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大学生の皆さんは、
「NUMO(ニューモ)」という組織を知っていますか?
正式には『原子力発電環境整備機構』といい、
原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分を行う日本で唯一の組織です。
この地層処分は世界各国で共通した課題になっており、実施に要する期間も、
建設から操業、閉鎖(地下施設の埋戻し)まで約100年にも及ぶ壮大な事業です。
そんな大きなプロジェクトを進めているNUMOでは、どのような仕事をしているのでしょうか?
実際にNUMOで働く先輩技術職員に、
学生記者3人が取材しました。
高林さん
サイト評価グループ
入構3年目
市川さん
性能評価技術グループ
入構3年目
小池さん
性能評価技術グループ
入構1年目
小柳さん
慶應義塾大学
法学部
菊地さん
武蔵野大学
グローバル学部
葛西さん
埼玉大学
工学部
まずはNUMOとはどんな組織で、何を行っているのかを教えてもらいました。
「NUMO」は何をしている組織なのですか?
葛西さん
高林さん
NUMOは、原子力発電で使い終えた燃料を再処理(リサイクル)した後に残る、高レベル放射性廃棄物の地層処分を行う組織です。
地層処分というのは、高レベル放射性廃棄物を地表から300メートル以上深い安定した岩盤に埋設して、人間の生活環境に影響を及ぼさないように隔離して処分する方法です。
これまでに様々な処分方法が検討されましたが、現在では、原子力発電を保有する全ての国が「地層処分が最適な方法である」という共通の認識で事業を進めています。
原子力発電で使い終わった燃料(使用済燃料)は再処理することで再び燃料として使用できるのですが、その際に全体の約5%が放射能レベルの高い“廃液”として残ります。その廃液をガラスと融かし合わせて固めたものが高レベル放射性廃棄物で、「ガラス固化体」とも呼ばれます。
ガラス固化体はそのまま処分するのではなく、まずオーバーパックと呼ばれる金属製の容器に封入し、さらにベントナイトと呼ばれる固めた粘土で覆いま す。このように何重ものバリアを施し、地表から300メートル以上深い安定した岩盤に埋める方法が地層処分です。
地層処分はもう始まっているのですか?
菊地さん
高林さん
日本では、まだ処分する場所が決まっていない状況です。これまでの原子力発電の利用により、既に相当な量の高レベル放射性廃棄物が発生しているので、僕たちの世代で道筋をつけたいと考えています。
海外ではすでに始まっているのですか?
小柳さん
市川さん
スウェーデンとフィンランドでは処分場所が決定していて、フィンランドでは処分施設の建設も始まっています。こうした日本よりも先に進んでいる国の情報を得ながら、私たちも事業を進めていきたいと考えています。
日本で地層処分事業を行っている組織はNUMOしかありません。そのため、世界各国と連携し、最新の技術や知識を共有しながら「地層処分の実現」という社会的課題の解決のために日々取り組んでいます。
高レベル放射性廃棄物の地層処分を実現するために設立されたNUMO。
高林さん、市川さん、小池さんの3人はなぜNUMOに入ろうと思ったのでしょうか?
皆さんがNUMOに入ろうと思った理由を教えてください。
葛西さん
小池さん
NUMOでは処分技術の研究だけではなく、全国の方々にこの問題を知っていただき、関心を持っていただくための説明会や、イベント等の対話活動も大事な仕事です。私は大学で核融合の研究と放射線教育の研究に携わっていたので、その知識や経験が対話という部分で生かせるのではと思い、NUMOに入ろうと思いました。
高林さん
私は大学時代に地球科学を専攻していて、この分野が活かせる仕事に就きたいと思っていました。そこで出会ったのがNUMOでした。地球科学の知識が活かせることとともに、地下深部に高レベル放射性廃棄物を4万本以上埋設する大きな構造物をつくるという、壮大な仕事に魅力を感じたのがNUMOに入りたいと思った理由です。
市川さん
同じく事業規模の大きさに引き込まれました。例えば、日本最長のトンネルは青函トンネルで総延長は約54kmです。しかし、地層処分で掘削する坑道の総延長は、数百kmと桁違いです。これだけ大きなことを、数十年かけてつくるという仕事は他にないと思います。
小池さん
高レベル放射性廃棄物の特性上、数万年以上先を見据えた地層処分技術の研究が必要です。自分たちの研究成果が何万年も残るという時間的なスケールの大きさにも、やりがいを感じています。
こんなに壮大な仕事は他にはなさそうですね。
小柳さん
地層処分事業は大規模かつ長期にわたる取り組みです。この壮大なスケールの中で職員一人ひとりの経験や知識が活かせることに魅力を感じたのが入構のきっかけとのこと。
自分の仕事の成果がこれから先ずっと残り続けるというのもNUMOで働く魅力だといえるでしょう。
では、実際にどのような仕事を行っているのでしょうか。それぞれの仕事内容を聞いてみました。
現在どのような仕事を担当しているのですか?
