ステアークライマー! 京都駅の大階段を猛スピードで駆け上がる大学生って?
みなさんは、JR京都駅にある全171段の大階段を駆け上がるイベントがあるのをご存じでしょうか。これは『JR京都駅ビル「大階段駈け上がり大会」』と呼ばれるもので、1998年(平成10年)から毎年2月に行われています。今回は、この大会で4連覇中のチームに所属する、関西学院大学の大学生・掛川真さんに、この大会に参加したきっかけやその魅力を聞いてみました。
■きっかけはチームリーダーに誘われたこと!
掛川真さんは現在関西学院大学の2年生。高校時代はインターハイでのリレー競技で8位になるなど、輝かしい成績を残されており、現在も陸上部に所属。100メートルと200メートルを舞台に活躍されています。そんな掛川さんですが、どういった経緯でこの大会に出るようになったのでしょうか?
――この大会に出るきっかけは何だったのですか?
掛川さん 高校3年生のときに、現在所属している「クライマーズドリーム」のリーダーである吉田光一郎さんに誘われたことがきっかけでした。
――「クライマーズドリーム」はこの大会に参加するためのチームですか?
掛川さん はい。「クライマーズドリーム」は現在4連覇中で、私自身は2連覇中です。
――4連覇中というのはものすごいですね……このイベントの魅力はどんなことでしょうか?
掛川さん お祭り感覚で競い合えるのが一番の魅力だと思います。普段はかなり緊張した世界で競技をしているので、その分楽しめています。また、この大会は4人1組のチームで出場し、4人の合計タイムと個人タイムを競うものです。4人別々に計測したタイムで勝負が決するので、走っているチームメイトを応援したりして、まるでリレーのような感覚で盛り上がれるのも魅力ですね。
※大会ルール(一般部門)
大階段を各チーム1人ずつ駆け上がり、4人の合計タイム・個人タイムを競う
第1走者は45歳以上、第2走者は18歳以上の女性、第3・4走者は18歳以上
■階段駆け上がりはアスリートでも相当きつい……
――この大会について、どんな点が「大変だ」と思いますか?
掛川さん 大会自体は先ほども述べたようにお祭り気分で楽しめるのですが、やはり練習がきついですね。普段も実際に階段を上って練習し、大会前にはハードな朝練も行います。この朝練が特にしんどいですね。
――ただ階段を上るだけじゃないのか、と思う人もいると思いますが、やはり大階段を駆け上がるのはきついものなのでしょうか?
掛川さん 実際に京都駅の大階段を見れば分かると思いますが、この階段は全部で171段もあり、総高低差は35メートル(11階建てビルに相当)です。これを一気に駆け上がるのは相当きついですよ。
――例えば、何も練習をしていないような素人だとかなり苦戦しますか?
掛川さん 正直、陸上などをやっているアスリートでもきついくらいなので、素人だと最後まで駆け上がるのは難しいのではないでしょうか。
――ちなみに、171段ある階段を速い人はどれくらいのタイムで駆け上がるのでしょうか?
掛川さん 最速記録は20秒03です。
――171段を20秒とは人間業ではないですね……
掛川さん 速い人は皆さん22秒を切るタイムで駆け上がります。私は21秒05でした。女性でも速い人がいて、同じ「クライマーズドリーム」のメンバーの女性の方は28秒台で、個人の女性部門では4連覇を果たしています。
■陸上とは違う技術を要する階段駆け上がり
――階段駆け上がりと、普段やっていらっしゃる陸上競技と比べると、どういった点が違いますか?
掛川さん 一番違うと感じたのが足の接地についてです。陸上は爪先から地面に接地していくのですが、この階段駆け上がりではかかとから接地します。というのも、陸上と同じように爪先から接地すると、加速が鈍りうまく駆け上がることができないのです。
――陸上とは違う独特の技術が必要になるのですね。
掛川さん そういった階段駆け上がりに関する技術や練習から、陸上の参考になることを学ぶことも多くあります。これは参加して良かったと思う点です。また、陸上の技術には関係ありませんが、この大会には陸上関係者も多く参加しており、そういった方々と交流を持てたことは大きな経験になりました。
――2016年2月には19回大会が開催される予定ですが、やはり参加されますか?
掛川さん はい、出場するつもりです。2016年大会はチームの5連覇が懸かっており、5連覇すると殿堂入りを果たすことができます。殿堂入りするとチームは解散になりますが、有終の美を飾るためにも頑張りたいです。
――チームが解散となった後はいかがされますか?
掛川さん もちろん続けて参加したいですね。大学を卒業してからも参加したいと思っています。
――これからこの大会に参加しようと思っている人に一言お願いします。
掛川さん 駆け上がるのも難しいのですが、意外と難しいのがメンバー集めです。ルールでは4人のメンバーは全員が18歳以上で、そのうち、第一走者は45歳以上、第2走者は女性と決められています。このうち「45歳以上1人」「女性1人」がなかなか見つからず苦労するチームが多いので、まずはそこを頑張ってクリアしてもらいたいですね。
――19回大会での活躍も期待しています!
「階段駆け上がり」という、大学の陸上競技とは違うフィールドでの活動ですが、掛川さんはそこからさまざまなものを学んだり、得たりしているようです。こうした「学校生活」とは別の活動をすることは大学生活も充実しますし、大事なことだといえます。みなさんも、こうした魅力的な学外活動を探してみるといいかもしれませんね。
※2月20日に行われた大会で見事にチーム5連覇を果たされました!
「クライマーズドリーム」の激闘の模様はコチラ!
⇒https://youtu.be/9ja4gQxd9Qc
取材協力:関西学院大学
写真提供:クライマーズドリーム
(中田ボンベ@dcp)