“by” と “near” は、いずれも「〜の近く」や「〜のそば」という意味を持ちます。
これらは日常の会話でもよく使われる重要な単語ですが、実は使い方やニュアンスに微妙な違いがあります。
実際の英会話の場面で、こんな風に迷ったことはありませんか?
例:友人に「うちの近くに、新しいカフェができたよ!」と言いたい。
この場合 “by” と “near” のどっちを使うのが適切な表現なんだろう……?
違いが紛らわしく、使い分けに混乱する方も多いですよね。
そこで今回の記事では、“by” と “near” の用法・ニュアンスの微妙な違いを、英語初心者に向けて分かりやすく解説します。加えて、他の「近く」を意味する表現も使い分けられるよう、順番に見ていきましょう。
結論: “by” は「客観的に見て隣接している」“near” は「主観的に近いと感じる」

“by”は対象物が“near” よりも近くにあり、客観的に見て目に入るほど隣接していて近い状態です。視覚的に「どう見ても近くにある」と思える状態を指します。
一方、“near”は、対象物が近くに見えるとは限りません。
話し手は視覚的に「近い」とは言っておらず、あくまでも主観的に「近い」と感じているだけで、より広いエリア内での距離を指します。
つまり、“by”は誰が見ても客観的に近く、“near”は人によって感じ方が異なり、あくまでも話し手の主観が入るイメージです。
近さレベル | イメージ | 例文 | |
---|---|---|---|
by | すぐそば・隣接 | 客観的・視覚的 | The bookstore is by the coffee shop. (その本屋はカフェのすぐそばにあります。) ⇒ 本屋とカフェは隣接しているイメージ。 |
near | より広い周辺 | 主観的・感覚的 | There are several parks near my house that are good for walks. (私の家の周辺には、散歩に良い公園がいくつかあります。) ⇒ それぞれの公園の距離は様々で感覚的。 |
“by” はより「客観的」なイメージを持つのがポイントで、実際に対象物が近くにある状態です。
対象物同士が物理的に近い位置にあって、隣接している状態を指し、「誰が見てもすぐそばにある」と表現する場合に使うのが適しています。
一方“near” は、より「主観的」なイメージが強いです。
「近い」と言っても、話し手の主観に委ねられる部分が多く、“by” と比べて「より広い範囲の周辺」を指す単語なんですね。
例文「うちの近くに、新しいカフェができたよ!」では“near” が適切な表現
冒頭の例文「うちの近くに、新しいカフェができたよ!」では、家とカフェの近さは話し手の主観によりそうです。
この情報だけでは、
「話し手の家から確実にカフェが見える」
「話し手の家とカフェが物理的に隣接している」
かどうか、判断できませんよね。
家とカフェが実際に隣り合っているというより、話し手が「散歩がてら行ける距離だから、近いと言えるよな」と、なんとなく感じているような「近さ」でしょう。
つまり 主観的な「近さ」を表すので、より広い範囲を含む“near” の方が適していると考えられます。
▼ 正しい英文:There’s a new cafe that opened near my house!
まだ納得できない人は、ここから“by” と “near” の違いを具体的に分かりやすく解説するので、今すぐチェックしていきましょう。
“by” は客観的に「すぐそば」を表現するイメージの英単語

“by” は「客観的」な単語であることがポイントでしたね。言い換えると、“by” の表す「近さ」は、物理的に実際に隣接しているイメージということです。
- 物理的に「すぐそば」である
- 視覚的に「接近・隣接」していることが分かる
- 誰が見ても対象物同士が近くにあると明確かつ客観的に分かる
“near” のように話し手の主観は含まず、誰が見ても「物理的に近い」と納得できるような状況下では、 “by” が適切です。
A new bakery has opened by my company.
(新しいパン屋が、私の会社のすぐそばにオープンしました。)
⇒ 会社に隣接してパン屋がオープンした状況。
The little boy stayed by his mother all the time.
