YDサポート株式会社
後藤田 純(キャリアコンサルタント)
元高等学校教諭。担任や進路指導担当として、生徒の進路実現に向けて、生徒・保護者からの相談業務や出願書類の添削、面接指導を行う。現在は、キャリアコンサルタントとして、マイナビ進学にて高校生を対象とした志望理由書や小論文の添削講師を務める。
【STEP1】 まずは“自己PR”で何を見られているか理解しよう!

学校推薦型選抜(旧推薦入試)や総合型選抜(旧AO入試)では、「この生徒は大学にふさわしい人物か」「入学後に活躍できそうか」という視点で評価されます。そのため、自己PR文には、学びへの姿勢や考え方、成長の過程をしっかりと表すようにしましょう。
自己理解と成長のプロセス
自己PRでは、強みや実績だけでなく、「どのように成長してきたか」という道のりが重視されます。大学が見ているのは、「どんな気持ちで行動し、何を学んだのか」といった“自分自身への理解の深さ”です。
自分のこれまでをよく振り返り、どんなことを通して、自分がどう変わったかをアピールできるようにしておきましょう。うまくいった結果だけでなく、そこにたどり着くまでの思いや学んだこともしっかり伝えることが大切です。
具体的なエピソード
印象に残る自己PRには、抽象的な表現だけでなく、経験したこと、成長した過程をリアルに伝えることが欠かせません。ただ「頑張りました」「成長しました」だけではなく、「いつ・どこで・何を・どうしたか」を具体的に説明することで、読み手である大学側はその場面を思い描きやすくなります。
エピソードは、学校の探究活動、部活動や委員会、ボランティア、趣味の活動などなんでもOKです。具体的な体験談があると説得力が増し、面接でも深掘りしやすくなります。些細に思える出来事でも、自分の強みや成長につなげられれば、十分に自己PRの材料になってくれます。
志望校との適合性
大学の理念や教育方針、求める学生像にマッチしているかどうかも重要なポイントです。志望校の「アドミッション・ポリシー」を事前に確認し、自分の価値観や経験と一致する部分があるかを考えてみましょう。
たとえば「主体的に学ぶ姿勢」が求められているのであれば、自ら考えて課題解決に取り組んだ経験などを伝えると、よりマッチ度をアピールできます。また、学びたい分野や将来の目標がその大学でどう実現できるかを盛り込むことで、「この学生はうちの大学にふさわしい!」と思ってもらえる自己PRにつながります。
大学の教育方針に魅力を感じて志望したので、その思いを伝えるよう意識しました!
女子高校生
【STEP2】 3つの問いかけで“自己分析”をしてみよう!

自己PRの第一歩は、自分自身をよく知ることです。何を大切にしてきたか、どんな時に力を発揮できたかを振り返ってみましょう。ほかの人と比べ、「自分には強みがない…」と感じてしまう人も多いかもしれません。すぐに見つからなくても大丈夫! 特別な実績がなくても、日々の小さな経験は自己PRの材料になります。以下のような質問を自分自身に問いかけ、強みやアピールポイントをじっくりと見つけていきましょう。
どんな活動に熱中してきたか?
学校生活の中で、なにかしら“夢中になった時間”はありませんか? 部活動や委員会、勉強、趣味、地域活動など、なんでもいいので自分がやりがいや充実感を感じたことを思い返してみましょう。たとえば「演劇部の舞台づくりに毎日夜遅くまで残っていた」など、没頭していた出来事を思い出すことで、自分が大切にしている価値観が見えてきます。
熱中した経験には、自分らしさや強みが自然と表れているものです。「そのとき何が楽しかったのか」「なぜ続けられたのか」を自分に問いかけ、日々の生活の中から“自分の原動力”になったものを考えてみてください。
特別な実績はありませんでしたが、毎日自分でお弁当をつくって通学してきたことを、継続力や自立力としてアピールしました!
女子高校生
その活動を通じて何を学んだか?
熱中した経験のなかには、たくさんの“学び”が詰まっています。努力を重ねる中で得た成長や、思わぬ失敗から学んだ教訓などを丁寧に振り返ってみましょう。
たとえば「先輩の支えがあったから頑張れた」と感じたなら、それは「感謝の気持ち」や「周囲の仲間を大切にする姿勢」を学んだということになります。大事なのは、その経験を通じて自分がどう変わったか、どう考えるようになったかを言葉にすることです。熱中したことの先に、どんな自分がいたのか表現できれば、自分の成長ポイントとしてアピールできます。
周囲からどのような評価を受けているか?
自分のことを知るためには、まわりの人の目を通すこともおすすめです。家族や先生、友達から「○○なところがあなたらしいね」と言われたことはありませんか? そうした声には、自分でも気づいていなかった強みや長所が隠れていることがあります。
「頼りになるね」「話をよく聞いてくれるね」「いつも元気だね」など、日常的に評価されている自分の姿を思い出し、それがどんな場面で活きていたかを振り返ってみましょう。客観的な評価を自己PRに取り入れることで、自分の良さがもっと伝わりやすくなります。
身近な人の意見から自分の長所を探しました。後輩から「○○さんみたいになりたい」と言われたことが自信になった気がします!
男子高校生
【STEP3】 自己PR文の組み立て方、4つのポイントは?

