【連載】『あの人の学生時代。』#16:多部未華子「復学の決断が今に活きる」
著名人の方々に大学在学中のエピソードを伺うとともに、今の現役大学生に熱いエールを送ってもらおうという本連載。今回のゲストは、絶賛放送中のドラマ『先に生まれただけの僕』で、櫻井翔さんの恋人・松原聡子役を演じている多部未華子さん。学生時代からずっと仕事をしてきた多部さんは、いったいどんな大学生だったのでしょうか。
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退学を思いとどまったのは友達の一言のおかげ
――東京女子大学を卒業している多部さん。当時なぜこの大学・学部を選んだのですか?
高校時代に学びたいことがあって、最初、それを大学で学べるのは心理学部ではないかと思い、心理学部について調べていきました。その結果、「学びたかったことは心理学部ではなかった」ということに気がついて……。
――どのようなことを学びたかったのですか?
仕事でたくさんの大人の人と接していて、「なんでこの人はこういう考え方をするんだろう」とか、人と会話するときに生まれる心理とか、感情の変化に10代の頃からずっと興味を持っていました。それで「心理学を学びたい」と思い心理学部を調べてみると、犯罪心理や発達心理など私が学びたい内容ではなくて。いろいろ調べていくうちに、東京女子大学に現代文化学部コミュニケーション学科というのがあって、そこだ!と思い決めました。今は学部の名前が変わってしまったんですけど。
――では、行きたい大学というより、学びたいことがまずあって、それを学べる大学を探したんですね。
そうです。それをメインに考えました。あとは、校舎に行ったときの雰囲気や、通学がしやすいといった利便性もありました。
――実際に入学してみてお仕事との両立は大変だったんじゃないですか?
大変でした。もう本当に大変でした(しみじみ)。
――休学や留年をされながらも6年で卒業されたんですよね。
ちょうど大学に対するモチベーションが下がってしまって、行きたくないって思っていたときに朝ドラ(NHK連続テレビ小説『つばさ』)が決まり、撮影のために大学は休学しました。そこから10カ月間、撮影でずっと忙しくしていたので、本当にもうこのままやめるんだろうなと思っていました。
休学している間に同じ学年の友達がみんな卒業してしまい、食堂に行っても写真を撮られたりで、「もう守ってくれる友達もいないし、ひとりで食堂にごはんを食べに行ったりしたら周りからさみしい人だと思われるし」と思い、以前よりもっとやめたい気持ちが強くなりました。だから、復学届をもらいに行ったときに、実は退学届も一緒にもらっていたんです。でもシラバス(授業計画)も同時にもらって、それを見ると「やっぱり勉強したいこともあるなぁ」と思い悩みました。
――そこで退学を思いとどまって卒業できた一番の理由はなんだったんですか?
母親に相談したときは「やめてもいいんじゃない?」と言ってくれましたが、父親はやめることに反対していました。そんな中、とても仲のいい友達に「大学をやめようと思ってるんだよね」と相談をしたら、「未華ちゃんの根性ってそんなもんだったっけ?」というようなことを言われて。それで「もう1回考えてみる!」ということに。結局、退学届は書かずに、シラバスを見て履修登録をして、きちんと大学に通うことを決めました。そこから考えを変えて、隣に座っている人や授業で出会った人に積極的に自分から話しかけるようにしました。
――また食堂に友達と一緒に行けるように??
そうです(笑)! 結果的に食堂にはその後一度も行かなかったんですけど、見られることを逆手にとって、「見られたからこっちから話しかけよう!」と、ゼミで一緒になった子にも自分から話しかけて。だから年下のゼミの子たちとも普通に話せるようになりました。