- 英会話に文法が必要な理由を理解して、正しい学習方法で話せるよう前進できる
- 必要な文法学習の範囲が分かり、悩みや不安を解消できる
- 英会話を始める前に、必要な基礎文法の知識が身に付く
- おすすめの文法学習方法と教材を把握できる
英語を話せるようになるためには、最低でも中学レベルの文法知識が必要不可欠です。
しかし「今から文法を学び直すのは大変」「知識量が膨大で学習しきれない」と悩む人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、英会話に必要な基礎文法と学習方法を解説し、効率的に学べる教材やアプリなどを紹介します。
英会話に文法が必要な理由!「いらない」と考えたままだとどうなる?


「英会話に文法は必要ない」
こんな話を耳にした人もいるでしょう。
しかし英会話をできるようになるためには、文法の知識は必須といえます。
単語やフレーズを覚えていたとしても、使い方が正しくなかったり順番がおかしかったりすれば、正確な会話ができないからです。
英会話をできるようにするためには、文法の決まりを守り、文章を作らなければなりません。
特に大人が感覚的に英会話スキルを身に付けるのは、簡単ではないでしょう。
大人は物事を理屈から学んだ方が理解しやすいため、英会話をできるようになろうと思ったら、文法を学んだ方がはるかに効率的です。
したがって、文法の知識が不十分な場合、英会話の学習がうまくいかなくなる可能性があります。
単語などは聞き取れているにもかかわらず、相手の話している内容が理解できない場面が増えてしまいます。
英会話は次から次へと話が進んでいくため、文法の知識が乏しければ、理解に時間がかかったり話についていけなかったりするのです。
さらに文法の知識がない場合、正しく文章を作れず、相手に自分の気持ちを正確に伝えられません。単語を並べたりボディランゲージをしたりするだけでは、いつか限界がおとずれるでしょう。
このように、英会話で正確に意図を伝えるには、文法の知識が重要な役割を果たすのです。
英文法が苦手な人でも英会話ができるようになるためのポイント!英文がめちゃくちゃになる状態を卒業


初心者が英語を話そうとすると、過去完了形(had played)を使うべきところに過去形(played)を使ってしまうなど、
「文法がめちゃくちゃになる……」
という状態に陥りやすいと思います。
そこで文法を使いこなすためのコツと、実践的なトレーニング法を紹介するので、英文法が苦手な人はぜひ参考にしてみてください。
英文法を実践的に使いこなすには、実際に使用する回数を増やすことが大切!自主トレーニングでもOK
英文法を実践的に使いこなすには、英会話での使用回数を増やしていくことが重要です。
英会話の最中に、文法がめちゃくちゃになってしまう人も少なくないでしょう。普段しっかり学習を行っているはずなのに、いざ実践となると思ったように話せていないと感じる人も多くいます。
どれだけ普段の練習が完璧でも、実践で同程度の力はまず出せません。これは災害のときと同じです。普段どれだけ避難訓練を行っていても、いざ災害が起きると恐怖でまったく動けなかったり頭がフリーズしてしまったりします。
そのため、とにかく実践の場数を増やすのがおすすめです。最低限必要な文法は本などで学習しながら、実践の場に多く身を置きましょう。
英会話レッスンを受ける自信がない人や、時間がない人は、独り言や英語日記、英会話アプリを使った練習などの「自主トレーニング」でもOK。
ここではトレーニングを、本当に起きているものとして捉えながら行っているかが重要です。これによって大きく感覚が変わります。目の前に外国人がいると思って、例文を音読するのも効果的です。
そして文法が完璧ではなくても英会話レッスンを始め、回数を重ねていけばよいのです。英会話レッスンで場数を踏めば少しずつ精度が高まり、正しい文法で話せるようになるでしょう。
どうしても文法が難しくて理解できないなら、例文をそのまま覚えて感覚的に理解するのもOK
中には、どうしても文法のルールが複雑で、理解できない人もいるかもしれません。
接続詞や助動詞など、品詞の名前を聞くだけで嫌気がさしてしまうなら、感覚で理解するのも1つの手です。
テキストに書かれた例文をそのまま覚えて、繰り返し声に出すことで、実際の英会話の場でも自然とそのフレーズが使える状態を目指せます。
例えば、以下の文章を見てみてください。
I have been here for one year. 私はここに1年いる。
I have been here since 2020. 私はここに2020年からいる。
1つ目の例文には前置詞“for” 、2つ目の例文には前置詞“since” が使われており、それぞれの特徴はやや異なりますが、いったん理屈は無視します。
文法のルールを覚えるのではなく、各例文を頭に叩き込み、何度も声に出すことで、感覚的に理解していくのです。
すると頭で考えなくても、期間を表すには“for”、特定の時点を表すには“since” が適していると、直感的に分かるようになりますよ。
特に大人であれば、学校の定期テストのために品詞を覚える必要はないため、このように感覚で文法を理解していくのも有効です。
英会話を始める前に学習しておきたい文法一覧をわかりやすく紹介!





