“someone” と “person” はどちらも「人」という意味を含む基本的な単語ですが、ニュアンスには微妙な違いがあります。
実際の英会話の場面を取り上げてみましょう。
例:雨が上がった公園で「ベンチに傘を置き忘れた人がいるよ!」と言いたい。
この文脈では “someone” と “person” どっちが適切な表現なんだっけ……?
即答できなかった方は、ぜひ今回の記事を読んでみてください。“someone” と “person” の違いを明確に理解でき、迷うことがなくなりますよ!
結論:“someone”=「不特定の人物」 “person”=「特定の人物」という違いがある

“someone” は不特定の人物を指し、“person” は特定の人物を指すという違いがあります。個人名を使わず、ある人物を指すのが共通点ですが、それが誰なのか「ある程度特定されている」「特定されていない」という状況で使い分けるのが特徴です。
また“someone” は比較的カジュアルなシーンで使われやすく、“person” は比較的フォーマルなシーンで使われます。
和訳 | ポイント | 例文 | |
---|---|---|---|
someone | ある人 誰か | ・不特定の人物を指す ・比較的カジュアル ・一般的・あいまいな意味合い | Someone came looking for you. (誰かがあなたを訪ねてきましたよ。) ⇒「誰か」を特定できない。 |
person | 人 人間 | ・特定の人物を指す ・比較的フォーマル ・中立的・具体的・客観的な印象 | The person in the blue coat is my friend. (青いコートを着ている人は私の友達です。) ⇒「友人」と特定できる。 |
「ベンチに傘を置き忘れた人がいるよ」では個人を特定できないので“someone” が適切
記事冒頭の例文「ベンチに傘を置き忘れた人がいるよ」について考えてみましょう。
例文の情報だけでは、傘を忘れた人物が具体的に誰なのか、特定できませんよね。
名前や性別、年齢などは不明。
あくまでも単に「傘を忘れた不特定の誰か」というニュアンスなので、“someone” が適切な表現です。
▼正しい英文:Someone left his/her umbrella on the bench.
“person” を使うと、「その人物が具体的に誰なのか」を指し示すことになります。傘を忘れた人が誰だかわからない状況では、不自然なんですね。
2つの違いを一言で訳すなら、“someone” =「誰か」、“person” =「ある人」を表現すると考えればOKです。
また、上記2つの表現と間違われやすい単語を、1つ紹介しておきましょう。
「人」を表すことでよく知られた“human” は、「動物と区別される概念としての人間全般」を意味します。抽象的な概念としての「人」を表す点で、「ある人物」を指す“someone” “person” とは異なることを押さえておきましょう。
“someone” は不特定の人物を指す!“ある人・誰か” を意味する単語

“someone” は「ある人」や「誰か」を意味する単語です。具体的な人物を指すわけではなく、情報があいまいな状況で「不特定の人物」を指します。
【“someone” の役割】
・名前を言わずに特定したい人物を絞る
・一般的な概念としての「人」を説明する
・「限られた人数の中から誰か」を求めている場合に使用する
(「無数の人のうち誰でもいい」という場合は“anyone” を使う)
Someone is at the door. Could you please check who it is?
(誰かがドアの前にいます。誰なのか確認してもらえませんか?)
I need someone to help me with my homework.
(誰かに宿題を手伝ってもらいたいな。)
Can someone help me carry these packages?
(誰かこれらの荷物を運んでくれる人は誰かいますか?)
人物を特定できない状況でも、世界中にいる人物たちから「誰か」を、特に指定して言及したいときに “someone” は適切です。
1つ目の例文のように、名前がわからない特定の人について尋ねるときにも “someone” が適しています。
なお、よく“someone” と“anyone” の違いに悩む人がいますが、意味合いがかなり異なります。
“anyone” は「誰でも」「誰にでも」という意味合いで、特定の人物を示すわけではありません。「誰でもいいよ」という、軽い気持ちのニュアンスが含まれる表現です。
また“anyone” の方が、“someone” よりも疑問文や否定文で使われやすい印象があります。
参考:anyone|Cambridge Dictionary.
しかし実際は、先ほどの例文の3つ目のように、“someone” も疑問文で使うことが可能です。
使い分ける際には、
「誰でもいいから、手伝ってくれる人を探している」という場合は“anyone”、
「他ではなく、あなたじゃないとダメ」という場合は“someone” が適切だと考えましょう。
“person” は特定の人物を指す!“広い意味での人・人間” を表現する

“person” は「人」や「人間」という意味で、一般的で中立的なニュアンスを持つ単語です。基本的に、「印象や特徴がハッキリしている特定の人物」を指すのがポイントで、広い文脈で使われます。
【“person” の役割】
・匿名かつ特定された個人について説明する
・「優しい人」など、ある人物について性格とともに説明する
・男女といった性別のニュアンスをなくして仕事の肩書を説明する(sales pesonなど)
The person sitting next to me on the bus was reading a book.
(バスで私の隣に座っていた人は、本を読んでいました。)
I met an interesting person at dinner last night.
(昨夜のディナーで、面白い人に出会いました。)
The lost wallet was found by a kind person and returned to its owner.
(失くした財布は親切な人によって見つかり、持ち主に返されました。)
匿名ではあるものの「ある特定の一人」について事実や性格・印象を、客観的・具体的に述べるときには “person” が適しています。主観を交えず冷静に説明するために使えて、比較的硬めで、フォーマルな印象を持つ単語です。
“someone” と “person” の違いについて理解度チェックテスト
“someone” と “person” の違いが理解できたか、チェックテストで確認しましょう。
以下の文章を、それぞれ“someone” と “person”のいずれかを使って英訳してください。
① 誰かがオフィスにスマートフォンを置いて行った。
② お店で出会った人に、道を教えてもらいました。
解答
① Someone left their smartphone in the office.
⇒ 不特定の誰かを表すので“someone” が適切です。
※なお“their” (彼らの)は通常複数形として使われますが、今回のようにスマートフォンを忘れた人の性別がわからない場合、his / her(彼の・彼女の)の代わりに単数形として使うことができます。
“his or her smartphone”(彼もしくは彼女のスマートフォン)としてもOKですが、性別を気にしないことが一般的になってきているので、単数形での“their” という言い方も覚えておくと役立つでしょう。
② I met a person at the store who gave me directions.
⇒ 「お店で出会った特定の人」を表しているので、“person” が適切です。
まだうまく回答できないという人も大丈夫です。最後に“someone” と “person” の違いをまとめたので、確認して、マスターしていきましょう!
表現の違いまとめ:“someone” =不特定の人 “person” =特定の人
あらためて、“someone” と “person” の違いをまとめました。
単語 | 和訳 | ポイント |
---|---|---|
someone | ある人 誰か | ・不特定の人物を指す ・比較的カジュアル ・一般的な概念を示す |
person | 人 人間 | ・特定の人物を指す ・比較的フォーマル ・中立的・客観的な印象を持つ |
どちらも、主語にも目的語にもなれて、常に単数形扱いという共通点があります。違いとともに共通点も覚えておけば、英会話や英作文でミスなく、正確な文章を組み立てられるようになるでしょう。
また今回の例文を暗唱したり、自分で実際に例文を作ってみたりすると、身体に英語がしみこみ、理解が深まるのでおすすめですよ。ぜひ今回の記事を参考に、“someone” と “person” を使いこなしてみてくださいね!