自分のアピールポイントを見つけることができたら、いざ自己PR文の構成を組み立てていきます。せっかく自分の強みや魅力が見つかっても、うまく読み手に伝えられなければ合格にはつながりません。4つのポイントを押さえて、“選ばれるための自己PR文”を作成していきましょう!
1. まずは結論から!
自己PR文の冒頭では、まず自分の強みを簡潔に示すことが大切です。「私の強みは、目標に向かって粘り強く努力する姿勢です」など、最初に結論を伝えることで読み手の印象に残りやすくなります。自信を持って書き出すことが、好印象にもつながります。
【例文】
・ 「私には目標に向かって最後までやり抜く力があります」
・ 「私は人の話をよく聞き、相手が安心できる雰囲気をつくるのが得意です」
2. 具体的なエピソードを紹介
step1でも解説したように、自己PRでは実際の経験を交えて自分の強みを伝えると、印象に残りやすく効果的です。ぼんやりと「努力できます」「リーダーシップがあります」と伝えるのではなく、「いつ・どこで・なにを・どうしたか」を意識し、自分の行動や工夫した点、結果を具体的に伝えるようにしましょう。たとえ失敗談であっても、それをどう乗り越えたかを具体的に伝えられれば、自分らしさをアピールする材料になってくれます。
【例文】
・ 「高校2年の夏、部活動の合宿中にチームのまとめ役を任されました。意見がぶつかり一度はチームがまとまらなくなったものの、全員と個別に話し合う時間をつくり、みんなが納得できる案を提案しました」
・ 「中学3年の頃から、毎月1冊は小説を読むことを習慣にしています。特に登場人物の心理描写を読むのが好きで、自分でも感想や考察をノートにまとめるようになりました。この習慣のおかげで、文章力や表現力が身についたと感じています」
3. 強みが志望校でどうマッチするか
続いて、自分の強みや長所を、志望大学の学びや校風にどう活かせるかを伝えていきましょう。大学の教育理念やアドミッション・ポリシーをふまえた上で、それと自分の姿勢がどう重なるかを具体的に書くことで、説得力が生まれます。あなたが“その大学に合った人材”であることを、しっかりとアピールしてください。
【例文】
・ 「私の粘り強く学ぶ力は、○○大学の課題解決型授業での探究活動に活かせると考えています」
・ 「周囲と協力して目標に取り組む力を、グループ実習が多い○○大学の教育で活かしたいと思っています」
4. 将来の展望を述べる
自己PRの最後には、将来の目標や夢を添えると、より印象に残る文章になります。将来の進路がまだはっきり決まっていなくても、「どんな分野に興味があるか」「どんな人になりたいか」といった方向性が伝われば大丈夫です。大学でどんな学びを深め、その経験を将来どう活かしたいかを、自分の経験や強みとつなげて表現すると説得力が増します。入学後の成長を期待してもらえるよう、自分の言葉で丁寧に伝えましょう。
【例文】
・ 「自分の主体性を活かし、大学では語学や異文化理解を深め、将来は国境を越えて人と人をつなぐ仕事に就きたいと考えています」
・ 「高校生活で培ってきた観察力を活かし、大学では心理学や福祉について学び、将来は困っている人に寄り添える支援者を目指したいです」
【STEP4】 よくあるNG例と改善ポイントをチェック!