「文法の知識が必要なのは分かったけれど、そもそも文法にはどんなものがあるか分からない」
特に一から英語を勉強する人は、文法の種類から分からない場合も多いでしょう。ここでは英会話で必須の、以下の基本的な文法を紹介します。
学習しておきたい文法一覧
- 基本5文型
- 単数形と複数形
- be動詞と一般動詞
- 時制
- 助動詞
中学校の英語の授業で、聞いた記憶のある人もいるのではないでしょうか。どのようなものだったか、1つずつ確認していきましょう。
基本5文型:英文のパターンを覚えればとっさに英語が口から出る!


英語には大きく分けて5つの文の型が存在します。それがこの基本5文型です。5つのパターンをしっかり理解すれば、とっさのときにも英語が口から出やすくなります。それぞれの内容と、例文を見ていきましょう。
第1文型 主語(S)+動詞(V)
意味:(主語)が(動詞)する
例文:I swim.
S V
私は泳ぎます。
動詞は、S+Vだけで意味が成り立つ「自動詞」を使う。
※一方S+Vに加えて+目的語(O)が必要な動詞は「他動詞」。
第2文型 主語(S)+ 動詞(V) + 補語(C)
意味:(主語)が(補語)という状態である
例文:He looks sad.
S V C
彼は悲しそうに見えます。
この場合、補語は名詞or形容詞でS=Cとなる
第3文型 主語(S)+動詞(V)+目的語(O)
意味:(主語)が(目的語)を(動詞)する
例文:She studies English.
S V O
彼女は英語を勉強します。
主語の動作が他のものに影響する「他動詞」が、目的語と共に使われる。
S≠Oとなる
第4文型 主語(S)+動詞(V)+目的語1(O)+目的語2(O’)
意味:(主語)が(目的語1)に(目的語2)を(動詞)する
例文:She teaches him English.
S V O O’
彼女は彼に英語を教えています。
動詞は他動詞。2つの目的語はイコールではなく「〜に」→「〜を」の順に並ぶ。
第5文型 主語(S)+動詞(V)+目的語(O)+補語(C)
意味:(主語)は(目的語)を(補語)と(動詞)する
例文:She calls me Hanako.
S V O C
彼女は私を花子と呼びます。
O=Cとなる。
単数形と複数形:形の変化をマスターして正しく使いこなすのがポイント


英語の名詞には単数形と複数形があります。りんごが単数のときは“apple”、2つ以上の複数の場合は“s”をつけて“apples”と表現するものです。しかしこれにもさまざまなルールがあります。
まず複数になったから、単純に“s” をつければよいわけではない名詞があるのです。
たとえば語尾が“s”や“sh”、“x” などで終わっている名詞には“s” ではなく“es” をつけます。また“rice” のように数えられない名詞には、複数形は存在しません。
そのほかにはchild(単数形)→children(複数形)のように、単数形と複数形がまったく異なるものも存在します。
一方でsheepのように、単数形も複数形も同じものもあるのです。またglasses(メガネ)のように通常は複数形で使用し、単数形として使われない名詞もあります。
be動詞と一般動詞:パターンごとに使う動詞を覚えて使い分けることが大切


