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世の中には色んな職業が溢れている。名前は聞いたことがあっても実際にどんなお仕事をしているか、どうやったらその職業につけるのか、分からないことばかり…そんな高校生のみなさんのために、同じ高校生のガクラボメンバーが実際に働く人に会ってインタビューをしてきます!
憧れの職業に就く人の話を聞いて、今の自分にできることを何かひとつでも考えてみませんか?
今回、お話を聞くのは…
3月20日(木)より公開の映画『女神降臨 Before 高校デビュー編/After プロポーズ編』の映画プロデューサー古林茉莉さん
お仕事について
基本DATA
業種 | テレビ・エンターテインメント |
---|---|
職種 | 映画プロデューサー |
勤務時間 | 10:00~19:00(撮影時などは不定) |
残業時間 | 不定 |
休日 | 原則土・日 |
勤務形態(リモート、出社など) | 出社、リモート兼用 |
服装 | 自由 |
私が所属しているのは、日本テレビという東京のテレビ局です。皆さんテレビ局はテレビの中のコンテンツを作っているというイメージがあるのではないかと思いますが、実は会社のなかには放送以外の事業を行っている部門もあり、私はそのなかで映画制作を行う部署に所属をしています。ひとことで映画を作ると言っても、すごく長い道のりで企画を立てていて。例えば、本屋さんで面白そうなマンガがあって、「これを映像化してみたい」だったり、すごく大好きな小説があって「これをいつかあの役者さんで見てみたい」だったり、そういう気持ちがあったときに、まず企画書を書いて。そこから監督は誰にしよう、脚本は誰に書いてもらおうという骨組みを作っていくのです。
主人公はこの人に演じてもらいたいな、とオファーをしたり、こんな衣装やヘアメイクがいいのではないかと監督とアイディアを出し合ったり、毎日いろいろな打ち合わせを重ねながら、撮影を進めていきます。
撮影が終わったあとも、映像と音楽、効果音と、いろんな細かい整理までして、やっと映画ができるのですが…。そこからさらに世に届けるための宣伝があります。その裏で、契約書を結んだり、映画を一緒に作っていく製作委員会の皆さんに「この映画を一緒に作ってくれませんか?」とご相談に行ったり、そのようなビジネス周りのお仕事もしています。
そして、やっと皆さんに届いた映画をその後ストリーミングサービスに販売したりといった二次利用まで管理するというのがプロデューサーのお仕事です。
なので、1個の企画だけでもプロデューサー業務は3年くらいかかっちゃいます…関わる期間の長さやお仕事の幅の広さは、きっと皆さんの予想以上なのではないでしょうか。
古林さん
お仕事の日はどんな一日を過ごしていますか?
こはるさん
朝起きたらまずPCでメールチェックをして、その日のうちにこなさなくてはいけない仕事を確認します。撮影現場や取材に同行したり社外でのミーティングなど移動が多い日も多いので、打ち合わせはリモートと対面を駆使して、上手くスケジュールを組めるよう努力しています。最近は毎日違うところでお仕事をする機会が増えたので、カバンの中はいつも充電器や電子機器だらけです(笑)
古林さん
お仕事のない日はどのように過ごしていますか?
みくさん
コーヒーやお茶など好きな飲み物を淹れて、映画を見に街へ出かけたり、家のなかで小説を読んだり、録り溜めておいたドラマを観たりしています。あとは高校や大学時代の友人に会って最近面白かった出来事や今の流行を聞いたり。いつもどこかで仕事の延長線上みたいなことをしていますが、基本的にはそれが楽しくてこの仕事をしています(笑)あとは湯船につかってぼーっとする時間が大好きです。
古林さん
映画プロデューサーというお仕事をする上で大事にしていることなどありますか。
こはるさん
面白いなと思う気持ちと、「あれ?」と違和感などを気になる気持ちの2つを私は大切にしています。自分が面白いと思わないと、周りに説得ができないなというのと、ちょっとした違和感は「この人はこういうセリフ言うのかな」、「このシーンはこういう表現で合っているのかな」など。今日撮影していた喧嘩シーンのときに、“胸ぐらを掴む”のは今時の子はやるのかなと、裏で考えて、違和感はないかなと。あのシーンは真剣に怒っているということが伝わるから掴む動作がいいなと思ったのですが、そういう細かいこと1個1個に「これでいいんだっけ?」「いいよね」というのを繰り返している仕事です(笑)。だから、面白いなと思う気持ちと、ちょっと気になったことはちゃんと気にし続けること。その2つがあると、企画が前に進んでいる感じがします。
古林さん
学生時代はどんな学校生活を送っていましたか?
