリン
プロフィール/ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴17年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。
著書にベストセラーとなった「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)のほか、「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「満員電車は観光地!?」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)、「日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。」(片桐了との共著/大和出版)などがある。
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