“apply to” と “apply for” はいずれも「応募する」「申し込む」という意味を持ちます。
しかし、2つの単語は似ているようでいて、前置詞が “to” か “for” かによって、用法が変わってきます。
実際の英会話で、こんな風に迷ったことはありませんか?
転職活動で「金融機関の営業職に応募しました」と言いたい。
この場合は “apply to” と “apply for” どっちが適切な表現なんだっけ……?
分からないという人も、今回の記事を読めば、“apply to” と “apply for” の意味・用法の違いを明確に理解でき、今後迷うことがなくなります!
結論:apply toの後ろには「場所」apply forの後ろには「欲しいもの(ポジションや資格など)」
apply toの後ろには「学校や会社、塾」といった場所が来ます。toは対象の場所へと向かっていくイメージです。
apply forの後ろには「地位・ポジションや資格、パスポート」など、申し込んで手に入れたいものが続きます。forは対象物を求めているイメージです。
以下の表の例文を、toとforの後ろに続く言葉(目的語)に注目しながら読んでみてください。
目的語 | 目的語の具体例 | 例文 | |
---|---|---|---|
apply to | 場所 | 大学名・企業名など | She wants to apply to Harvard University. (彼女はハーバード大学に出願したいと思っている。) |
apply for | 目的 | ポジション・役職 その他手に入れたいもの | He decided to apply for the manager position. (彼はマネージャーの職に応募することに決めた。) She plans to apply for a new passport. (彼女は新しいパスポートを申請するつもりです。) |
toの後には「ハーバード大学」、forの後には「マネージャー職」「パスポート」が来ていますね。
前者は教育機関、後者は職位・書類と、性質が異なることが分かります。
つまり「大学・企業などの機関に直接申し込む」場合にはto、「役職や書類など欲しいものの取得に向けて申し込む」場合はforを使うのです。
「金融機関の営業職に応募しました」はポジションが目的語のため “apply for” が適切な表現
では、冒頭の問題で出した例文「金融機関の営業職に応募しました」は、applyの次にtoとforのどちらが来るでしょうか。
「to+機関・場所」「for+欲しいもの」というルールに当てはめて考えてみてください。
話者は「営業職というポジション」を欲しがっているので、目的語は「欲しいもの」ですから、“apply for” が適していますね。
▼正しい英文:I applied for the sales position at that financial institution.
このようにポジション・役職など手に入れたいものが直接続く場合はapply forが適しているんです。
以下より、それぞれ例文を挙げながら、“apply to” と “apply for” の違いについてさらに詳しく解説していきます。
“apply to” の後ろには大学や会社の名前など出願先の「場所」が来る
「apply to + 名詞」で「(場所:大学名・企業名など)に応募する・出願する」という意味になります。
“to” の後に続いて、「何に応募するのか」を表現する目的語となる代表的な名詞は以下です。
- 大学・学部・学科名
- 企業名
- インターンシッププログラム
- 学校や講座のコース
- 特定のプロジェクトやプログラム 等
I applied to Tokyo University last year.
(私は昨年、東京大学に志願しました。)
He wants to apply to the business school at Harvard University.
(彼はハーバード大学のビジネススクールに応募したいと思っています。)
They applied to the prestigious internship program at ABC Corporation.
(彼らはABC社の名門インターンシッププログラムに応募しました。)
She wants to apply to XYZ Company after graduation.
(彼女は卒業後、XYZ社に応募したいと思っています。)
“apply to” は、学校・会社などの具体的な場所や、プログラムを目的語にとることが分かりましたね。このように自分が入りたい場所・建物・教室などがイメージできる場合は、“apply to” を使っていきましょう。
“apply for” の後ろにはポジションや資格など「手に入れたいものの名前」が来る
「apply for + 名詞」で「(目的・手に入れたいもの)に応募する・申し込む」という意味になります。
“for” の後に続いて、「手に入れたいもの」を表現する目的語となる代表的な名詞は以下です。
- 仕事・ポジション・役職
- パスポート・ビザ
- クレジットカード
- 会員資格
- 認可・特許
- 銀行口座・ローン・助成金 等
She applied for a job at the local bookstore.
(彼女は地元の本屋で仕事に応募しました。)
They are planning to apply for a visa to visit the United States.
(彼らはアメリカを訪れるためにビザを申請する予定です。)
We applied for permission to host a community event in the park.
