国境を越えたグローバル採用、世界規模で展開されるWEBサービスの登場……。ここ数年で、さらに日本の学生に身近になった"海外"では、今一体どんなことが起きているのでしょうか。また、海の向こうでは、どんな経験やチャンスが得られるのでしょうか? 世界一周の旅を続けた旅人「太田英基」さんが、日本の若者に伝えたいと思った"海の先で見つけたもの"を紹介します。
これまではアメリカ大陸のことばかり取り上げてきた気がするので、今回は「ヨーロッパ」に目を向けたいと思います。
「ヨーロッパ」というと、皆さんはまずどの国を思い浮かべますか?
フランス、イタリア、スペイン、イギリス、ドイツ、オランダ、スイス......。
それぞれ憧れや思い入れのある国が、頭に浮かんでくると思います。
今回僕は、その中でも北欧の国「スウェーデン」に注目し、僕の経験談などを綴りたいと思います。
皆さんは、「スウェーデン」のことをどれだけ知っていますか?
一番身近なところで言うと、ファッションブランド「H&M」やインテリアメーカー「IKEA」などが、スウェーデン発の企業ですね。また、美しい街並みの首都「ストックホルム」も観光地として人気が高い旅先です。
▲スウェーデンが本拠地の「IKEA」。
しかし、北欧・スウェーデンの魅力はそれだけではありません。世界のどこかの機関や調査会社が『国民の幸福度』を調べると、ほぼ必ずと言っていいほど上位に名前を出すくらい"幸せな国"というのも、スウェーデンという国の大きな特長です。もちろんスウェーデンにも、移民問題や自殺率などの社会問題があります。しかし、深刻な問題を抱えながらも、多くの国民が「幸福だ」と感じている事実は、スウェーデンという国を語る上で欠かせないポイントでしょう。
残念ながら、僕の記憶の中では、日本国民で幸福を感じている人は少ないという印象です......。いったい、かの国が"幸せな国"として自国民に愛されている理由は何なのでしょうか。
滞在していた当時、その秘密は何なのだろう? とずっと気になっていたので、旅の途中で出逢うスウェーデン人に色々と質問をしたものでした。そして、実際に聞けた範囲でも、理由はたくさんありました。
まず、対象や分野によって税率が違います。
スウェーデンは消費税が日本に比べると高い国であり、25%となっています。所得税も低くありません。
ただ、この税制度が上手くできていて、食料品や交通費は12%、書籍や新聞等などは6%とのこと。生活必需品や教養を身につけるのに必要なモノなどは、税率が優遇されているのだそう。そして、そこから得た税金などを用いて社会保障を充実させているのだそうです。
また、出逢った20代後半のスウェーデン人男性が、僕にこんな衝撃的な発言をしたことがありました。
「僕は税金を多く払っているけれど、もっと支払っても良いと思っているよ」と。
日本では誰からも聞いたことがないような言葉を、彼は自然な口調で僕に言いました。
こんなに高い税金を支払っているのに、まだ払っても良いというのは、いったいどういうことなのだろう!?
詳しい話を聞いてみると、彼は若いうちから糖尿病を患っていて、国がその医療費を負担してくれているとのこと。税で得たお金がきちんと社会から個人へ還元されていることが、彼のそんな気持ちを生む理由になっているようでした。
彼以外にも、スウェーデンの高い税金に対して文句を言う人はなかなかおらず、むしろ、そのシステムによって充実している自国の社会保障制度を誇らしく感じている人がほとんどでした。
また、他にもこんな出来事がありました。
「日本も社会保障が充実している国家であるはずなのに、この差は何なのだろう?」。
そんな疑問が頭から離れなかったある日、ストックホルムで公共バスに乗っていたら、ベビーカーを押して入ってくる母親が無賃乗車したのを見つけました。
「おいおい......お金は払わないと......」という顔をしていると、隣りにいたスウェーデンの友人が教えてくれました。
「スウェーデンではベビーカーを押している女性は、公共バスに無料で乗れるんだよ」と。
こんな身近なところに社会福祉のありがたみが散りばめられているんだな、と実感した瞬間でした。
日本の社会保障は、どちらかというと、緊急事態にのみありがたみがわかるモノが多いと思います。
失業した時や何かしら障害を抱えてしまった時など、何かあって困った時に国は手厚い保障をしてくれます。
一方で、今の日本の社会の制度には、スウェーデンのように「日常生活の身近なところで、自分たちの税金が国民のためにちゃんと使われているんだ」と目に見えるモノが、少ないように思います。
最近、日本では消費税の増税がよく話題になっていますよね。
増税自体は決して悪いものではない、と僕は思います。
そして、増税する・しないの議論も大切ですが、税金の使い道や、税金が国民にわかりやすく還元されるような、そんな仕組みを日本の政治家はつくっていくべき、主張していくべきではないのだろうかと、"幸せな国"スウェーデンに滞在してみて思いましたね。そうすれば日本人の幸福度も少しは上昇するのではないかと、スウェーデンで暮らす人たちの表情や姿を眺めていて考えさせられました。
皆さんも、スウェーデンやデンマークなどの北欧国家を訪れた時は、「幸せってなんだろう?」をテーマに、街で出逢う現地の人達と交流してみてください。きっと日本人の意識とは少し異なる言葉が聞けるのではないでしょうか。
今回は、ちょっとカタイ話になりましたが、スウェーデンについて紹介しました。皆さんにとって、"幸せな国"とはどんな国ですか?
▲「ストックホルム」の街並み。
太田英基
【バックナンバー】
プロフィール: 太田 英基(Hideki Ota)
大学在学中の2005年11月、広告サービス「タダコピ」を運営する株式会社オーシャナイズを仲間と共に創業。取締役を経て、2010年1月に退社。
2010年9月15日に出国し、世界一周の旅にシュッパス。その一方で、海外で働く日本人("異国のサムライ")100人を探す旅「SAMURAI BACKPACKER PROJECT」を遂行。
他、様々なWEBメディアでもコラムを連載し、好評を得ている。2011年夏、東洋経済新報社より「
1か月10万円留学の衝撃!『フィリピン「超」格安英語留学』を上梓。
SAMURAI BACKPACKER PROJECT:
http://samuraibp.com/
Twitter:
@mohideki
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