世界で最も有名な奨学金制度! 「フルブライト奨学金」を利用するアメリカ人留学生をインタビュー
フルブライトの奨学金制度は恐らく世界で最も有名な奨学制度の一つでしょう。日本でもこれまでに6,400人以上が同制度を利用してアメリカに留学しています。アメリカからも多くの奨学生が訪日しているのです。今回は、フルブライトの支援を受けたアメリカからの奨学生(フルブライターと呼びます)に取材しました。
美術史の研究者であるCarrie Cushman(キャリー・クシュマン)さんにお話を伺いました。クシュマンさんは上智大学の客員研究員です。
――クシュマンさんのキャリアを教えてください。
Ms. Cushman: I am 30 years old. I graduated with a degree in Art History from Vanderbilt University in Nashville, Tennessee in 2009. I decided that I wanted to work in the art world, either as a teacher or as a curator in a museum. I became interested in Japanese art as an undergraduate, and decided to pursue it as my speciality. To do this, I spent two years studying the Japanese language before entering graduate school at Columbia University in New York City. I am currently in my sixth year in the PhD program for Art History at Columbia University. I will finish my dissertation next year, at which point I hope to become a professor.
クシュマンさん: 私は30歳です。テネシー州ナッシュビルにあるヴァンダービルト大学で美術史の学位を取得し、2009年に卒業しました。教師や美術館の学芸員といった、アートの世界で働きたいという思いを抱きました。この思いが学部生のときに日本美術への興味とつながり、日本美術史を研究することにしました。ニューヨーク市にあるコロンビア大学大学院に入学する前、日本語の勉強を2年間しました。私は、同大学美術史の博士課程6年目です。来年には論文を完成させ、この分野の教授になりたいと思っています。
――なぜ日本で研究しようと思ったのですか?
Ms. Cushman: I became interested in Japanese Art History after I read an article about the photography of Ise Shrine in the 1950s. The photographs taken by Watanabe Yoshio are very modern in style, but they are photographs of one of the oldest styles of architecture in Japan. I found this paradox compelling and wanted to learn more about this country and its history that I knew very little about.
クシュマンさん 私が日本美術史に興味を持ったきっかけは、1950年代の伊勢神宮の写真に関する記事を読んだことです。掲載されてあった写真は渡辺義雄さんのもので、日本の最も古い建築物をとてもモダンなスタイルで撮っていらっしゃいました。私は、この一枚の写真に古いものと新しいものが共存する矛盾に魅せられました。そして、この国とその歴史について深く知りたいと思いました。
――日本ではどのような研究を行っていますか?
Ms. Cushman: My dissertation focuses on the photography of Miyamoto Ryoji. Miyamoto-san is a contemporary photographer, whose work deals with a range of important social issues, such as urban redevelopment, homelessness, and natural disasters. He has been referred to as the “ruins photographer", and I am also interested in images of ruins in postwar and contemporary Japan. My research consists of interviews with Miyamoto-san and other artists and photographers working on ruins. I also spend a lot of time at the National Diet Library and the library at the Tokyo Photographic Art Museum.
クシュマンさん: 私の論文は、現代写真家の宮本隆司さんの写真に着目しています。彼の作品は、重要な社会問題、例えば都市の再開発、ホームレスや自然災害といったものを題材としています。彼は「廃虚の写真家」として知られており、私も戦後から現在にかけて日本の「廃虚」を写した作品に興味を抱いています。私の研究は、宮本さんをはじめ、廃虚を写す他の写真家やアーティストたちへのインタビューからなっています。国立国会図書館や東京都写真美術館で、多くの時間を費やしています。