絶対に読んでほしい! 未読ならガチでもったいない面白い漫画ランキング
漫画の人気が出ると、アニメ化されたり映画化されたりしますよね。面白いのになんでそういう話がこないのかなと思う作品もあります。さまざまなジャンルの中から、本当に面白かったから広めたい10作品をご紹介します。
■第10位:【うさぎドロップ】宇仁田ゆみ
祖父の葬儀で出会った見かけない女の子は、実は祖父の隠し子だった。りんという名の6歳の少女のその後を巡って、母親をはじめとする親族たちの身勝手な口論を目の前にして憤った大吉(ダイキチ)は、30代独身彼女無しの身でありながら、りんを引き取ることを決断。りんは若かりし頃の祖父にそっくりなダイキチによく懐き、すぐに2人は仲の良い親子のような関係を築く。まだ就学前の子どもと初めて暮らすダイキチは、保育園探しや、早退できる部署への異動、園でのおつきあいなどさまざまな困難に見舞われますが、ひとつひとつを地道にクリアしていく。
りんは6歳とは思えないほどのしっかり者。朝からおにぎりを作ったりとダイキチよりよほど生活がちゃんとしています。物語が進んでいくと、保育園で出会ったコウキはりんを好きになり、ダイキチはコウキの母でシングルマザーの二谷さんに恋しますが、あくまで子育てメインの作品。自然体でりんを守るダイキチと、少しずつ成長していくりん、血の繋がらない2人の心温まるエピソードで癒されます。
■第9位:【いちご100%】河下水希
あらすじ:平凡な男子中学生の真中淳平は、ある日校舎の屋上でいちごパンツの美少女に出会います。逃げてしまった彼女のあとに残されたのは「東条綾」と名前の入ったノートだけ。そのノートには真中の映画制作の仕事がしたいという思いを掻き立てるような壮大なストーリーが書かれていました。しかしメガネ姿に三つ編みの地味な東条があの美少女とは思えません。そこで代わりに見つけた美少女、西野つかさに告白すると、まさかのOKの返事をもらいます。高校に入ったら北大路さつきという名前のナイスバディな少女に積極的に言い寄られ、高1の冬には昔引っ越して言った幼馴染の南戸唯まで現れて、真中は美少女たちの間であっちこっちと大騒ぎ。王道中の王道を行くラブストーリーです。
王道ですから、もちろん東条綾がいちごパンツの美少女だったりするんですけど、他の話とひと味違うなと思うのはヒロインの比重が同じというところです。普通、最後にくっつくんだろうヒロインが想像つくものなんですが、この作品の場合は特に2大ヒロインがそれぞれ魅力的で、譲らない存在感があります。後半のせつない恋愛展開はラブコメというジャンルに入れていいのか迷うほどシリアスです!
■第8位:【エデンの檻】山田恵庸
楽しい修学旅行の帰りの飛行機が墜落! 外は見たこともないジャングルのような世界。取り残された中学生たちはパニックに陥り、やがて殺人が起こってしまう。墜落の衝撃で放り出された主人公の仙石アキラは、見たこともない巨大な鳥のような生物に襲われる。途中で出会った頭脳明晰な真理谷四朗によれば、そこで遭遇する動物はすでに絶滅したといわれる生き物ばかりだった。アキラは飛行機に取り残された幼馴染の赤神りおんを救い出し、なんとか生きていく術を手に入れる。同級生との再会と謎に満ちた島からの脱出を目的に旅立ち、やがて周りはアキラのリーダーシップに信頼を置くようになっていった。しかし集団が形成されれば反発も起きる、異常な世界での複雑な人間関係が次第に露わになっていく……。
現実世界ではダメな生徒だったアキラが、自分の腕一本で生きていかなければならない厳しい世界でリーダーとしての力を発揮していくのが見ていて痛快です。普通に生きていれば決して交わることのなかった男との間に芽生えた友情が胸を熱くします。また、ヒロインのりおんをはじめとする女生徒たちの肉体的な成熟っぷりは少年誌ならではですね。そして絶滅生物たちに追いつめられる恐怖と迫力あるバトルシーンは息もつけないほど。絶滅動物好きな人はぜひ読んでみてください。
■第7位:【聖☆おにいさん】中村光