(その小さな男の子は、ずっと母親のすぐ近くにいました。)
⇒母親の隣にピッタリくっついているようなイメージ。
The popular shopping mall is under construction by the civic hospital.
(人気のショッピングモールは、市民病院に隣接して建設中です。)
⇒誰が見ても病院が目印となり、隣接してショッピングモールが建設中である。
例文から分かる通り、“by” は、視覚的・物理的な近さを表す単語です。別の見方をすると、“by” で表せるのは「場所の近さだけ」であることもポイント。
“near” が場所に加えて、時間の近さも表せるのと対照的であることを踏まえ、次の解説を見ていきましょう。
“near” は主観的に「なんとなく近い」状態を表現するイメージの英単語

“near” は、「主観的」な単語であることがポイントでしたね。つまり“near” の表す「近さ」は、あくまでも感覚的なイメージです。一方“by” は客観的なイメージを持ち、誰が見ても物理的に近い状況を表すときに使う単語です。
つまり “near” が表す「近さ」は、“by” よりも話し手の主観によるところが大きく、かなり感覚的に使われます。
“near” の表す「近さ」
- 話し手の感覚による「近く」
- より広い範囲の「周辺」を含む
- 距離の近さに加え、時間的な近さも表す
さらに“near” は、物理的な距離の近さを表すのに加えて、時間的な近さを表すこともできます。物理的な距離しか表せない“by” との大きな違いですね。
There’s a charming restaurant near my house. It’s about a 3-minute drive away.
(うちの近くに、雰囲気のいいレストランがあるよ。車で3分くらいかな。)
⇒ どれくらい近いのかは、話し手の主観による。(車で3分の近さは “by” では表せない)
The nearest train station is a 20-minute walk away.
(最寄り駅は徒歩20分です。)
⇒ 実際は徒歩20分と近いとは言えないが「最寄り」を表す際に使用できる。
We plan to launch a new product in the near future.
(近い将来、新製品を発売する予定です。)
⇒「時間的な近さ」を表している。“by” にはできない用法。
それぞれのイメージを押さえることで、正しく使い分けられるようになりますよ。
参考:その他の「近く」を表す英語表現 “next to” “beside”など

「近く」を意味する英語表現は、 “by” や “near” 以外にもたくさんあるので、例文ととも紹介していきますね。
next to
“next to” は「直接隣り合っている」イメージを含みます。2つのものが隣同士にあるという、具体的な位置関係を示す表現です。
間に何も挟まず、対象物同士が極めて近くにあることを強調したいときには、“next to” をぜひ使ってみてください。
参考:Cambridge Dictionary
▼例文:The bookstore is next to the coffee shop.
(本屋はコーヒーショップの隣にある。)
beside
「隣にある」という意味で、“next to” とほぼ同様の使い方ができますが、 “beside” の方が、より丁寧で固い表現となります。
重要なのは、“beside”は位置関係が左右に限定されることです。前後の位置関係で「近い」場合には使えず、あくまで横に並んでいる状態を表します。
▼例文:I sat beside my sister during the concert.
(コンサート中、私は姉の横に座っていた。)
close to
“close to” は「非常に近く、密接している」イメージです。物理的な距離の近さを示すとともに、「関係性の近さ」も表すことができます。
▼例文:The grocery store is close to our house.
(その食料品店は、私たちの家に非常に近いです。)
Their families have always been close to each other.
(彼らの家族は、いつも互いに非常に仲が良かったです。)
nearby
“nearby” が表せるのは「距離的な近さ」に限られます。“near” と似ている単語ですが、“near” は距離的・時間的近さしか表せません。
また “nearby” の方が “near” と比べて「若干近い」というイメージです。
▼例文:There are two post offices nearby.(近くに郵便局が2つある。)
例文は「郵便局までの距離」を表しています。「時間的な距離」は表せないものの、「距離的な近さ」を表せる “nearby” ですが、上記の例文を覚えておけば理解でき、シチュエーションごとに使い分けられるはずですよ。
around the corner
少し例外的ですが、“around the corner” という表現は「角を曲がった所に」ある状況を意味します。
直接視界には入りませんが、近くにあることを示す表現です。場所が少し隠れているようなときに使います。
また物理的な近さだけでなく、時間的な近さにも使えるのが特徴です。楽しみにしているイベントの日が近づいているときなども使用できる、便利な表現ですよ。
以下の例文は、いずれも“just” を使って「すぐ」というニュアンスを強めています。
▼例文:The bank is just around the corner.
