標準語では伝えられない想いがここにある!北海道民が語る、標準語で説明できない方言【学生記者】
こんにちは、北星学園大学短期大学部のなるです。
突然ですが、みなさんは普段自分の言いたいことがうまく周囲に伝わらなくて歯がゆい思いをした経験はありませんか。実は私を初めとして、道民はいつだって想いを伝えられなくて歯がゆい思いをしています。それはなぜか? 標準語では説明できない方言があるから、言葉が見つからないのです地方出身の大学生のみなさんなら、上京して初めてそんな歯がゆい体験をしたという人も多いのではないでしょうか。「標準語で伝えられない想いがここにある!」……ということで、今回は道民である私が「道民が標準語で説明できない方言」についてご紹介します。
1. 北海道弁のラスボス「~ささる、~さる」
「このペンまだ書かさるわ~」「このペン書かさらないわ~」
あなたはこの言葉の意味がわかりますか? わかってしまったあなたは道民、わからなかったあなたはきっと道外の方でしょう。北海道弁で最も説明が難しいであろうこの言葉「~ささる、~さる」。このことから『北海道弁のラスボス』と異名を持つとか持たないとか……。この「~ささる、~さるを標準語で説明できない問題」は北海道あるあるすぎて、道民同士で盛り上がること間違いなしの会話ネタです。
2.『~ささる、~さる』の複雑な意味合い
『~ささる、~さる』 意味:できる、~してしまった
と一応意味の説明はできるのですが、実際は状況によってもっと複雑な感情が含まれてきます。
例えば、
A:「このペンまだ書かさるわ~」
この一言には「このペンはまだ書ける」という意味のほかに、「私は、このペンはインクが切れてしまっていると思っていたが、まだインクがあり書くことができるではないか」という期待と驚きが込められています。 「このペンまだ書けるわ~」とは、インクがあるか否かの期待の度合いが全然違うのです。「書かさる」には書けないと思っていたが書くことができたという驚きとギャップがあります。
反対に、
A:「このペン書かさらないわ~」
この一言には「このペンはもう書けない」という意味のほかに、「私は、このペンはインクがあると思っていたが、インクが切れていた」といった意味も込められています。「このペン書けないわ~」とは、先ほどの説明と同様、インクがあるか否かの期待の度合いが違います。「書かさらない」にはインクがあると思っていたのになかったという裏切られた感と虚しさがあります。