菊地さん
高林さん
私は地質環境の調査や評価を担当しています。地層処分では、安定した地下深部の岩盤に高レベル放射性廃棄物を埋設します。その際に、火山活動や断層活動などの安全性を損なう心配がある場所を避ける必要があります。そのため、自然現象の履歴などの文献を基に机上で行う「文献調査」、実際に孔を掘るなどして地上で行う「概要調査」、地下に調査施設を設けて行う「精密調査」を通して徹底した調査を行います。
2020年11月から北海道の二つの自治体で文献調査が開始され、今はこの調査に携わっています。
市川さん
私は、廃棄体から放射性核種が溶出した場合を想定した、放射性核種の移行のシミュレーションなど、地層処分場の閉鎖後の長期にわたる安全評価を行っています。数万年以上先の状況を見据えながらリスク要因を抽出し、そのリスクを最小化するためにも、このようなシミュレーションはとても重要です。
同じ部署でも全く異なった仕事を担当しているのですね。
葛西さん
高林さん
地層処分技術の業務はさまざまな専門分野から成り立っており、「地質環境の調査・評価」「処分場の設計」「操業中や閉鎖後の安全評価」の3分野に分かれています。これらの分野の研究内容と、その背景にある学問分野は全く異なりますが、地層処分事業の中では相互に大きく関わり合います。
市川さん
私の場合は、学生時代に専攻した土木技術など、研究してきた領域以外にも広範囲な知識が必要で、毎日が学びの連続です。卓越した知識を持つ先輩方と一緒に仕事ができるので、刺激ややりがいを感じています。
安全な地層処分の実現のために、NUMOにはさまざまな分野のエキスパートが集まっています。それぞれの技術、知識を組み合わせ、一丸となって課題に取り組むことに「刺激」や「やりがい」を感じているようです。
最後に今後の展望や将来の夢、目標を聞いてみました。
皆さんは今後こうなりたい、こんなことをしてみたいという目標はありますか?
小柳さん
高林さん
NUMOで働き始めてから、毎日のように知的好奇心がくすぐられる経験をしています。それだけ学ぶことが多いということですし、自分も誰かに刺激が与えられるようになりたいですね。
それと、安全な地層処分の実現のためには各分野が協力して、コミュニケーションをとることが非常に重要なので、専門外の方に自分の知識を「分かりやすく、正確に伝える」ことはとても大切です。同様に、一般の方に地層処分に関する情報を理解していただく時にも同じことが言えます。自分たちの仕事をうまく説明できるようになりたいです。
市川さん
私も3年目になって重要度の高い仕事を任されるようになりました。自分が何をしているのか、何ができるのか、それによってどうなるのかを説明できるよう、さらに知識を磨いていきたいと思います。
小池さん
NUMOの取り組みを理解してもらうのは簡単ではありませんが、皆さんから信頼され、私たちの仕事を応援してもらえるよう、技術的な部分はもちろんですが、コミュニケーションの面も頑張りたいです。
私の地元が東日本大震災で被災して、ずっとユニセフの支援団体がサポートしてくれました。長い時間をかけてサポートしてもらったことですごく信頼できました。同じように皆さんも対話を大事にしてほしいです。
菊池さん
地層処分事業を進めて行くには、処分技術への信頼が必要不可欠です。これまでの研究成果をわかりやすく説明し、理解いただくためには、対話する力も必要です。そのため、3人ともこれからの課題として挙げたのはコミュニケーションスキルでした。自分が取り組んでいる研究成果を自身で発信する「アウトプット」の力も求められる仕事だといえます。
NUMOは、原子力発電に伴い発生する、高レベル放射性廃棄物の地層処分を担う日本で唯一の事業体です。
地層処分は、地表から300メートル以上深いところに巨大な構造物をつくり、高レベル放射性廃棄物を閉じ込める、スケールの大きな処分方法です。まだ文献調査という入口の段階で、調査だけでも数十年。実際に地層処分が完了するまで約100年と、長い時間を要する一大プロジェクトです。
地層処分は100年事業であるものの、その先の高レベル放射性廃棄物の放射能レベルが天然ウラン並みに減衰するまでには数万年以上かかります。遠い未来まで見据えた仕事はなかなか他にはありません。それだけ魅力的な仕事だといえます。
提供:NUMO(原子力発電環境整備機構)