就活生諸君!「人気企業ランキング」に載らない宝物を探そう

更新:2016/01/28

内定・内定辞退

就活生諸君!「人気企業ランキング」に載らない宝物を探そう

毎年、発表される「大学生就職人気企業ランキング」。ここ15年ほどの顔ぶれを見ると、文系学生は日本航空、全日空、JTBなど、航空、旅行業界上位が常連で、理系では大手電機メーカーや鉄道、自動車、通信が入ってくる。ベネッセコーポレーションや資生堂は、男女別の統計をとったとき、女子学生からの人気が高い。



このランキングを見て、毎年考えさせられることがある。大学生が利用する、もしくは知っている企業ばかりなのだ。もし、このランキングを小学生相手にとれば、きっと玩具のバンダイや、マンガの小学館、講談社、おやつの明治製菓、カルビーなどが上位になるに違いない。



だが、このランキングは独り歩きもする。学生は判断基準がないため「そんなに評判がいいならJTBと電通も受けておくか」となり、これら企業から内定をもらえば「勝ち組」となって「あの先輩すごい」と言われて楽しい、という流れだ。



だが、これでいいのだろうか。



筆者は就職活動のカウンセラーとしても活動しているが、本業は、経済ジャーナリストをしている。取材に行くと、有名でなくとも、素晴らしい企業がたくさんあるのだ。



たとえば「ナブテスコ」。鉄道車両用空気ブレーキなどを製造していた「ナブコ」と、産業用ロボットの精密減速機などを製造していた「帝人製機」が03年に合併して生まれた企業だ。自動ドアの国内シェア約50%で世界でもトップ、レトルト食品用充填包装機の国内シェアも約85%を誇る優良企業でもある。ところが、同社の小谷社長に、取材当時、企業CMを打っていた理由を聞くと「ちゃんと知名度も上げないと、学生さんが集まってくれないんです」と言う。世界に冠たる優良企業が、何と、新卒の応募が少なく悩んでいたのだ。一般的に「シェアトップ」の企業は、給与水準も高く、大きな仕事ができる。そして「シェアトップ」で検索すれば、ナブテスコのような企業はいくらでも出てくる。



企業風土がよい会社もねらい目だ。たとえば、ごま油の「かどや製油」の小澤二郎社長は、毎年、手帳に社員の名前たちの名前や生年月日を手書きし、工場に行くと「お母様の病気はどうだ?」などと話しかけ、社員のモチベーションが高まるよう気を配っている。氏は「過度な値下げはしない。必ず品質や社員のモラルにしわ寄せが行く」とも語っていた。ここで学生諸君には単純に「なら、かどや製油に入りたい!」と思うのではなく、たとえば「トップインタビュー」「社長インタビュー」などでいろいろ検索してみてほしい。これも、いくらでも出てくるだろう。気になる企業があれば「〇〇 社長」などで検索し、社長名が出てきたら経営方針を読むと面白い。



今の学生は、何か欲しいものを探すとき、近所のスーパーや商店街だけでなく、楽天やamazonなどで徹底的に検索し、本当に自分に合ったものや、安いものを選びぬくはず。就職先だけ「知っているところ」から選ぶのではもったいない。いよいよスタートする就活サイトでも技術力、社長、シェア、このあたりを検索し、調べてみてほしい。





文●夏目幸明(経済ジャーナリスト)



夏目幸明/プロフィール

「マネジメント、経営、技術の3つが見えれば企業が見える」を旗印に様々な企業を取材する経済ジャーナリスト。大学・専門学校で就活支援、マーケティングなどの講師をつとめる。講義は「資格の学校TAC」などで聞けるほか、ネット放送で「就活SHOW」を行う。著書は「社長あるある」(朝日新聞出版社)など

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