動きを表す言葉を動詞といいます。動詞と一言でいっても、それにも種類があるのです。動詞にはbe動詞と一般動詞があります。しかしその違いを理解していない人も多いでしょう。
まずbe動詞とは、am・is・areのように人称や時制によって形を変える動詞です。日本語では「〜です」という意味になります。
- be動詞=isの例文
She is a lucky person. 彼女は運がいい人です。
主語や時制(現在形・過去形・未来形)によって使うbe動詞が異なります。
主語と時制ごとに使用するbe動詞をまとめたので、慣れるまでは表を参照しながら、文章を作っていきましょう。
【be動詞一覧表】
原形:be/時制 | 現在形 | 過去形 | 未来形 |
---|---|---|---|
一人称単数(I) | am | was | will be/am going to |
一人称複数(We) | are | were | will be/are going to |
二人称単数複数(You) | are | were | will be/are going to |
三人称単数(He・She・It) | is | was | will be/is going to |
三人称複数(They) | are | were | will be/are going to |
次に一般動詞についてですが、一般動詞はbe動詞以外の全ての動詞を指します。この一般動詞もbe動詞同様に主語や時制によって形を変えます。
たとえば主語が三人称単数で現在形の場合、動詞の最後に“s”がつきます。
具体的には、以下の代名詞や固有名詞が三人称単数です。
① 代名詞のhe(彼)・she(彼女)・it(それ)など
② “John”のような固有名詞や、”a dog”や”a cat”などの動物
- 一人称現在形 I play tennis. 私はテニスをします。
- 三人称単数現在形 She plays tennis. 彼女はテニスをします。
また過去形にする場合は、一般動詞の原形に“ed”をつけます。これも単語の語尾によっては形が変わる場合もあるので注意が必要です。
たとえば以下の通り。
- I studied English.私は英語を勉強しました。
be動詞と一般動詞の否定文
be動詞と一般動詞を使って否定文を作る場合、後ろに否定語「not」を付けます。be動詞の場合は「am not(略してI’m not)」「is not(略してisn’t)」、一般動詞の場合は「do not(略してdon’t)」などと表現します。
- I’m not a nurse. 私は看護師ではありません。
- I don’t like her outfit. 私は彼女の服装が好きではない。
時制や人称によって動詞の形が変わり、過去形の場合は「I was not(略してI wasn’t)」「did not(略してdidn’t)」などとなる点に注意しましょう。
なお、その後に続く動作は、時制や人称にかかわらず現在形(原形)で表現する(以下2つ目の例文では”bring”)のが特徴です。
- I wasn’t an honor student. 私は優等生ではありませんでした。
- He didn’t bring his homework. 彼は宿題を持ってきませんでした。
be動詞と一般動詞の疑問文
疑問文にする場合は、主語(S)と動詞(V)の順序を入れ替えてクエスチョンマークを付けます。
- be動詞の疑問形 Is she a lucky person? 彼女は運がいい人ですか?
同様に一般動詞を疑問形に変える場合も、主語(S)と動詞(V)の順序が入れ替わりますが、時制や人称によって動詞の形が変わる点に注意しましょう。
三人称単数の場合は「does」、過去形の場合は「did」を使います。後に続く動詞は、やはり時制や人称にかかわらず現在形(原形)で表現します。
- Do you play baseball? あなたは野球をしますか?
回答 Yes, I do./No I don’t. はい、します。/ いいえ、しません。
- Does she play baseball? 彼女は野球をしますか?
- Did she play baseball? 彼女は野球をしましたか?
3つの時制:例文ごとパターンを覚えるのがコツ!
英語初心者にとって時制は聞き慣れない言葉かもしれませんが、現在形・過去形・未来形といえば、聞いた記憶がある人もいるのではないでしょうか。ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
現在形
現在形の基本は原形の動詞を使用しますが、前述の通り、主語によって形が変わる場合があるため注意が必要です。たとえば次のような文章になります。
- I study English.(一人称) 私は英語を勉強します。
- She studies English.(三人称) 彼女は英語を勉強します。
また現在進行形も押さえておきたい時制です。これは今まさに、ある動作をしている最中という状態を表した文章で、以下の例文のようにbe動詞+動詞ingで表します。
- I am playing tennis. 私はテニスをしているところです。
- He is eating breakfast. 彼は朝食を食べているところです。
過去形
過去の出来事を表したいときは過去形の動詞を使います。この過去形の動詞には動詞の最後に“ed”がついた規則動詞と、不規則動詞の2種類があるのです。
不規則動詞にはmakeがmade・giveがgaveのような、原形とまったく異なる形になるものとcutのように形が変わらないものがあります。これらを例文にすると以下の通りです。
- I studied English. 私は英語を勉強しました。
- She bought a notebook. 彼女はノートを買いました。
そのほかには過去進行形もあります。
過去に継続中であった行動を表すときに使うのが特徴です。主語+be動詞の過去形+動詞ingで、以下のように表せます。
- I was playing tennis. 私はテニスをしているところでした。
未来形
少し先の話や将来など、未来について話がしたい場合は未来形の動詞を使います。この未来形のパターンは大きく分けて2つです。
- will+動詞の原形
- be going to 動詞の原形
will | ①今、その場で決めた予定 ②(根拠はないが)将来起こることを予想 |
be going to | ①(計画的に)以前から決めている予定 ②(根拠があって)今の状況を予測 |
- I will study English tomorrow. 明日は英語を勉強します。
- I am going to study English tomorrow. (計画的に)明日は英語を勉強する予定です。
また「明日のこの時間は買い物に行っているだろう」のように未来のある時点を考えた状況を未来進行形といいます。「夕方から会議に出る予定だ」のように未来の予定について語ることも可能です。
- I am going to attend the meeting this evening. 私は夕方会議に参加しているだろう。
助動詞:覚えやすいものから順にマスターして表現の幅を広げよう!