伝え方や表現を間違ってしまうと、せっかくの自分の魅力を伝えきれない原因になってしまいます。よくやりがちな以下のNG例を参考にして、より良い表現の仕方を目指していきましょう。step1で紹介したポイントをふまえ、改善方法も紹介していきます。
抽象的すぎる表現
自己PRでよくあるのが、「頑張りました」「成長しました」など、抽象的な表現だけで終わってしまうことです。これでは、読み手に自分の魅力がはっきりと伝わりません。具体的な場面や行動、エピソードを交えることで、説得力がぐっとアップします。
【NG例】 「私には協調性があります」
→ 【改善】 「私は部活動で意見が対立したときもメンバーの話を聞き、まとめ役をしました」
【NG例】 「私は努力家です」
→ 【改善】 「苦手だった英語を克服するために、毎朝30分の単語学習を1年間続けました」
自己評価しかしていない
たとえば「私は温厚な性格です」などといった表現は、抽象的なだけでなく、自分の一方的な評価になるため、説得力に欠けてしまいます。具体的なエピソードに加え、その結果どのように評価されたかまで伝えるようにしましょう。先生や友達の言葉、具体的な成果など、第三者の視点を交えることで、より信頼度の高い内容になります。
【NG例】 「私は温厚な性格です」
→ 【改善】 「部活動で後輩のミスが続いたときも、怒らずに原因を一緒に考え、丁寧にアドバイスをしたことで後輩から『話しやすい』と言われました」
【NG例】 「私は粘り強いタイプだと思います」
→ 【改善】 「数学のテストで目標点に届かなかったときも、苦手な単元を繰り返し復習し、次のテストでは20点アップしました」
友達から「リーダーシップがあるね」と言われたので、そう感じた具体的な出来事を聞き出し、自己PR文に組み込むようにしました!
女子高校生
大学が求める学生像にマッチしていない
自己PRでは、自分の強みだけでなく、それが大学の教育方針やアドミッション・ポリシーとどう関係するかを意識することが大切です。どれだけ魅力的なエピソードでも、大学が求める学生像とズレていると評価されにくくなります。志望校が「どんな学びを重視しているか」をよく調べたうえで、自分の経験とつなげて表現しましょう。
「協働」や「対話」を重視する大学の場合
【NG例】 「私はひとりで物事に集中するのが得意です」
→ 【改善】 「ひとりでの作業に集中しながらも、グループでは進行役として意見をまとめる役割を担ってきました」
「主体性」や「創造性」を求める大学の場合
【NG例】 「私は新しいことよりも、決められたルールに従うほうが得意です」
→ 【改善】 「基本を大切にしつつ、決められたルールの中でより良いやり方を考えることを意識しています」
志望大学の教育方針に合わせ、自分の強みの表現の仕方を書き換えました。事前に大学のパンフレットをよく読んでおくことが大切だと思います!
女子高校生
【STEP5】 書けたら終わりじゃない! 添削・ブラッシュアップのコツ

書き終えた自己PR文は、少し時間をおいて客観的に見直すことが大切です。伝えるべき相手は、自分ではなく志望する大学の人たちです。読み手の立場になり、少しでも疑問を感じる点は修正し、より完成度を高めていきましょう。以下のチェックポイントを心がけてみてください。
誤字脱字のチェック
基本的なことですが、誤字や脱字があると印象を大きく損ねてしまいます。文章を何度か読み返し、名前や学校名、漢字の間違いなどがないか入念に確認しましょう。インターネット出願前に、印刷したものをチェックするのもおすすめです。
書き終えた翌日にプリントして読み返してみたら、大学名を間違っていることが判明…! パソコンの画面では気づかなかった初歩的なミスでした!
男子高校生
声に出して読んでみる
声に出して読むことで、読みにくい箇所や不自然な言い回しに気づくことができます。また、読み手の立場に立ってみると、伝わりやすさや説得力にも違いが出てきます。自然な文章かどうか、自分の耳で確かめてみましょう。
第三者の意見を聞く
自分では気づけない視点を得るには、先生や家族、信頼できる友達に読んでもらうのが効果的です。自分では理解できる文章でも、他の人には伝わらないということはよくあります。「どこがよかったか」「わかりにくいところはあったか」など、具体的なフィードバックをもらい、内容をよりブラッシュアップしてください。
書いた自己PRは中学生の弟に読んでもらい、誰が読んでも伝わる内容を意識して仕上げました。高校の先生にも、「わかりやすかった」と言ってもらえてよかったです。
女子高校生
読みやすさの確認
構成が論理的にまとまっているか、情報が過不足なく伝わっているかを見直します。長い文章になっていないか、段落のつながりはスムーズかなど、読み手がストレスなく読み進められる工夫も忘れずに。最終的には、「自分の思いがきちんと伝わっているか」をチェックしましょう。
志望校のオープンキャンパスで、自己PR文の無料添削コーナーに参加しました。大学の先生が親身にフィードバックしてくださり、そこから文章を組み直した結果、自信を持って出願することができました。
女子高校生
自己PR文は、学校推薦型選抜や総合型選抜のためだけでなく、これまでの自分や、将来のことをじっくりと見つめ直すいい機会でもあります。高校生活で得た経験や考え方を深く掘り下げ、志望校に自分の意欲や魅力を丁寧に伝えていきましょう! 今まで気づかなかった自分の良さを感じ、ぜひポジティブな気持ちで取り組んでみてください。
部活で悔しい思いをした経験をありのままに書いたところ、オリジナリティを褒められました!
男子高校生