2020年03月09日 更新
初めての内見! 失敗しない部屋探しのための「チェックポイント10点」
希望の部屋がみつかれば、次はいよいよ内見タイムです。内見当日は、不動産会社の担当者と部屋の中を見に行くことができます。部屋を決める最大のイベントといっても過言ではありません。実際どんな生活空間になるのかをしっかりイメージしてお部屋の細部までチェックしたいもの。そのために、失敗しないためのチェックポイントを押さえておきましょう。
内見とは?
内見とは、借りたいと思ったお部屋の中を不動産会社が見学させてくれる制度のことです。
内見では図面や間取り図ではわからない、天井の高さや日当たり、設備、周辺環境などを見ることができます。
リアルティマート 森田さん
内見では同じ部屋を二度三度見ることは現実的に不可能なので、ポイントのチェックや、あとで見落としがないように写真を撮らせてもらうなど、一度の内見ですべて把握できるようにしておきたいですね
内見と内覧の違いは?
内見も内覧も同じ意味ですが、不動産業界では購入・契約前にお部屋を見ることを内見、引渡し前にお部屋を確認することを内覧と区別されている場合もあります。
ただ、一般的には同じ意味で使われることが多いため、あまり気にする必要はありません。
内見の時に必要なものは?
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スマートフォン
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メジャー
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図面(当日不動産会社にプリントアウトしてもらえばOK)
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ペン
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申込みに必要な書類 ※内見当日に申し込みまで考えている場合
・居住者/借主(親または20歳以上の学生)の学生証と身分証明書
・居住者/借主(親または20歳以上の学生)の住民票の写し
・居住者(親または20歳以上の学生)の印鑑(シャチハタ以外)
スマートフォンがあれば、メモをとったり写真を撮ったり、方角を確かめることができます。図面を不動産会社の方にプリントアウトしてもらい、気に入った部屋はしっかり計測しましょう。
また、内見当日に申し込みまで考えている場合は、必要書類を用意しておくとスムーズに進む場合があります。
リアルティマート 森田さん
遠方から内見に行くときは、申込みすることまで踏まえて上記書類を用意しておきましょう。さらに必要書類が不動産会社や物件により異なるケースもあるので、あらかじめその物件の取扱い会社へ事前に確認しておくと安心です。ただし、不動産会社側が貸主や保証会社への手続きが必要なため、その日に物件を決めて当日契約を締結するのは難しい場合がほとんどです
内見時のチェックポイント10点を確認
では、部屋のどこをチェックすればいいのか。以下にチェックすべきポイント10点をまとめました。なぜ必要なのかを理解し、内見時にはチェックシートなどを活用して、モレがないようしっかり確認しておきましょう。
1.駅からの実際の徒歩時間 |
・物件情報の徒歩時間よりも前後する可能性がある |
・実際に時間を測るか、Googleマップで確認 |
2.物件の立地・道路の状況 |
・道路や線路に面しているか |
・夜道の安全性 |
・内見した時間帯以外の騒音状況 |
3.階段・玄関や室内ドアの間口 |
・家具家電が搬入できるか確認するため計測しておく |
4.部屋のスペースの測定 |
・インテリアレイアウトを決めるために計測を |
5.生活導線の使い勝手を確認 |
・扉の開閉など導線がとれるか確認 |
6.洗面台・トイレ・風呂の仕切り |
・自分の生活にスタイルに合ったものを選ぼう |
7.室内の音がどこまで響くのか |
・拍手をして音の響きをチェック |
・隣室の生活音が聞こえるかの確認 |
8.窓の向きと開けたときの景色 |
・日の当たる時間帯を把握 |
・カーテンを開けて生活できるかの確認(すぐ向かいに家がないかなど) |
9.宅配ボックスの有無 |
・使う可能性がある場合はチェック |
10.セキュリティ関連設備の確認 |
・玄関のオートロック、廊下、モニター付きインターホンなど |
1. 駅からの実際の徒歩時間
物件情報に記載された徒歩時間は、普通に歩くよりも少し速めに時間が設定されています。不動産業界は、『不動産の表示に関する公正競争規約』に定められた、徒歩1分で道路の距離80m進む計算をしているためです。例えば、「駅から徒歩5分」という記載の場合、人の歩く速度はまちまちなので、わき目も振らずに歩けば5分も可能かもしれませんが、普通に歩く分には、もう1、2分多めになることがあります。また、駅の外から計測されている場合もあります。可能ならば駅の改札付近から自分のペースで歩いた時間を測るか、Googleマップなどで確認しておくといいでしょう。