英語の助動詞とは読んで字の如く動詞を助ける働きのあるもので、動詞の意味を変化させる機能も持っています。表現に深みが増したり、伝えたい内容が伝えやすくなったりするのが、助動詞を使うメリットです。
たとえばcan・should・must・shallなどが、代表的な助動詞にあたります。
助動詞 | 意味 |
---|---|
Can | できる・~してもよいか |
Could(Canの過去形) | ~できた・~かもしれない・~してもいいですか |
May | ~かもしれない・~してもよいでしょうか |
Might(Mayの過去形) | ~かもしれない・~してもよろしいでしょうか |
Must | ~しなければならない |
Wil(未来形) | 〜します |
Would(Willの過去形) | ~だろう・よく~した |
Used to | 昔はよく~した・かつては~だった |
Shall(未来形) | ~します・~しましょうか |
Ought to/Should(Shallの過去形) | ~すべき・~のはず Ought to=客観的 Should=主観的 |
Need | ~する必要がある |
Dare | あえて~する |
基本形では、助動詞は主語と動詞の間に入ります。助動詞を使う場合には、動詞は原形となったり、三単現(三人称単数現在)の“s”を取ったりするのが特徴です。
過去形の場合は動詞を原形にして、その代わりに助動詞を過去形にします。
- I can speak Japanese. 私は日本語を話すことができます。
- You should study English. あなたは英語を勉強するべきです。
助動詞を押さえておけば文法の基礎力が身に付き、使える英語の幅がぐんと広がって、英語学習のスキルアップがはかれます。
今回紹介した助動詞は、英会話力の土台となる要素ですので、覚えやすいものから順にマスターしてみてください。
英会話に必要な文法をひと通り学べるおすすめ勉強法&本


文法の理解は、英語を習得するうえで非常に重要です。文法の知識があれば英語習得の速度が上がります。反対に文法の知識がなければ、リスニング・スピーキング共に上達せず、英語学習が非効率になるでしょう。
文法が重要だとは分かっていても、学習方法が分からずそのままになっている人もいるかもしれません。それでは時間の無駄になってしまいます。
そこで、英会話に必要な文法をひと通り学べる、おすすめの勉強法や本を紹介します。
教科書や参考書を用いて中学英語をマスターする
前章であげた英会話学習を始める前に学習しておきたい文法は、すべて中学時代に学習するものです。そのため中学英語をマスターすれば、必然的に文法を身に付けられるでしょう。
もし残っていれば、自分が使用していた教科書を引っ張り出して、学習に使用することをおすすめします。英語が苦手だった人もどこか懐かしく思いながら、青春時代に戻ったように楽しく学習を進められるでしょう。
自分の使っていた教科書を用意できなくても、もちろん大丈夫です。本屋で中学英語の参考書を手に入れましょう。
英会話ができるようになるためには、大人の場合は文法の基礎を論理的・体系的に学び、知識を積み上げる必要があります。そのために中学英語をやり直すのが、手っ取り早い方法なのです。
問題集を用意して問題を解きまくる【知識の習得度チェックするために並べ替えや穴埋めのトレーニングもおすすめ】


