エジソンというと「世界の発明王」が通り名で、「天才は1%のひらめきと99%の汗」という発言でよく知られています。でも......実はけっこう意固地なオッサンでもあったのです。昔話みたいなタイトルで恐縮ですが、今回は「悪いエジソンの話」です。
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■電気産業の誕生時期に3人の天才現る!
トーマス・エジソンは「白熱電球の発明者」としても知られていますが、彼の生きた時代は電気産業の黎明(れいめい)期でした。発電所で電気を作り、それを家庭まで送電する方式で「戦争」が生じます。
エジゾンは断固として「直流送電方式」を主張します。
これに対して「交流送電方式」を主張したのは、ジョージ・ウェスティングハウス。
日本ではあまり有名でないかもしれませんが、ウェスティングハウスもまた優秀な発明家であり実業家でした。鉄道車両用の空気ブレーキを発明したのは彼です。上の定義によれば、ウェスティングハウスも天才です。
この争いに、エジソンの下で働いた経験を持つ「ニコラ・テスラ」という天才が加わります。テスラは「交流発電機」の特許を持っていたのですが、これにウェスティングハウスが興味を持ち、接触します。
ウェスティングハウスは、テスラの特許を取得、テスラをコンサルタントに雇い、交流送電システムの開発にまい進しました。結局、彼らが作り上げた「多極交流電送機」は後のアメリカ電量送電システムの基礎になるのです。
■世界史に残る「電流戦争」!
さて、収まらないのは一方の天才・エジソンでした。
うちの研究室にいたヤツがよりによって敵に付くなんて! と思ったかどうかわかりませんが、「交流方式」の評判を落とすためにさまざまな手を尽くします。世界史に残る[電流戦争」(英語ではWar of Currentsといいます)です。泥試合ですけど(笑)。
悪いエジソンが行った、一番ひどいと思われるネガティブキャンペーンは、交流の電気死刑装置を作り、それに動物を掛けて見せ物にしたことです。ネコ、イヌ、ゾウまでを殺したといわれています。ゾウが死ぬ場面が入った映画は全米公開されました。
ニューヨーク市が絞首刑に代わる死刑方法を募集しているのを知って、「交流方式」の電気椅子を作れば、みんなが交流電流を怖いと思うのではないか、というのがその動機というのですからひどいですね。
また、その流れで「処刑する」ことを「ウェスティングハウスする」(Westinghousing)と呼ぶことにしよう、などと呼び掛けも行っています。
■ムキになちゃったのが......
歴史が明らかにしたように、「交流送電方式」のほうが優れていました。
・電圧を容易に変えられる
・送電時のロスを少なくできる
というメリットがあったためです。恐らくそれはエジソン自身もよく理解していたことでしょう。しかし、意固地に自分の「直流送電方式」にこだわったため、世紀の泥試合を演じることとなりました。
せっかく世界初の電気椅子まで作ったネガティブキャンペーンだったのですが、「電気で動物を殺すなんて、エジソン怖っ!」というのが一般の反応だったそうです。「人を呪わば穴二つ」といいますが、悪いエジソンには、きっちり悪い評判が立ったのです。
やめときゃ良かったですね。
(高橋モータース@dcp)
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