みくさん
思い出せなくて、さっき高校の友達に聞いたんですけど…。あまり勉強は好きじゃなくて、今はもう配信の時代かもしれないですけど、私の時はレンタルビデオショップに入り浸って、全部は借りられないけど、パッケージ裏のあらすじなどを、ずっと読んでいました。
古林さん
あそこに詰まっていますもんね。
みくさん
そうなんです!そこで、この役者さんはこういう役もやっていたんだ、この監督はこのチームで何本も撮っていたんだといったように、その座組を見るのがすごく楽しくて。だから、今の職業も趣味の延長みたいに制作の裏側を学び続けられるので、楽しいです。高校時代に部活はラクロスという競技をやっていたのですが、“みんなで一緒に何かする”ということが好きでした。みんなで頑張ることをすごく大切にしていて、映画も1人じゃ作れないと思っているので、芸術作品の中でも総合芸術と言われるように。監督がいて、カメラマンがいて、照明技師がいて、衣装がいて、メイクがいる。いろんな人たちが一生懸命頑張ったときに初めていい映画が作られるような、チームで作っている感じが文化祭やお祭りみたいで楽しいなと思っています。
古林さん
どのタイミングで映画プロデューサーになろうと思いましたか?
こはるさん
一つは、小学生の頃からドラマや映画が大好きで、漠然とこういったエンターテイメントの仕事に憧れていました。もう一つは、大学時代のインターンで映画の制作現場に行って、すごく楽しくて。初めて、寝たり食べたりするより仕事が楽しいと思いました(笑)。参加させて頂いた映画は未だに宝物で、1カット1カット、この日ここで撮った映画だ、とその時の気持ちなどが思い出に詰まっていて。10年経っても配信やDVDなどで観られる「映画」というものにパワーを感じます。
記憶装置のようにもなっていて、一生懸命で楽しかった思い出も詰まって、みんなが喜んでくれるなんて、すごく楽しい仕事だなと思って、映画業界に行きたくなりました。
撮影現場のスタッフは、その作品の撮影ために、期間限定で別々の会社の皆さんや、フリーランスの方々が集まってひとつのチームを作っています。だから、2ヶ月~3か月の間、みんなで集まってこの1本を作ったら、解散して、また新しい組ができてという形で。その中で私は数少ない会社員という立場なのですが、撮影現場で働きたいなと思ったときに、プロデューサーという職業なら就職活動でなれる可能性があると聞いたことが契機になっていて。当時、インターンで入っていたときの監督に「プロデューサーを目指して就職活動してみれば」と言われて、エンドロールに入っている会社の名前をいっぱいメモして、そのときに見つけた日本テレビに入りました。
古林さん
ちなみに小学生の時にドラマ好きで、大学生でインターンに行ったっていうことだったのですが、その間の中学生、高校生のときになりたい職業とかはありましたか?