理解した文法を覚えるためには、問題集を用いるのが一番です。ポイントを理解し繰り返し問題を解けば、記憶に定着させられます。
また用意した文章を「チャンク」と呼ばれる意味のかたまりごとに区切り、ばらばらにして、正しい順番に並べ替えるトレーニング方法もおすすめです。文章の構造や助動詞の使い方など、決まりを理解するうえで非常に有効といえます。
並べ替え同様に穴埋めのトレーニングも効果があります。穴埋めは、前置詞や代名詞などの知識を確認できるのです。使えるレベルの英語が身に付いているか、セルフチェックができるでしょう。
並べ替えや穴埋めは問題集の問題となっている場合もありますが、自分で作るのも可能です。ゲーム感覚で自作してみても楽しいでしょう。
学習した文法を使いこなすため実際に英文を書く【英語が得意な人に添削してもらうのがベスト!】
学んだ文法を使って、英文を書くのは非常におすすめです。英語の文章を作れるのは、文法の使い方を理解している証拠です。
インプットした文法をライティングによってアウトプットすれば、自分の言葉として自然に英語が使えるようになります。
習った文法を使って自分なりの例文を作ってみましょう。語彙力がない最初のうちは、辞書やスマホを使って作成するだけでも有効です。
マスターした文法の種類が増えてくれば、一回で書ける文章量も必然的に増えるでしょう。メモや日記を英語で書くなどして、英文作成を習慣化するのがおすすめです。
書いた英文に間違いがないか見直すことはもちろん、英語が得意な人に添削してもらえばより効果的です。オンライン英会話を活用し、講師に見てもらってもよいでしょう。
カラー改訂版 世界一分かりやすい英文法の授業
この本は、2008年に刊行された「世界一わかりやすい英文法の授業」をオールカラー化した改訂版です。著者は学習アプリ「スタディサプリ」の講義動画で、講師として活躍している関正生先生。
関先生は慶應義塾大学を卒業した元有名予備校の英語講師で、現在はスタディサプリで講師を務める傍ら、さまざまな本の執筆を行っています。
タイトルを見ると「初めて英文法に触れる人向け」に思えるかもしれませんが、そうではありません。本書のターゲットは、ひと通り文法を学習したものの、苦手意識を持っている人です。
文法を丸暗記するのではなく、理解して使いこなせるように指南してくれる本です。中学英語の問題集を解いて学習を進めるなかで、分からない部分や理解が乏しい部分をサポートするように使うのがよいでしょう。
【参考書なし】英会話に必要な文法を学べるおすすめ動画2選


「文法書・参考書を読んでもよく分からない」という人は、分かりやすい解説動画を見てみましょう。
英会話を始める前にマスターしておきたい文法が、スムーズに頭に入るおすすめの動画は、以下の2つです。
①英文法の鬼が中1英語の基礎を80分で全解説【三人称単数/疑問詞/進行形】|基礎を固めて文法のミスを減らせる!
英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY(イングリッシュカンパニー)」のシニアリサーチャー・時吉秀弥さんによる解説動画。中学校1年生で学ぶ英語の基礎を解説しています。
時吉さんは、著作である英文法書『英文法の鬼100則』が9万部を超えるベストセラーとなった、英語学習の第一人者です。
動画では自分に力が作用する「自動詞」、力を使って他者に働きかける「他動詞」の違いを明確に解説。両者の使い方をマスターすれば、英会話や英作文での文法のミスをかなり減らせるはずです。
他にも、複雑に思われやすい文法をポイントに絞って解説しており、高校生から大人まで学び直しに活用できます。動画で扱われている英文法をマスターできれば、初級レベルの英会話レッスンでは不自由しないでしょう。
②英語は4つの文法でペラペラ|意味のかたまり=チャンクを活用して表現の幅を広げる】
トロント大学出身の英語コーチ・カナさんが、英会話に必要な文法を4つに絞って解説している動画です。
外務省・財務省で英語指導を行った実績もあるコーチの分かりやすい動画で、公開から4ヶ月で40万回再生を達成しました。
カナさんは最短で英語を話せるようになるための文法を以下の4つに絞っています。
- be動詞
- 一般動詞
- 助動詞
- 過去形
また英語を話す際、常に使用する「意味のかたまり」=「チャンク」を活用することの大切さを強調。
チャンクさえ使えれば、あとは状況に合わせて単語を入れるだけで、簡単な会話ができるようになります。
分厚い専門書・文法書を読まなくても、4つの文法とチャンクを組み合わせて、英会話の基礎力を鍛えるためのポイントがつかめる動画です。
英会話ができるようになるために文法をどこまで学習すべき?