2大聖人、ブッダとキリストがバカンスを過ごすのに選んだのは東京都立川市。お風呂もついてない安アパートに住み、Tシャツとジーパン姿で市民に紛れて暮らしていた。Tシャツにプリントされている文言は、ブッダが密かにシルクスクリーンで入れたもの。苦行が趣味のブッダは節約家で、浪費家のキリストがアホらしい買物をしてくると後光を出して怒りを露わにする。他にも、横になって昼寝しているブッダの周りには動物が寄ってくる、キリストが自分の身体にある傷の説明をすると、自然とヤクザの家の息子みたいになってしまう、「お客様は神様です」と言われて正体がばれたとファミレスを後にするなど、聖人と現代世界をうまく融合させて笑いを取る巧妙なストーリーが面白い作品。
2012年に映画化されるほど人気を博したギャグマンガ。ブッダやキリストをはじめとした登場人物たちのキャラクターが立っています。手塚ブッダを読破したことがあって聖書も少しかじったことがある、くらいの人でも分かる宗教ネタが盛りだくさんです。第13回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。仏教やキリスト教に詳しい人ならきっともっと笑えるだろう細かい芸が仕込まれています。そもそもブッダやキリストが下界で普通に暮らしているのがおかしいので、宗教関係は何も知らないという人でも笑えます。
■第6位:【デビルズライン】花田陵
安斎結貴は鬼と人間との間に生まれたハーフ。警察として吸血鬼犯罪を扱っている。ヒロインの平つかさが吸血鬼だった同級生に襲われたときに助けてから、安斎はつかさに惹かれていく。恋愛に奥手なつかさも安斎に恋するように。血を見ると理性を失い、愛しい人を殺してしまう可能性もある吸血鬼の安斎。ダメだと分かっていても、何ひとつ怖がることなく受け入れてくれるつかさから距離を置くことができない。つかさにあるのは純粋に安斎を想う気持ちだけ。安斎が吸血鬼であることで悩み苦しんでいることを知って、安斎のために何度も危険を冒してしまう。
吸血鬼と人間の恋物語というのはわりとよくある切ない系のテーマです。それの超現代版といった感じ。初連載のようで、たまに絵が崩れます。細かいところが気になる人は所々で絵の不安定さに困惑するかもしれません。しかしそれを補うほどに、飛び回るアクションシーンと主人公たちが魅力的。安斎とつかさの恋の進展と共に、吸血鬼に絡んだ大きな事件が勃発します。人間の世界で生きる吸血鬼たちを見ているうちに安斎の心にも少しずつ変化が訪れ、つかさも事件の中心へと巻き込まれていきます。とにかく続きが気になる作品!
■第5位:【溺れるナイフ】ジョージ朝倉
美しい容姿を持ち、モデルとして華々しい活躍をしていた望月夏芽。となる事情で田舎へ引っ越すことに。退屈な生活を持て余していると、海で輝くような存在感を持つ少年に出会った。少年の名前は長谷川航一郎、通称コウちゃん。不思議な力でその地域一帯を統べるという名家に生まれたコウちゃんは夏芽には「神さん」のような全能感で溢れているように見え、一気に心を奪われる。2人の距離は近づいていきますが、火付け祭りの晩に残酷な事件が起こり、それをキッカケにして関係はぎこちないものになってしまいます。世間の誹謗中傷と戦い、フラッシュバックに怯え、恋に破れて、傷つきながらも再び光を取り戻そうとして成長していく少女の物語。
衝撃的な少女マンガ。恋が叶うまでのトキメキやライバルへの嫉妬だとか、大筋は他の恋愛モノと同じはずなのですが、主人公・夏芽の心情の描き方が見事すぎます。夏芽の表情が豊かで、今どんな気持ちでいるのか、気持ちがどう動いたのかが自分のことのように感じられます。逆にコウちゃんはクールで謎めいているので表情豊かではないのですが、繊細な表情の変化と「神さん」のようなダイナミックな動きに目が釘付けになります。ベタな少女マンガが苦手な人にもぜひ読んでほしい作品。
■第4位:【亜人】桜井画門
人間に似た外見をしているが、何をしても死なない生き物「亜人」が存在する世界。捕えられた亜人は非人道的な人体実験を繰り返され、何度も死に至る痛みを味わわせられます。主人公、永井圭は亜人が人として扱われないことに違和感を感じてはいますが、わざわざ人からはみ出そうとはしません。幼い頃仲の良かった海斗に手を振られても、同級生の手前、無視してしまいます。そのとき、トラック事故にあった圭は飛び散った身体を再生させて生き返り、同級生たちの目の前で自分が亜人であることに気づきます。やがて賞金目当てに追い回されるようになり、圭が唯一助けを求めたのが海斗でした。海斗はすぐに駆けつけ、圭をバイクに乗せて町を出ようとします。
