え、卒業率3割? 難しいと言われるアメリカの大学の卒業事情を調査!
「アメリカの大学は入学するのは簡単だが卒業するのは難しい」なんていわれます。誰が言い始めたか定かではありませんが、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。でも、これは本当のことなのでしょうか!?
■アメリカの大学は入学するのは簡単!?
まず「アメリカの大学は入学するのは簡単」ですが、これは本当のことなのでしょうか。アメリカでは、大学進学を希望する人は「SAT」という試験を受けます。SATは、Scholastic Assessment Testの略で、「大学適性試験」と訳されますが、要は普通にテストです。
SATの他に「ACT」(American College Testing Program)というテストもあって、大学進学の際には、一般的に「SAT」「ACT」どちらかを受けることが求められます。日本でいうと「共通テスト」のようなものです。まずは、この共通テストと高校での成績(GPA)が良くないといけません。
またテストの点数だけでなく、「パーソナルステートメント」という「エッセイ」でも評価されなければなりません。この「パーソナルステートメント」は自分がどんな人間か、どのような考えを持っているか、今までにどんなことをしてきたかをアピールする文書です。
他に推薦状、そして家計を証明する資料なども出さなければなりません。もちろん日本とアメリカの文化の違いもありますが、いい大学に進学するのはやっぱり難しいことだといえるのではないでしょうか。
■卒業率だけ見るとたしかに低い!
次に「卒業」です。少し古いデータですが、アメリカの大学の「卒業率」(graduation rates)のデータがあます。それによりますと、
・4年制の大学(4-year Institutions of Higher Education)の卒業率:57.2%
・2年制の大学(2-year Institutions of Higher Education)の卒業率:30.5%
となっています。また大学のタイプによって卒業率はずいぶん違います。
●4年制の大学(4-year Institutions of Higher Education)
・公立(Public)大学の卒業率:54.9%
・私立・非営利(Private not for profit)大学の卒業率:64.6%
・私立・営利(Private for profit)大学の卒業率:22%
●2年制の大学(2-year Institutions of Higher Education)
・公立(Public)大学の卒業率:22%
・私立・非営利(Private not for profit)大学の卒業率:51.4%
・私立・営利(Private for profit)大学の卒業率:59.7%
同じ4年制の大学でも「公立」と「私立・営利」では全く卒業率が違います。卒業することの困難さは大学のタイプによってもこれほどの差があるのです。
OECDが公表しているデータ(Education at a Glance)を見ますと、日本の大学の卒業率は90%を超えています(ただしこの卒業率は大学に入学して学士の資格を得てそれを完遂する割合)。このデータの中ではアメリカは「64%」。これを見る限り、アメリカの大学では、日本のように「入学した人のほとんどが無事に卒業する」とならないことは確かです。ですから数字上では卒業は難しいといえるのではないでしょうか。
⇒データ出典:「How Bad Are Our Graduation Rates?」
https://www.aei.org/publication/how-bad-are-our-graduation-rates/
⇒データ出典:「Education at a Glance 2014」
http://www.oecd.org/edu/Education-at-a-Glance-2014.pdf
(高橋モータース@dcp)