英会話ができるようになるためには、どの程度の文法を学習すればよいのだろうと悩む人もいるかもしれません。しかしこれは一概には言えないのです。なぜ英会話をできるようになりたいか、その目的によって学習の程度は変わるでしょう。
ここではなぜ英会話ができるようになりたいのか、その目的ごとに学ぶべき範囲の詳細を確認します。
日常英会話ができるようになりたい人は中学校レベルの英文法をマスター



「日常生活のなかで、自分の言葉で会話がしたい」
このレベルの英語を話すには、中学校レベルの文法をマスターすればほぼ困らないはずです。
コアな話題や趣味の話がしたい場合は、単語や表現が違うため必要なものは覚えなければなりません。しかし高校で学習する難しい文法の知識がなくても、日常生活レベルのコミュニケーションは成立します。
日常的な英会話ができるようになるのが目的ならば、まず中学レベルの文法を学んでみてください。
中学レベルの教材を1冊買ってやり込んだら、簡単な英語の例文は、和訳だけ見て瞬時に英訳する練習をしましょう。筆者はこの方法で、スムーズに日常会話ができるようになったためおすすめです。
ビジネスシーンで英語を使いこなしたい人は高校英文法とビジネス英語に特化した参考書で勉強を


ビジネス上で簡単なコミュニケーションを取りたい場合は、中学英語レベルの文法で十分でしょう。しかし英会話をするだけではなく、英語の書類や英字新聞を読んだり英文を書いたりする場合、高校レベル以上の文法の力が必要です。
またビジネスシーンでは、気を付けたい表現や日本人には理解しにくい独特のニュアンス、文法が必要になる場合もあります。ビジネスで英語を使いこなしたい場合は、高校以上の文法能力やビジネスに特化した表現方法を身に付ける必要があるでしょう。
英語と日本語ではそもそも文法のルールが違いすぎるため、優秀で理解力の高いビジネスパーソンでも戸惑うことは多いはずです。相手に失礼のない英語で、正確に意図を伝えるには、ビジネス英語に特化した参考書での学習も行う必要があります。
海外旅行先で不自由なく英語で話せるようになりたい人は頻出する基本のフレーズとリスニングを重視
海外旅行で不自由しないレベルの英語を習得することが、英会話をできるようになりたい目的ならば、ハイレベルな文法を覚える必要はありません。海外旅行では、中学レベルのよく使うフレーズを覚えれば、概ね問題ないからです。
最近では翻訳アプリもあるので、どうしてもやり取りで困った場合に活用すれば、英語が全く話せない人でも現地の人とスムーズに会話ができます。
ただ、いちいち翻訳アプリを開くのは面倒であり、誤訳もないとは言い切れません。サクサクと正確なやり取りを進めるなら、中学レベルの英語の知識と、よく使うフレーズだけは覚えておきましょう。
但しワーキングホリデーなどで仕事をする場合は、それ相応の文法を知っておく必要があります。読み書きが必要な仕事に就く場合は、高校レベルの文法力が必要です。
また最低でも中学レベル文法の理解と同時に、リスニング力を身に付けておきましょう。ネイティブが話すスピードについていき、相手の主張をしっかり聞き取り、感じの良いやり取りができればトラブルを防ぐことができますよ。
TOEICの高スコア獲得や英検合格を目指したい人は中高の文法をしっかりマスター