(私たちは公園でコミュニティイベントを開催する許可を申請しました。)
The team applied for a grant to fund their research project.
(チームは研究プロジェクトに資金提供するため助成金に応募しました。)
例文を見ると、“apply for” は、手に入れたいものを具体的に明確化し、目的語にとっていますね。
このようにビザや助成金、役職など、実際に自分が直接「手に入れたいもの」が続く場合、“apply for” が適しているのです。
参考: “apply” の「応募する」以外の用法4つを紹介
実は “apply” は「応募する」以外にも、様々な意味・用法があるので、ここで押さえてしまいましょう。
適用する:apply A to B
“apply A to B”=「適用する」の用法では “apply” の直後に「(A)適用されるルール・規則など」をとります。適用される対象物は人や物です。
参考:Cambridge Dictionary
ルールや規則の後には前置詞 “to” が来て、目的語として「(B)適用される対象」が続きます。
We will apply new rules to club activities starting this year.
(今年から、部活動に新しいルールが適用されます。)
利用する:apply A for B
“apply A for B” =「利用する」の用法では “apply” の直後に「(A)利用・活用するもの」をとります。
その後に前置詞 “for” が来て、その目的語には「(B)利用する対象」が続きます。
You can apply these skills for various tasks.
(これらのスキルはさまざまな仕事に利用できます。)
専念する・努力する:apply oneself
“apply oneself” で「専念する・専心する」という意味です。
If you apply yourself, your English skills will surely improve.
(もし一生懸命努力すれば、必ずあなたの英語力は伸びていきます。)
塗る・付ける:apply A to/on B
“apply A to/on B”=「塗る・付ける」の用法では、”apply” の後に「(A)塗る・付けるもの」が来ます。
その後に前置詞 “to” もしくは “on” が続き、目的語には「(B)塗る対象」が位置します。
My skin became dry and irritated, so I applied ointment to the affected area.
(乾燥して肌が荒れたので、患部に塗り薬を塗りました。)
“apply to” と “apply for” の違いについてよくある質問と回答
“apply to” と “apply for” の違いについて、より理解が深まる質問と回答を紹介します。内容をチェックして、いずれの表現も正しく使い分けられるようになりましょう!
プログラムに応募する場合、“apply to” と“apply for” をどう使い分けますか?
プログラムを提供している機関に申し込むなら“apply to the institution” 、プログラム自体に申し込むなら“apply for the program” を使います。
“apply to” と “apply for” を同時に使うことはできますか?
できます。
例文:“I am going to apply to several graduate schools to apply for their MBA programs.”
(MBAプログラムに出願するために、いくつかの大学院に申し込むつもりです。)
“apply to” の後には場所=“several graduate schools”(いくつかの大学院)、“apply for” の後には受講したいもの=“MBA programs”(MBAプログラム)が来ています。
“apply to” と “apply for” の違いについて理解度チェックテスト
“apply to” と “apply for” の違いについて理解できたか、チェックテストに挑戦して、実際に確認してみましょう。
以下の文章を英訳してください。
① 彼女は学費を工面するため、奨学金に申し込んだ。
② 私は編集者になるため、出版社に応募した。
解答
① She applied for a scholarship to fund her studies.
⇒ 奨学金のように「手に入れたいもの」が続く場合は“apply for” が適切
② I applied to the publishing company to be an editor.
⇒ 出版社のように「場所」が続く場合は“apply to” が適切
“apply to” と “apply for” の違いまとめ!
toの後には場所・forの後には目的
あらためて、“apply to” と “apply for” の違いをまとめると、以下の通りです。
目的語 | 目的語の具体例 | |
---|---|---|
apply to | 場所 | 大学名・企業名など |
apply for | 目的 | ポジション・役職 |
その他手に入れたいもの |
“to”は対象物に向かって進んでいくのに対し、“for”は対象物を手に入れようと求めているイメージです。
また“apply” には、他に以下のような用例もあります。
- 適用する:apply A to B
- 利用する:apply A for B
- 専念する・努力する:apply oneself
- 塗る・付ける:apply A to/on B
まずは最もよく使う “apply to” と “apply for” の違いをおさえてから、その他の使い方も理解していきましょう。
今回紹介した例文を音読して、感覚的に使い方を覚え、理解していくのもおすすめですよ。記事を参考にして、“apply” を正しく使いこなせるようになってくださいね!