これを見ておけば通ぶれる! というちょっとコアなおすすめ映画ランキングTop10
寒い季節は家の中で映画を楽しむ人も多くなってくる季節です。その中には冬の長い休みでは有名どころの映画は見飽きてしまったなんて方もいるでしょう。そんな方におすすめな映画通も評価している、少しコアな映画をランキングでまとめました。
■第10位 コラテラル
この作品はタクシードライバーで、お金を稼いでいつかは成功してやろうと考えている男が主人公です。ある日主人公はお金持ちそうなお客とある時間までに目的地につけるかどうか賭けをし、勝ちます。連絡先を交換し、いい縁に出会えたと思っていたら、今度はビジネスマン風のお客から大金を詰まれてタクシーの貸し切りをお願いされ引き受けることになります。しかしそのビジネスマン風の男は殺し屋で主人公を殺しの足として使おうとしていたのです。逃げようにも、逆らったら殺すと言われどうにもならなくなり、しかたがなくタクシーを走らせることになります。
思ってもいない展開が次々と続くので、目が離せないアクション映画となっています。主人公と殺し屋が正反対の存在として描かれているのが興味深く、けっして交じり合わないであろう二人の会話がとても深く感じられる場面が多くありました。また殺し屋を演じたトム・クルーズの華麗な動きにも目が離せません。この映画のためにイギリスの特殊空軍に銃の使い方をレクチャーしてもらい、役作りのために鍛えられた体に表現された動きは感動するほどです。人を殺すシーンなのにどこかセクシーに見えるのは彼だけではないのでしょうか。
監督:マイケル・マン
脚本: スチュアート・ビーティー
制作: マイケル・マン、ジェリー・リチャードソン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演者:トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス
■第9位 メメント
この作品は珍しい構成になっていて、最後から始まり最初に戻るのです。ある日主人公の妻が何者かに襲われ、殺されてしまいます。しかもその時主人公自身も怪我負い、その後遺症によって10分間しか記憶が保てなくなってしまったのです。カメラを使ったり、メモを残したりしながら妻を殺し犯人を見つけ出そうとしていきます。しかしいくらカメラやメモを使ってもどんどん自分の記憶と変わっていく環境に彼はついていけなくなっていきます。誰を信じていいのか、誰を疑えば正解なのかわからなくなり、10分前の自分すら信じられなくなっていくのです。
この作品の形式は面白く、まるでパズルを解いていくような感覚になる映画です。一つ一つの場面に意味があり、それをひとつのピースとして考えていかないと真実にたどり着けないような仕組みになっているのです。あまりにも入り組んでいて、複線が多いので一度見ただけでは、すべてを理解することができず、何度も何度も繰り返して見たくなるでしょう。主人公の目線だけではなく、他の登場人物の視点からも考えてみると面白いことに他の真実もわかるのです。人の記憶ほど確かでないものはないということがよくわかる作品で、自分自身を見返して本当に自分は自分の記憶どおりの自分なのかと自問自答したくなります。
監督:クリストファー・ノーラン
脚本: ジョナサン・ノーラン
制作: ジェニファー・トッド、スザンヌ・トッド
音楽:デヴィッド・ジュリアン
出演者:ガイ・ピアース、キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ
■第8位 セント・オブ・ウーマン~夢の香り~
全寮制の名門スクールに通う奨学生の青年が主人公の映画です。ある日彼はアルバイトで盲目の退役軍人の世話をすることになります。その軍人はとても人間嫌いでうまく関わっていくのは難しそうだと思っていると今度は学校の方で問題が起こってきます。校長にペンキをかけるといういたずらをしたものが現れ、犯人として彼も疑われてしまったのです。犯人を見つけなければ退学もありえる大ピンチの主人公を退役軍人は無理やり自分の旅につき合わせていきます。その中で退役軍人はこのたびの最後に死ぬつもりだと何もないように言うのです。
様々な困難が主人公に待ち受けながらも、一生懸命進んでいく姿は好感が持てるものになっています。また退役軍人もすごいです。目が見えないのに主人公の動きがわかったり、香りで女性が美人かどうかわかったりなど感覚の鋭さには見ているこちらも驚かされます。その退役軍人を演じているアル・パチーノの演技も見事で、演じるのが難しいとされている盲目のひとをみごとに演じていて、目が開いているのに見えていないように動かないようにしている演技は見ているこちらを錯覚させるほどの名演技でした。また映画内で流れるBGMもこの映画にぴったりで引き込まれます。
監督:マーティン・ブレスト
脚本: ボー・ゴールドマン
制作: マーティン・ブレスト
音楽:トーマス・ニューマン
出演者:アル・パチーノ
■第7位 気まぐれロボット
ショート・ショート小説で有名なSF作家である星新一が原作の映画です。人間嫌いな小説家の母親がある日亡くなってしまいます。ずっと身の回りのことを母に頼っていた小説家は何も自分でできません。そんな困った彼が買ってきたのは一台のロボットでした。疲れを知らず、文句も言わずテキパキと働くロボットを見て、小説家は人間よりも役に立つと大喜びしました。しかしだんだんロボットの調子が悪くなっていきます。言うことを聞く時と聞かない時が出てきて、ロボットがまるで人間のように気まぐれになっていくのです。
不思議で人の心について考えてしまう作品が多い星新一の作品のひとつであるこの話もミステリアスで不思議な雰囲気のある作品になっています。短い映画ですがその仲でも内容がぎゅっと詰まったものになっています。また古い映画ではないのですが、不思議な雰囲気をかもし出すためにモノクロの映像で流れていきます。映像の中に出てくるロボットも今風のスマートなかっこいいロボットではなく、古いブリキのおもちゃを思わせるロボットなので、近未来なのに近未来ではない不思議な雰囲気になります。人は何でもされてしまうと駄目になってしまうものなのだとこの映画を見ているとわかります。
監督:辻川幸一郎
脚本: 佐藤佐吉
原作:星新一
音楽:小山田圭吾
出演者:浅野忠信、香里奈
■第6位 太陽を盗んだ男
中学の理科の先生である主人公はある日、とてつもないことを思いつくのです。原子力爆弾を作ろうと。東海原発からプルトニウムをこっそり盗み出した主人公は家で原子力爆弾を作り出します。そしてプルトニウムのかけらを仕込んだ爆弾のダミーをなんと国会議事堂にしかけて、日本政府を脅しにかかるのです。しかし彼は原子力爆弾を作り、国会議事堂に仕掛けるところまでは考えていたが、それから何を要求するか、どうするかなどはまったく計算に入れていません。そんな主人公が最初に要求したのは「野球のナイター放送を試合が終わるまでやれ。」というおかしなものでした。
原子力爆弾によるテロという恐ろしいテーマではありますが、この映画は見ていてついつい笑ってしまうようなポイントが多くあります。滑稽な主人公の要求はもちろん、それを追う刑事の行動もコミカルでついくすっと笑ってしまうのです。無理のある設定なのになぜか見入ってしまうのは、沢田研二と菅原文太、この二人の演技力によるものが大きいのではないでしょうか。沢田研二のエキセントリックな狂人を見事に演じていて見ているほうも理解できない狂気がこの映画をうまく表現されています。菅原文太の熱血な刑事っぷりも見る価値のある演技です。
監督:長谷川和彦
脚本: 長谷川和彦、レナード・シュナイダー
制作: 山本又一朗
音楽:井上堯之
出演者:沢田研二、菅原文太、北村和夫