みくさん
私、ラジオも大好きで、放送作家にも憧れたことがあるのですが、その才能はないなと思って。一人で書いたり面白いことを考えたりするより、みんなで考えた先に形がある方が得意かなと。学生時代から家族や友人を誘ってよくエキストラなどに行っていました。
古林さん
じゃあ割ともう小学生の頃からテレビ業界には入りたいと思っていたんですね。
みくさん
結構、この業界にこだわっていたかもしれないです。
古林さん
高校生の頃に実際行っていたことで、今のお仕事に活かせているなと思うことなどありますか。
こはるさん
趣味や好きなことを広げるというのはすごく意味があると思っていて。昔見た映画やドラマの楽しかった思い出が、次の映画を面白くするときにどうすればいいか、というところに繋がってくるんです。
それは映画だけじゃなくて、初めて彼氏ができてドキドキした気持ちをもとに、この脚本を読んでいてドキドキしないのはなぜだろうなど、自分の経験とお話をリンクさせて考えることもできるので、どんな経験も役に立つかなと思います。部活を一生懸命頑張っていたのも、 部活動のシーンがあったら気持ちを理解できるので。でも、それはやったことがないとわからないから、経験のないことは他の人に聞かなきゃいけなくて。医療者の役があるとして、お医者さんの気持ちは私にはわからないけど、病気になった人の気持ちは、いつかの小説で読んだり、誰かの体験で聞いたりとかで分かるかもしれない。そういう経験がこの仕事に活きているような気がしています。
古林さん
古林さんにとって働くとはなんですか。
みくさん
生きていくために必要なことだと思うので、お金のためということも前提ではありながら・・・でも、それ以上にこの仕事は趣味の延長でもある気がして、楽しく仕事ができていて、ありがたいなと思っています。働くってなんでしょうね…。このお仕事は自分が面白いと思うものが世の中でちゃんと受けるといいなという不安がいつもありますが、働くという表現よりも、もっと柔らかいものという感覚があります。高校時代と今はあまり変わっていなくて…なんでしょう。働くとは、これ難しいですね。どんなイメージがありますか?
古林さん
個人的には、 働けば働くほど、心が疲弊して、どんどんしんどくなるって感じですね。
みくさん
私も辛いことも悩むこともいっぱいありますけど、“楽しい”を作ることを頑張っているので、結果私自身もそれ以上に楽しいと感じられる瞬間が多いのかもしれません。皆さんと同い年ぐらいでしょうか、映画「女神降臨」は19歳(撮影当時)の鈴木すみれさんという方に脚本を書いて頂いたのですが、彼女が一生懸命思いを込めたキャラクターのひとつに、宮世琉弥さんに演じて頂いた葉山楓という役があって。今日宮世さんがクランクインで、彼のお芝居を見て、ちゃんと役に魂が入ったなと。その瞬間に立ち会えたことが嬉しくて、どの仕事もそういう瞬間のためにあるのかなと思います。
古林さん

ふるばやしまり 古林茉莉
1990年生まれ。東京都出身。日本テレビ コンテンツビジネス局 映画・ドラマプロデューサー。近年のプロデュース作品に、ドラマ「霊媒探偵・城塚翡翠」「invert 城塚翡翠 倒叙集」(22年/日本テレビ)、『恋わずらいのエリー』(24年/監督:三木康一郎)、『夏目アラタの結婚』(24年/監督:堤 幸彦)など。
映画『女神降臨 Before 高校デビュー編/After プロポーズ編』
地味で冴えない容姿から学校でいじめられ、不登校になってしまった麗奈。しかしメイクとの運命の出会いが、彼女の人生を大きく変える――ゼロからテクニックを学んで努力を重ねた結果……誰もが振り向く<女神>へと大変身を遂げたのだ!転校先で完璧な人生を再スタート!……と思いきや、とある偶然から、学年1位の頭脳をもつクールで謎多き同級生・神田 俊に「トップシークレット」を見抜かれ、秘密の口止めと引き替えにまさかの主従関係に!?さらに俊との距離が近づいたことで麗奈は、彼と「ある過去」を共有するもう一人の同級生・五十嵐悠からも、次第に目をつけられていく…。
こんなはずじゃなかったのに……!私の人生、どうなっちゃうのー!???
取材・文/みく、こはる(ガクラボメンバー)
編集部/マイナビティーンズ編集部
映画プロデューサーさんとは、実際どんなお仕事内容ですか。
みくさん