酒場「しんばし」にて——。
うえーい、酔っ払っちゃった(笑)。
ワタシ? ダンジョンで「めんせつかん」をやってるユリよ。
ちょ、身構えない! 「めんせつかん」にだって休息は必要なのよ!
......ていうかアナタ、アレね。なかなかカワイイ顔してるじゃない。少し私のお酒に付き合わない?
「→いいえ」じゃねーよ! いいから私のグチを聞けってんだ。
私たち「めんせつかん」が面接で知りたいのは、基本的にこの5つなのよ。
【1】その学生の成功体験+コツ
【2】その学生が持っているエネルギー
【3】その学生の人柄
【4】その学生が自社に向いているかどうか(どんなことが好きで、何ができるのか)
【5】その学生の知識量
でも「あなた、どれくらいのエネルギーを持ってる?」とか聞いても答えづらいだろうから、いろんなことを質問して掘り下げてるわけ。たとえば「趣味・特技」とか「学業・ゼミ」とかいろいろあるでしょ?
ところが、いざ「趣味・特技」を聞かれると、学生は何て言っていいかわかんなくなって、とりあえず「料理はピアノ」とか答えるわけよ。
そんなことは聞いてねーんだよ! 「ご趣味は?」「料理とピアノです」って、どんなお見合いだよ! ここは若い2人にまかせて......ってやかましいわ!
「そっちが趣味を聞いてんじゃん」って? そりゃそうね。でも、私たちはこういうやりとりがしたいわけ。
Q.趣味・特技は?
A.料理(本物のハンバーグを求めてさすらいバイト旅)
ピアノ(修学旅行中も紙に書いた鍵盤をたたく)
Q.「さすらいバイト旅」って何ですか?
「食品会社を志望するだけに、元々『食』に興味があるんです(→【4】向き不向き)。サークルでも趣味でも、親に1円たりとも迷惑をかけたくないので(→【3】人柄)、用事がないときはずっとアルバイトしてたんです(→【2】エネルギー)。でも、ただ時間を切り売りするのではなくて、学びがあるほうが一生懸命になれるじゃないですか(→【1】成功法則)。そこで、自分が好きなハンバーグを極めるべく、おいしいと言われる店を転々とさすらいながらバイトしたんです」
いいじゃん! 内定だわよ(※実話です)。
この子がつくったハンバーグ、たべてみたいわぁ。って、よりいろいろ伝わってくるわよね。食品メーカーや飲食の企業なら、やっぱり食に興味がないと! しかも、親に迷惑をかけたくないから必死でバイトとか、部下にほしくない?
一方「ゼミ」の欄に「財産分与法を学ぶ」と書いてきた学生がいたわ。見れば「債権譲渡禁止特約の概説を発表し......」って、法律事務所を受けてんなら「【5】知識量」のアピールにもなろうってもんだけど、ウチは牛乳の会社だっつーの! しかも「審判離婚においては......」って、もうほっといて!
私が言いたいのはこういうこと。みんな「エントリーシートに何を書けばいいかわからない」とか「面接で何をしゃべればいいのかわからない」とか言うわよね。「県大会出場」「○年間留学」とか、そういうのがないって悩むわよね。でも、たとえばさっきのハンバーグの学生、大したことしてた? 何か特別なことやってる? 普通にバイトしてただけじゃない。でも、私たちが知りたい【1】〜【5】が伝わってきて、かつ、それがウチの会社に向いていそうだったから「内定!」なのよ。
さらに言えば、もったいない人も多いのよ。
あなたは世界でひとりでしょ? ただ「ゼミ」とか書いても、そのゼミに所属した人は、卒業生も含めれば何百人もいるわよね。がんばって法律のこと書いても、結局は弁護士のほうがくわしいじゃない。なのに、なんで「ゼミ」や「法律」をだけ語って、「自分」を主人公にしないの? 電車で席を譲る話でも、コーヒーの淹れ方でも、趣味のフィギュア収集でも、【1】〜【5】が伝わればそれでいい......はず......にょ。
ユリは寝てしまった。介抱しますか?
→いいえ
本日の武器(まとめ)
■エントリーシートの「趣味・特技」の欄には、面接官が突っ込みたくなる要素(上記の「さすらいバイトの旅」のような)を入れてください
■志望動機、学生時代頑張ったことは、いずれも、【1】〜【5】を意識し、自分を主人公に書いてください(間違ってもゼミやバイトの内容の説明だけにしないでくださいね)。
文●夏目幸明
(本コラムは、内定というクリアを目指すために必要な心構えや戦略をわかりやすく紹介する連載企画です。続きはサイトに随時アップしていきます→http://student.mynavi.jp/style/column/quest/)
夏目幸明プロフィール
「マネジメント、経営、技術の3つが見えれば企業が見える」を旗印に様々な企業を取材する経済ジャーナリスト。大学・専門学校で就活支援、マーケティングなどの講師をつとめる。講義は「資格の学校TAC」などで聞けるほか、ネット放送で「就活SHOW」を行う。著書は「社長あるある」(朝日新聞出版社)など。
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