(銀行は角をまがってすぐそこですよ。)
Christmas is just around the corner!
(クリスマスはもうすぐそこです!)
このように、“by” と “near” 以外にも、「近く」を表す英語表現はたくさんあり、覚えるのが大変ですよね。
ぜひ今回の記事から、表現ごとに1つの例文を選び、音読してみてください。くり返し音読して、文章全体を感覚的に覚えると、自然に使い分けられるようになるのでおすすめですよ。
“by” と “near” の違いに悩む人が知っておきたい質問と回答
“by” と “near” の違いに悩む人は、以下の質問と回答をチェックしてみてください。より理解が深まる情報を確認して、表現をマスターしていきましょう。
“by” と “near” の違いが一目で理解できる例文を教えてください。
“He stood by the door, and she stood near the door.”
(彼はドアのすぐそばに立っていて、彼女はドアの近くに立っていた。)
“by” の場合はドアのすぐ隣と、物理的に近くにいることを示しています。“near” はドアのすぐ隣にいるとは限りませんが、その周辺に立っているイメージです。
“by” が動詞の後に続く場合、どのような意味になりますか?
“by” を後続の動詞と一緒に使うと、手段や方法を表します。例: “He traveled by bike.” (彼はバイクで旅行した。)
“by” と “near” の違いについて理解度チェックテスト
“by” と “near” の違いについて理解できたか、チェックテストに挑戦して確認しましょう!
以下の文章を英訳してください。
① 美術館は私の家の近くにあり、徒歩20分ほどの距離だ。
② 私の犬はフェンスのすぐそばにいる。
③ コーヒーショップは駅のそば、わずか10メートルの距離にある。
解答
① The museum is near my house, about a 20 minute walk.
⇒ 20分も歩く必要がある場合、美術館と家は「隣接するほど近い」とは言えません。
そのため感覚的な近さを示す“near” が適切です。
② My dog is by the fence.
⇒ 視覚的に、フェンスのそばにいると確認できるほど近いため“by” が適切です。
③ The coffee shop is by the train station, just 10 meters away.
⇒数メートル程度の距離で、視覚的に近さが分かる状況では“by” が適切です。
違いまとめ:byは物理的に「すぐそば」 nearは主観的に「近く」
あらためて、“by” と “near” の違いをまとめると、“by” は客観的に「すぐそば」、“near” は主観的に「距離・時間が近い」という意味を表します。
近さレベル | イメージ | 「近さ」のイメージ | |
---|---|---|---|
by | すぐそば | 客観的 | ・物理的に「すぐそば」である ・視覚的に「接近・隣接」している ・誰が見ても近くにあることが明確に分かる |
near | より広い周辺 | 主観的 | ・話し手の主観による「近く」 ・より広い範囲の「周辺」 ・距離の近さに加え、時間的な近さも表す |
また、“by” と “near” 以外にも「近く」を表す単語は、“next to” や“beside” など数多くありました。
- next to…直接隣り合っている
- beside…隣にある
- close to…非常に近く、密接している
- nearby…距離が若干近い
- around the corner…角を曲がった所にすぐ
それぞれの意味を理解できるまで、こちらから詳しく確認してみてくださいね。
「すぐそば」「近く」を表す表現は数多くあり、英会話の最中に、混乱の原因になりやすいものです。迷ったときは今回の記事を参照し、ポイントをおさえて1つずつマスターしていきましょう!
自分で各表現を使った英作文を作ってみるのも、アウトプットしながら理解を深められるためおすすめですよ。