■保険料を自分で払ってみよう
これまでは親に保険料を払ってもらっていた人も多いかもしれませんが、社会人になるのですからこの機会に自分で保険料を支払ってみてはいかがでしょうか。 ただし、独身時代の保険のかけ過ぎはもったいないもの。今回は、メリハリをつけて必要な保険にかしこく入れるように学んでいきましょう。
まずは、「死亡保障」から考えてみます。これは自分に万一のことがあった場合に、家族に残すお金になります。独身の場合はお葬式代(約100~200万円)くらいを考えておけばよいでしょう。
生命保険に入る前には、会社の福利厚生を確認することが大切です。企業によっては、死亡退職金、死亡見舞金・弔慰金を設けているため、生命保険に加入するのは結婚や子どものことを考え始めてからでも遅くはありません。
次に病気になった時の保険について考えてみましょう。まず、確認をしておきたいのが、国の健康保険制度や会社の福利厚生です。
(1)【高額療養費制度】 現在、健康保険証を提示すれば病院での窓口負担は3割ですね。ただ、自分で負担しなければならない医療費には上限があり、この自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるのを「高額療養費制度」といいます。例えば、月の医療費が100万円かかったとしても、1カ月の自己負担限度額の上限は8万7430円(月収53万円未満の場合)となります。ただし、自分で個室を希望した時の差額ベッド代は対象にはならないので気を付けましょう。
また、会社の健康保険組合によってはこの払い戻しに上乗せして独自に「付加給付」を行なっていることがあり、結果1カ月の自己負担額が最大でも2万5000円ほどで済むこともあります。付加給付の制度は会社によって異なりますので、入社したら総務部などに確認してみましょう。
(2)【傷病手当金制度】 もう一つ覚えておきたい制度は「傷病手当金制度」です。病気やけがをして会社を休み、十分なお給料が受けられない場合に、健康保険から傷病手当金を受けることができます。休んで4日目から、1日につき1日当たりの給料の2/3相当額が支給され、支給期間は最長1年半です。
この二つの制度に加え、ある程度の貯金があれば病気に備えることができます。医療用の貯金の目安としては、1カ月に自己負担限度額約9万円+差額ベッド代などがかかりますので、長期化した場合に備えて100~200万円あれば安心です。
「医療用にそんな高額の貯金なんてない......」という人は、いざというときに医療費が用意できるよう民間の医療保険を利用するのも一つの手です。その場合、必要な保障に絞り込むことと、安価な保険を選ぶことがポイントになります。
入院した場合、まず毎月の入院費として自己負担限度額や食事代がかかりますが、貯金がない会社員なら、上記の傷病手当金制度でもらえるお金を利用できますね。そこで、医療保険は、目安として5000円程度の「入院保障(日額)」に入っておけば、自己負担の差額ベッド代の金額に充てることができます。差額ベッド代は、5000円程度におさまる場合が66%(厚生労働省中央社会保険医療協議会調べ 2008年)というデータがあります。もちろん、差額ベッドを希望しないなら入院費にそのまま充てることができます。
ちなみに、1回の入院限度日数は60日タイプで十分。平均の入院日数は一般病床で21.1日というデータもあります(厚生労働省 患者調査 2008年)。
保障が一生続く「終身型」にするのか、「定期型」にするのかはそれぞれメリット・デメリットがあります。例えば、保険料は定期型のほうが安くなりますが、更新の度に保険料が上がり、保障は一般的に80歳くらいまでになります。医療保険に頼るのは貯金ができるまでの間と考えるなら定期型、この先も医療保険に頼り続けるつもりなら終身型という考え方もあります。
まずは、勤め先に団体で加入できる保険がないか確認してみましょう。共済(都民共済、県民共済など)やネット生保なども安価な保険料水準です。価格.comなどのサイトでも保険料の比較ができますので、今後自分で保険料を支払うにあたって、今の医療保険でよいか見直しを考えてもよいかもしれませんね。
(2011.11.25)
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ファイナンシャル・プランナー 花輪陽子(はなわ ようこ)
CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」2011年度相談員。元外資系の投資銀行勤務。現在は雑誌・新聞・テレビ・ラジオ出演や全国講演などを精力的に行っている。『貯金ゼロ 借金200万円!ダメダメOLが資産1500万円を作るまで』(小学館)、『夫婦で年収600万円をめざす!二人で時代を生き抜くお金管理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。日経マネー、日経ウーマンオンライン、CREA webなどで連載。
■Twitter:@yokohanawa ■公式サイト:http://yokohanawa.com/
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