主人公の圭が不思議なキャラクターです。海斗がバイク事故で死にそうになってるときには、海斗を助けようと必死になりますが、その後は足手まといになるからとアッサリ捨てていきます。たびたびそういった人間としてどこか欠けているような雰囲気を感じさせつつ、なぜか人を救おうとしたりと意外性のある行動が先の展開を読ませません。圭の前に現れる黒い幽霊はなんなのか、引き込まれるストーリーです。
■第3位:【幽麗塔】乃木坂太郎
仕事もなく毎日をダラダラと読書に費やす天野太一は、町で元同級生に見栄を張って引けなくなっていたところを沢村鉄雄(テツオ)に助けられる。アパートを火事で失った天野を自分の家に置いてあげたり、仕事を紹介してくれようとしたり、何くれとなく天野に親切にしてくれるテツオ。美しいテツオに親友と言われて舞い上がる天野でしたが、全ては幽麗塔の宝を手に入れようとするテツオの思惑だった……! 幽麗塔には、老婆が養女により時計の針に磔にされて殺されるという忌まわしい過去が。殺人鬼・死番虫の正体は、女性の身体を持つ美しい青年・テツオのことなのか? 再び幽麗塔を巡って殺人が始まる。
ドラマにもなった医龍と同じ作者の作品です。最初に時計の針で身体を折り曲げられて殺された藤宮たつの恐ろしい姿から始まるんですが、それが怖い。謎の美青年テツオは物語序盤で実は女性の身体を持っていることが明らかになります。天野はしばらく気づかずに、たまに見え隠れするテツオの色気に戸惑うところも面白いです。何より読んだら止まらない謎に満ちたストーリーが魅力。
■第2位:【リアル】井上雄彦
バイク事故でその夜ナンパした女の子の足を奪ってしまった野宮朋美。有望な陸上選手として注目されていたが、骨肉種により足を切断することになった戸川清春。他人をランク付けし見下して生きてきたが、自ら引き起こした事故で半身不随になった高橋久信。この3人の若者を軸に展開していくストーリー。野宮は下半身の動かなくなった夏美に正面から向き合うことで高校を辞めた自分の人生にも改めて向き合おうとする。清春は安積に支えられつつ、歩けなくなった自分を受け入れていきます。高橋は高校に行けなくなった途端に失われていく自分の価値に絶望。そしてやがて3人は車椅子バスケを通じて繋がっていく。
深くて心が痛くなる話です。もし急に歩けなくなったらどうだろう? 想像することはあっても実際の困難さまで思い至らないものですよね。心情的なものや物理的なもの、さまざまな障害が大きく自分の前に立ちふさがるわけで。まだ少年と言っていい年代の彼らが本物の苦しみに否応なく向き合わなければならないその姿に胸が詰まります。でもストーリーが重いものだけで構成されているわけじゃなくて、笑えたり、ほっとしたり、泣けたりするエピソードで心温まるんです。何より、彼らに新しくできた目標と輝かしい未来がみどころの作品。
■第1位:【MONSTER】浦沢直樹
舞台は東西統一前のドイツのデュッセルドルフにある総合病院。そこで働く天才的な腕を持つ日本人の脳外科医、天馬賢三(Dr.テンマ)は、ある夜、院長命令に背いて銃で頭を撃ち抜かれた幼い少年を助ける。それが全ての始まりだった。テンマを冷遇に処した強欲な院長は毒殺され、テンマは外科部長へと返り咲くが、その殺人はテンマが助けた少年、ヨハンの仕業だった。ヨハンは双子の妹、アンナと共に姿を消すが、数年後に再び美しい青年へと成長した姿でテンマの前に現れる。そして次に起こった殺人により、テンマは警察に目をつけられることに。一方、ヨハンの妹・アンナは記憶を失い、ニナ・フォルトナーの名前で養父母と暮らしていた。優しい養父母を殺され、ヨハンからのメッセージを見たニナ。テンマとニナは再会しますが、お互い別々にヨハンの居所を突き止めようとする。
ヨハンの中には幼い頃の異常な経験のせいで芽生えた「かいぶつ」が住んでいます。その「かいぶつ」が全てを支配し、破滅させようとするのです。ヨハンは美しく、ひと際優れた頭脳の持ち主で、さらにカリスマ性もありました。悲しいかいぶつなんですけど、ついヨハンをかっこいいと思ってしまいますね。テンマの警察に追われながらもヨハンを殺して全てに決着をつけようとする男らしさにも感動。最後まで展開が読めないサスペンスです。
気になる作品はありましたか? どれもこれも読んで損はないラインナップだと思います。連載中の作品はジリジリと続刊を待つしかないのですが、完結している作品も数点ありますので、大人買いして一気に読むことを強くおすすめします!