日常英会話でもよく使われる “contain” と “include”は、いずれも「含める」「含む」という意味の動詞です。
しかし2つの似た単語には、“contain” =全体、 “include”=部分という、ニュアンスの違いがあることを知っていますか?
実際の英会話の場面で、こんな風に迷ったことがある人は多いかもしれません。
例:「その旅館の宿泊代には、朝食・夕食も含まれています」と英語で言いたい。
この場合は “contain” と “include” どっちが適切な表現なんだっけ……?
即答できましたか? 紛らわしく、使い分けに混乱する方も多いですよね。
今回は、英語が苦手な人がスムーズに理解できるよう、“contain” と “include” の意味・用法の違いを分かりやすく解説していきますね。
結論:“contain”「全体に含む」 “include”「一部分に含む」
containは「全体に含まれている」状態で、includeは対象物が全体の中の「一部に含まれている」状態です。
またcontainは対象物が物理的に全体を占めているのに対し、includeは「その他」の要素も含まれる点で、containよりやや抽象的な表現です。
つまり、containは要素全体をまんべんなく構成していて物理的な印象、includeは構成要素の一部で抽象的な印象を含みます。
イメージ | 例文 | |
---|---|---|
contain | 「全体に」含む | I want to learn a recipe that contains a lot of nutrients. (私はたくさんの栄養素を含むレシピを学びたいです。) |
include | 「一部に」含む | The salad includes lettuce, tomatoes, and cucumbers. (そのサラダにはレタス、トマト、きゅうりが含まれています。) |
使い分けのポイントは「全体」か「一部分」かです。
“contain” は、あるものの「全体に(まんべんなく)・物理的に」含まれているイメージで、成分などが全体に行きわたっているときに使われます。
“include” は、あるものの「一部分に・付随して」含まれているというイメージです。
言及する対象は「全体を構成する要素の一つ」にあたります。対象となるものだけでなく、他にも複数の要素が含まれるというニュアンスを持つんです。
「その旅館の宿泊代には、朝食・夕食も含まれています」には“include” が適切
“contain” は全体に含まれていて、“include” は一部に含まれている。
ニュアンスを踏まえて、記事冒頭の例文、
「その旅館の宿泊代には、朝食・夕食も含まれています」
に適切な表現を考えてみましょう。
「朝食・夕食」は、その旅館の宿泊代に含まれる「一部の要素」ですね。
宿泊代を構成する他の要素は、例えば、部屋代・温泉入場料・サービス料なども挙げられます。
そのうちの一つが、朝食・夕食の料金というイメージです。
サービスの一部としての朝食・夕食にかかる料金を説明するには、 「あるものの一部」を表す“include” が適切でしょう。
▼正しい英文:
The accommodation fee of that ryokan includes breakfast and dinner.
(その旅館の宿泊代には、朝食・夕食も含まれています。)
それぞれ例文を挙げながら、さらに詳しく解説していきます!
“contain” は「全体に・まんべんなく」含まれているという意味の表現
“contain” は「含む」「包含する」という意味の動詞です。
入れ物・容器の中に「ものがある」という状態を指し、特に栄養素や成分が「全体に・まんべんなく」含まれているというイメージを持ちます。
The box contains a variety of chocolates.
(その箱にはさまざまなチョコレートが入っています。)
⇒ 箱の中に均等に、さまざまな種類のチョコレートが詰まっているイメージ。
The book contains several chapters on different topics.
(この本には、さまざまなトピックに関するいくつかの章が含まれています。)
⇒ 本の内容が、多岐にわたるテーマを網羅しているイメージ。
This baby food contains a wealth of nutrients necessary for babies.
(そのベビーフードには、赤ちゃんに必要な成分が豊富に含まれています。)
⇒ 栄養素がベビーフード全体に、均等に広がっているイメージ。
例文では、いずれも「入れ物の中に均等に入っている」や「全体に行きわたっている」というニュアンスがありますね。
このように、物がまんべんなく広がっているシチュエーションでは、 “contain” を使うのが適しています。
厚生労働省の英語版公式サイトを検索すると、外国人居住者むけの以下のメッセージが、検索結果の説明文(メタディスクリプション)に表示されます。
This page contains informaiton on health, labour and welfare in English
引用:Information Available in English|厚生労働省
拙訳:このページには、英語で記載された医療、労働、福祉に関する情報が含まれています。
上記において、医療・労働・福祉といったそれぞれの要素は「一部」ですが、一部が集積された結果、1つにまとまっているイメージです。“contain” を使うことで、医療や福祉などの情報がページ全体に網羅されていることを示しています。権威性あるサイトだとうかがえますね。
ちなみに “contain” から派生した名詞形として「容器・入れ物」を意味する “container” があり、日本語でも「コンテナ」といいます。
“contain” の持つ「入れ物(全体)の中に何かが入っている」というイメージを掴めるので、覚えるためのヒントにしてみましょう。
“include” は「全体の一部」に含まれているという意味の表現
“include” は「(全体の一部として)含む・含める」という意味です。
あるもの全体の「一部に」含まれているという点がポイント。対象となるものだけでなく、他にも複数の要素が含まれるニュアンスを持ちます。
The menu includes a variety of vegetarian options.