TOEICで高いスコアや英検合格を目指したい人は、上級レベルの文法知識を身に付けておく必要があります。
たとえばTOEICで400点から600点を取りたい場合は、最低でも中学生レベルの文法の力を身に付けなければなりません。600点から800点の場合は、高校レベルの力が必要です。
それ以上になると中学・高校レベルの文法が完璧で、完了形や関係代名詞などの応用的な文法問題も、すんなり解ける状態でなければなりません。
TOEICや英語検定は、文法の基礎を固めれば点数がアップします。たとえばTOEICのpart5とpart6は短文や長文の穴埋め問題です。これらは文法力がついていなければ解けません。さらに長文の読解力も求められます。
それ以外の問題にも、もちろん文法力は必要です。リスニングにおいても文法が分からなければ、細かいニュアンスや詳しい内容が分からず回答ができません。
このように文法の基礎を理解していなければ、単語は分かるけれど意味が分からない状態に陥ります。逆に、文法をしっかり理解できていれば、周りが苦手とする部分で確実に点数がとれるため、点数の底上げが期待できるでしょう。
英会話スキルを身に付けて訪日観光客を手助けしたい人は中学校レベルの文法とお決まりのフレーズでOK



「街で困っている外国人を見かけたけれど、自分の英会話スキルに自信がなくて声を掛けられなかった」
このような経験から、いつか訪日観光客を手助けできるようになりたいと英語を勉強している人もいるでしょう。
訪日観光客の手助けをするためには、中学レベルの文法力が身に付いていれば問題ありません。たとえば道に迷っている・行き方が分からないなど、観光客の困りごとは大体決まっています。
理解している文法があまりなくても、お決まりのフレーズをいくつか覚えておけば充分手助けできるでしょう。加えて、せっかく日本を選んで遊びにきてくれた相手に、日本人に対してよい印象を持ってもらえるよう笑顔や気さくな雰囲気も大切にできるとよいです。
完璧に正しい英語を使えなくても、話やすい雰囲気さえ演出できれば、相手に喜んでもらえますよ。
とりあえず英語が通じればいい人も中学校レベルの文法は学んでおくべき
とりあえず英語が通じるようになりたい場合も、中学レベルの文法は理解しておいて損はないでしょう。文法を理解し使えなければ、自分の言いたいことを適切に相手に伝えられず「とりあえず通じる」状態にはならないからです。
そもそもとりあえず英語が通じる状態になるのが目的の場合は、その目的をもっと具体的なものにする必要があります。目的や目標が具体的な方が、学習方法が明確になりやすかったりモチベーションを保ちやすかったりして、途中で挫折しにくいからです。
とりあえず通じる状態ではなくて、英会話を通してなりたい自分を目的にしましょう。学習を進めるのも楽しくなるはずです。
英会話と英文法について気になる人からよくある質問と回答


ここでは英会話やそれに必要な文法について、気になる人からよく受ける質問に回答します。同じような疑問を持っている人も多いでしょう。ぜひ参考にしてください。
Q:社会人の英会話学習の準備として、大学受験の文法参考書は使える?
大学受験用の参考書は使えますが、中学・高校レベルの文法の力がしっかり身についていることが前提です。英会話学習の「準備段階」であれば、まずは中学レベルの参考書を用意するのがよいでしょう。目的にもよりますが、全てにおいてまず基礎力を固める必要があります。
Q:英文法を手軽に学べるアプリはある?
Duolingoは世界中で利用されている外国語学習専用アプリです。文法を基礎から復習できるうえ、テストを取り入れ効率よく学べます。アルゴリズムによって1人ひとりのカリキュラムが作られるのも強み。学習法を確立し、学習の連続記録に挑戦すれば、完全無料で英語学習が習慣化されます。
Duolingo App Store/Google Play
Q:独学での英文法学習に挫折、英会話レッスンはレベルが高い…丁寧に基礎から教えてもらえるサービスはある?
オンライン英会話では、初心者専用のコンテンツを用意している場合が多くあります。教材を使って講師と1対1で行うので、文法を基礎から身に付けられるでしょう。予習復習を行えばよりスムーズに知識を増やせます。
Q:「英会話に文法はいらない」と言う人がいるのはなぜ?
文法の知識がなくても、実践を積み重ねれば、自然と力が身に付くといった考えを持っているのでしょう。しかし文法の知識がないまま実践を行っても、身に付くまでに非常に時間が掛かります。大人は論理的・体系的に英会話を学んだ方が効率がよいため、いきなり実践的な英会話に挑戦するのではなく、事前に文法を学習することがおすすめです。