「適宜(てきぎ)」は、ビジネスシーンでよく使われる言葉ですよね。今回は、その意味と使い方に加え、紛らわしい類語もあわせて解説します。
新潮日本語漢字辞典では、「適宜(てきぎ)」を次のように説明しています。
1.それぞれの場合に適していること
2.その時々の状況に合わせて行動すること
(『新潮日本語漢字辞典』から引用)
つまり「適宜」は決まったルールに従うのではなく、そのときの状況に応じて臨機応変に対応するという意味になります。
もしあなたが上司から「適宜対応しておいて」と言われたら、どのように対応しますか?特に「具体的な対応方法」や「〆切」を指示されなかったからと言って、なにもしないで待っているのであれば、それは「適宜」が意味する適切な対応とは言えません。
「適宜」は各自の判断に任せるという意味なので、「適宜対応しておいて」と言われたときは、自分で何をすべきか考え、適切な対応を取ることが求められるでしょう。
「適宜」の使い方を見てみましょう。
・仕様変更は、適宜お知らせいたします。
・今年の夏休みは、部署ごとに適宜休暇を取ってください。
・彼女は相手に合わせて適宜接客をしている。
いずれの例も、その状況下に置かれた際に、各自が「最善だと思う」判断や行動をするという表現になります。しかし最善だと思う判断や行動は、必ずしも相手と自分のあいだで一致するとは限りません。
上司から「適宜報告するように」と言われたのに、特に報告をする必要がないと思って何もしないでいたら、「なぜ報告しなかったのか」と叱責をうける可能性もあります。「適宜」は一見自由な言葉のように思えますが、その定義が曖昧なだけに、受けた側は言葉の意味を慎重に吟味したうえで、行動する必要があるでしょう。
「適宜」の類義語に、「随時」「適時」という言葉があります。
随時:適当なときに行うさま。そのときどき
適時:それをするのにちょうどよいとき
「随」には「勝手気まま」という意味があるので、そこから転じて「随時」には「特に日時などを決めずに、状況に応じて好きなときに対応すること」という意味があります。また、「適」は「目的にかなう」という意味があるので、「何かを行うために、ちょうどいいタイミングで対応すること」という意味になります。
「随時」と「適時」は、主に「時間」に対して「臨機応変」に対応するという意味がありますが、「適宜」は時間だけでなく、方法や行動の内容までも「臨機応変」に判断するという意味が含まれています。
×:目上の人に対しては「適宜××してほしい」など依頼する形では使用しない
○:依頼された場合などに「適宜○○します」というように使う
上記したように、目上の人に対しては自分が依頼された場面で「適宜○○します」という使い方をします。謙譲語や丁寧語などと組み合わせることで、失礼のない敬語表現を心がけましょう。
「適宜」は「それぞれの場合に適していること」「そのときどきの状況に合わせて行動すること」という意味があります。ときには、マニュアルに従うだけでなく、臨機応変に対応することも社会人には大切な言葉ですので、この機会に覚えておきましょう。
文・学生の窓口編集部
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