(そのメニューにはさまざまなベジタリアン用の選択肢が含まれています。)
⇒ 他にも、例えば肉や魚など、ベジタリアン以外のメニューも含まれる。
The package tour includes guided tours of historical sites.
(そのパッケージツアーには、歴史スポットのガイドツアーが含まれています。)
⇒ 他にも、例えばランチや買い物の時間など、ガイドツアー以外も含まれる。
The program includes workshops on communication skills.
(そのプログラムには、コミュニケーションスキルに関するワークショップが含まれています。)
⇒ 他にも、例えば講演やセミナーの時間など、ワークショップ以外も含まれる。
このように“include” が示す対象物は、全体を構成する要素の一部分であり、他に複数の要素が含まれるイメージです。
“include” のニュアンスを理解するのに便利なフレーズ “including tax”
“including tax” は日本語で「税込み」です。
英語圏の日常生活の中で非常によく目にするフレーズですが、「“tax” を“include” している」という文字通り「(その金額に)税金を含む」状態を表しています。
The total cost of the dinner is $75, including tax.
(ディナーの総額は、税込みで75ドルです。)
例文では、75ドルの直後に“including tax” を置くことで「75ドルの中に、税金分が含まれている」ことを意味していますね。
税金は「総額を構成する一つの要素」と言えることをイメージできると、“include” の「(全体の一部として)含む・含める」というニュアンスをスムーズに理解できるはずです。
“contain” と“include” の違いについてよくある質問と回答
“contain” と“include” の違いが理解しやすくなる質問と回答について、紹介します。より正確なニュアンスをつかむため、ぜひ参考にしてみてください。
“contain” と“include” の違いがハッキリ分かる例文はありますか?
“The box contains various items, including a watch and some documents.”
(箱にはいろいろな物が詰め込まれていて、時計といくつかの書類が含まれています。)
“contain” =いろいろなものが全体的に詰め込まれている、“include” =時計などが一部含まれているというニュアンスが分かりやすい例文です。
“contain” と“include” の使い方をもっと理解するための良い方法はありますか?
なるべく多くの例文に触れることと、実際に自分でも例文を作ってみることがおすすめです。特に自分で例文を考えてみると、“contain” と“include” の違いについて理解できているニュアンスと、できていないニュアンスをしっかり把握できますよ。簡単な英作文の練習のつもりで、ぜひ毎日一行だけでも書いてみてください。続けていくと、英語での表現の幅が広がっていくはずです。
“contain” と“include” の違いについて理解度チェックテスト
“contain” と“include” の違いを理解できたか、チェックテストで確認しましょう。
以下の文章を英訳してください。
①そのメニューにはベジタリアン向けのオプションがいくつか含まれています。
②このボトルには白ワインが入っています。
解答
① The menu includes several vegetarian options.
⇒オプションが、メニューの一部として含まれているため、“include” が適している
② This bottle contains white wine.
⇒ボトルいっぱいに白ワインが行きわたっている状態のため、“contain” が適している
表現の違いまとめ:“contain”=全体、“include”=一部
あらためて、“contain” と “include” の違いをまとめると、以下の通りです。
contain | include | |
---|---|---|
日本語訳 | 含む包含する | (全体の一部として) 含む・含める |
イメージ | 「全体に」行きわたっている (入れ物の中に)均等に入っている | あるものの中の「一部に」 含まれている全体を構成する要素の一つ |
今回紹介した例文を何度か音読してみてください。暗唱できるようになれば、“contain” と “include” の違いが感覚的につかめて、自然と使い分けられるようになるのでおすすめですよ。
記事の内容をインプットしたら、普段から積極的に英作文や独り言でもアウトプットすることで、マスターしていけます。実践を重ねて、自然な英語を話せるようになりましょう!