後味が悪い? 「悪い人じゃないんだけど」「差別するわけじゃないんだけど」という前置きに隠された本音

2015/03/30

付き合い・人間関係

その場には不在の第三者(たとえばBさん)の話題になるとき、つい無意識に使ってしまいがちなフレーズに、「Bさん、悪い人じゃないんだけど......」というのがあります。矛盾しているようですが、この後に続くのはたいていBさんに関する悪口。興味深いことに悪口の最中にも「そうなのよね、Bさん、悪い人じゃないんだけど〜(以下悪口)」というフレーズが繰り返されていたりするのですね。前置きをすることに、後に来る悪口を多少和らげる効果があるのかもしれませんが、その前置き(「悪い人じゃないんだけど」)が、後に続く悪口との差があまりに激しいと嘘っぽく聞こえるし後味が悪くなるので、気をつけたいところです。

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また、「私はいいんだけど、みなさんが......」という言い方をする人がいますが、これも微妙だったりします。本当に自分はよいのにみなさんの都合が悪い場合もありますが、ぶっちゃけ自分の都合が悪いことを直接的には言いたくないがために「私はいいんですが、みなさんが......」という使われ方がされていることも多いようです。まあこれに関してはある意味大人の話し方の範囲内と言えますし、必ずしも悪いとは言えないのかもしれません。むしろ会話の中に「私はいいんだけど......」というフレーズがたくさん出てくる人というのは、直接的に断る事を心苦しいと感じている周りに気を遣うタイプの人間なのかもしれません。

さて、「悪い人じゃないんだけど......」「私はいいんだけど、みなさんが......」よりももっと強烈なのが「差別するわけじゃないんだけど......」という前置きです。実はこちらもかなり微妙でして、「ゲイを差別するわけじゃないんだけど......」の後には、間違いなくゲイを差別する発言が続きます。そして「僕は女性差別をする気はないんだが......」の後には、たいていびっくりするような女性を差別する発言が続きます。先日は「いや、僕はね、女性差別をする気はまったくないんだが、男と女っつうものは動物界でも違うわけだ。子どもは女性にしか産めないわけだし、そこで仕事をしようっていうのがそもそもナンタラカンタラ」というのを聞いて笑ってしまいました。また、居酒屋の壁越しに「おれは外国人を差別するわけじゃないけどよ、●●人(←国の名前)ってのは、やっぱり怖いよな。見た目からしてナンタラカンタラ......」というお酒も手伝ってか大声で本音を語ってくれる人もいたりします。ただ、前置きをしつつ、実はその後にポロっと本音丸出しの発言をしてしまうというのは人間ありがちなので、自分も気をつけなくてはと思います。

色々な例を挙げましたが、もしかしたら「前置き」にこそ本音が隠されているのかもしれません。筆者は背が高く太めなのですが、以前みんなで飲んでいたお酒の席で、ちょっと気になっている男性が「背が高い女性が嫌いってわけじゃないんだけど......」とまさに前置きでさっそく本音を漏らした際にはスッパリその恋を諦めました。

「悪い人じゃないんだけど」「差別するわけじゃないんだけど」というフレーズの裏には「言っている自分が悪者になりたくない」といういわばエクスキューズ的なものもあるのかもしれませんが、ある種の本音が隠れているといえるでしょう。「あの人は悪い人ではない」、「自分は差別をしているわけではない」、「自分は別に背が高い女性が嫌いなわけではない」、といった具合にあえて「否定」している部分が実はその人の思わぬ本音なのかもしれません。

仕事でもプライベートでも、相手との会話の際に、相手の言う「前置き」に耳をすませれば、その人の思わぬ本音が聞けるのかもしれません。

文●サンドラ・ヘフェリン

プロフィール/ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴17年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、「多文化共生」をテーマに執筆活動をしている。

著書にベストセラーとなった「浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ」(光文社)のほか、「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「満員電車は観光地!?」(流水りんことの共著/KKベストセラーズ)、「日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。」(片桐了との共著/大和出版)などがある。

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