カルビーのスナック菓子部門で人気を誇る「じゃがりこ」。1995年の誕生以来、おやつの定番として愛され続けるロングセラー商品ですが、2022年には「おつまみじゃがりこ(旧・大人のじゃがりこ)」という大人向けの新商品も発売されています。
今回は、カルビー株式会社マーケティング本部、じゃがりこチームに所属する萩山大介さんに、じゃがりこの歴史と「おつまみじゃがりこ」誕生に至るまでのお話を聞きました。
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PROFILE
萩山大介(はぎやまだいすけ)
◉――2020年 カルビー株式会社入社、マーケティング本部に配属。じゃがりこチームで「おつまみじゃがりこ(旧・大人のじゃがりこ)」の商品企画開発に携わる。
▼Rethink INDEX
1.ロングセラー商品「じゃがりこ」の歴史と新たな挑戦
2.独自のコーティング製法で生まれた「大人のじゃがりこ」
3.あえて間口を狭める戦略で「おつまみじゃがりこ」にリニューアル
4.壁にぶち当たったときは、フラットな目線で考えてみる
5.ダジャレ会議?!遊びが視点を変えるヒントに!
じゃがりこが誕生したのは、1995年10月23日。弊社では、この日を「じゃがりこの日」としています。まず新潟県限定でテスト販売をスタートしましたが、最初から売れ行きは好調。続いて長野、そして首都圏とどんどん販売範囲を広げ、1998年には全国で展開する商品になりました。
発売当時は、サラダとチーズという2種類のフレーバーでしたが、徐々に増えていき、現在の定番商品はじゃがバターとたらこバターの4種類となっています。地域限定商品を含めると現在までに200種類以上のフレーバーを展開しています。思いつく味はもうほとんど作ってしまったので、新しいフレーバーを考えるのが結構難しいですね(笑)。じゃがりこチームみんなで手を替え品を替え、アイデアを出し合いながら日々新商品を生み出しています。
誕生から27年、ロングセラー商品になったじゃがりこですが、実はメイン購買層は30〜40代の女性。若い世代では男性も多いのですが、30〜50代になると減る傾向にあります。じゃがりこというとスナック菓子のイメージが強く、年齢を重ねて菓子離れが進むにつれ、特に大人の男性が手にとる機会が少なくなるのでしょう。
この層にアプローチするにはどうすればいいのだろうかーー。
みんなで考え抜いた結果、じゃがりこがビールのおつまみになれば、30〜50代の男性にもウケるはずという答えに辿り着きました。
私自身も帰宅途中、コンビニに寄ってビールとおつまみを買うことがありますが、今は焼き鳥や冷凍ホルモンなど惣菜の品揃えが豊富で、なかなかスナック菓子を選ぶタイミングがない。選択肢が多い中でおつまみとしてじゃがりこを選んでもらうには、まず味が濃く刺激のある商品でなければならないと思いました。
“練り込み製法”で味をつけるじゃがりこは、食べるときに手が汚れにくいという魅力がありますが、その反面、味が薄く感じるという意見をいただくこともあります。そこで、じゃがりこの魅力を生かしたまま、独自開発のコーティング製法を使うことで、刺激があり味の濃いじゃがりこを生み出すことにしました。
2010年には既に「oh!じゃがりこ」という名で、コーティング製法を使った商品をテスト販売したことがありましたので、それを改良して、2020年に「大人のじゃがりこ」という新シリーズを発売しました。
「大人のじゃがりこ」のフレーバーを考えるうえでこだわったのは、一般的なスナック菓子には難しい調理感を出すこと。“はじめにピリリ。あとからじわり”というキャッチコピーのもと、「わさび醤油味」や「マスタードベーコン」といった二段階の味わいを楽しめるフレーバーを生み出しました。最初に登場した「わさび醤油味」は、購入したお客様から「蕎麦屋店で食べる上質なわさびの味がする」といった声もいただき、かなりの手応えが得られたと聞いてます。
ただ、「大人のじゃがりこ」を発売してから少し経つと、別の課題が見えてきました。お客様に“味変わりのじゃがりこ”と認識されてしまい、「大人のじゃがりこ」という商品名がなかなか浸透しなかったのです。スナック売り場からつまみ売り場に陳列場所を変えるといった工夫もしましたが、それだけではスナックというイメージを変えることは難しいというのも実感しました。
そこで、2022年6月に「おつまみじゃがりこ」という名称に変え、リニューアルすることにしたのです。
おつまみという名だと、購買層の間口を狭めてしまう懸念がありましたが、それでもファーストインプレッションで、じゃがりこではなくおつまみと連想してもらうことを優先しました。リニューアル後は、パッケージにも“おつまみ”というワードを白字で大きくプリントし、全面に打ち出しています。
もちろん味も進化しています。定番の「わさび醤油味」は、従来商品よりわさびの味を強くし、醤油は、だし醤油からビール好きの人に好まれる生醤油感を高めています。よりお酒に合う味付けになっていて、食べ比べるとかなり違いを感じました。
じゃがりこはおやつを食べるシーンで主役になりますが、「おつまみじゃがりこ」はそうではありません。主役はあくまでビール、おつまみはサブの役回りです。そのため、まずビールに合うことが絶対条件。最初は、この視点の切り替えがとても難しかったですね。新商品の開発では、実際にビールに合うかを検証するため、開発チームと一緒にビールを飲みながら試作をしています。
また、いいアイデアが浮かばないときには、一度フラットな目線に立ってみることも大事です。私自身「おつまみじゃがりこ」のターゲットである30代男性なので、一度お客様の目線で、ものを考えてみるようにしています。コンビニやスーパーを巡りながら実際にビールを手にとって、スナック売り場や惣菜売り場でおつまみを探してみるんです。そうすると意外と発見があり、新しい味の組み合わせを思いつくことが多いんですよ。その気づきを、開発部門に共有するようにしています。
また、社内の他のブランドチームと意見交換をすることも、視点を変えるうえでは欠かせないこと。弊社には「絶品えびせん」や「スーパーポテト」といったビールユーザーをターゲットした商品がありますので、その担当者たちからもらった意見もとても参考になります。
机でパソコン画面に向かっているだけでは、いいアイデアは生まれません。私の場合、通勤電車の中で新しいアイデアを練ることを習慣にしています。よく実践しているのは両手に携帯を持ち、片方は気になるワードを検索し、もう片方はメモをとるという方法。次はどんな味のじゃがりこにしようとか、パッケージやプロモーション方法などを考えることが多いですね。
また、視点を変えるには、“遊び”も必要です。
周りからはただ遊んでいるように見えるかもしれませんが、僕たちは真剣そのもの。みんなが喜ぶお菓子を生み出すためには、自分たちが楽しむことも大事だと考えています。
9/26(月)には「おつまみじゃがりこ」から“麻婆豆腐味“も新発売しました!
※9/26(月)に新発売した“麻婆豆腐味”の「おつまみじゃがりこ」
その他、まだ言えない新商品の味も日々発売に向け準備しておりますので、是非お酒と一緒に楽しみながら、味とパッケージにも着目して召し上がってみてください!
ビールと併せて食べたい!「おつまみじゃがりこ」の他の味はここからチェック!
取材・文:安藤茉耶
編集:学生の窓口編集部
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