2. 物件の立地・道路の状況など
意外と見落としがちなのが立地。部屋に入ってしまえばいいとも考えられますが、幹線道路や線路に面している場合は、毎日の騒音や揺れによって生活に支障をきたすケースもあります。自分が部屋にいる時間、学生の場合は夕方から夜の時間帯の騒音状況を不動産会社に聞いておくと検討材料になります。また女子学生には、夜に通るルートが狭くて暗い道ではないかも重要なポイントになってきます。
3. 階段・玄関や室内ドアの間口
2階以上の部屋のときは、冷蔵庫・洗濯機・ソファー・ベッドなどの大型家具家電が階段や玄関を通るか必ずチェックしましょう。家具・家電を購入する前なら寸法図からサイズをメモ、既に所有しているならばメジャーなどで測っておくのがベスト。当日もメジャーを持参して階段や玄関、室内ドアの横幅を測りましょう。この確認をしないと引越し当日、「階段を登れない」「部屋に入れたはいいが、室内のドアを通せない」などの問題になることがあります。内見できない場合は、不動産会社に寸法図をもらうなど事前確認をできるようにしましょう。
4. 部屋のスペースを測っておく
空室時点では、居室部分がどうしても広く見えてしまいます。ソファーやベッドを入れたらどのくらい占有されるのか。そのとき歩く幅はあるかなど、メジャーを手に部屋の使い方をイメージするといいでしょう。ほかにも大型家電じゃないから大丈夫と油断しがちなのが、キッチンや洗面台周りに置く棚です。いざ棚を入れたら上に電子レンジを置けなかったり、洗濯機の上に収まらなかったりするということがないよう居室以外のスペースも測っておくといいでしょう。テレビなどの家電製品を置く予定の場所は、近くにコンセントなどがあるかもチェックしておきたいポイントです。
5. 生活導線の使い勝手を確認
1Rや1Kは、玄関を開けたらすぐ部屋という作りも少なくありません。部屋までの間にキッチンやバス・トイレ、収納がある部屋の場合、生活導線は直線しかとれません。トイレや収納扉の開き方や向きで導線が分断されないかもチェックしたいところです。玄関と部屋の仕切りが欲しいときは、1K以上を条件に探してみるといいでしょう。
6. 洗面台・トイレ・風呂の仕切り
バブル期に流行ったデザイナーズマンションや新築のデザイナーズマンションに多いのが、洗面所内にトイレ・風呂が配置された物件。ユニットバスと違い、それぞれ個別に独立していますが、仕切りがない場合があります。見た目はカッコイイのですが、友だちが来たとき同時に使えないこともあります。自分のライフスタイルに支障がないか、見極めた上で契約しましょう。
7. 室内の音がどこまで響くのか
生活騒音は問題になりますが、意外と出している本人は気がづかないもの。チェック手段も少ないのですが、内見時にできるのは、空室状態で拍手をして音の響きを確認すること。そのほか隣室に入居者がいる場合は、数分間静かにして生活音がするか確認する方法もあります。
8. 窓の向きと開けたときの景色
部屋の窓が東西南北どちらに向いているか、ここも必ず確認しましょう。南向きだから陽当りが良いとは限らず、前に大きな建物や木があれば日陰になってしまいます。学生の場合は、昼間外出していることも多いので、陽当りはさほど気にならないと思います。では夜の景色はどうでしょう。明るい時間帯の内見でも、向かいの家の中が丸見えだったりすると互いにカーテンありきの生活になり窮屈さを感じる人も少なくありません。窓は方角と景色の2つをチェックしましょう。
9. 宅配ボックスがあるかないか
一人暮らしの学生にとって宅急便を受け取る手間は大きなものです。最近ではコンビニエンスストアで受け取ることもできますが、わざわざ手続きをして取りに行かなくてはいけません。自宅で受け取れるのが一番ですよね。そこでチェックしたいのが宅配ボックスの有無。最近では一人暮らし用のマンション・アパートでも設置されているところが増えています。暗証番号型かカードキー型かによっても使い勝手が異なるので、せっかく設備があるのに使えない! なんてことがないようにしたいですね。
10. セキュリティ関連設備の確認
セキュリティといってもエントランス・玄関のオートロック、廊下などに侵入者が入ったときの防犯センサーなど設備はさまざまです。最低限あると安心なのは、エントランスのオートロックですね。玄関のオートロックや防犯アラームなどの設備は安心ですが、家賃も相応に高くなってしまうのがネックです。最近では泥棒が入らないようにマンション全体を囲う塀や生垣を撤去しフェンスで周りからの視認性を高める措置もされているようです。あとは2階以上のときは、避難経路や降りる場所・設備も確認しておきましょう。
まとめ
細かいポイントが多いと感じるかもしれませんが、この10点を内見時にしっかりチェックしておけばいざ部屋を借りる際にも安心です。自分の条件に合う部屋かを見極めて、契約まで進めていきましょう。
監修:森田浩行
リアルティマート株式会社 代表取締役。不動産コンサルタント
大手財閥系不動産会社にて神奈川県西部(主に湘南エリア)の売買仲介を担当。売却案件に強く、相続対策や不動産活用等の案件や賃貸住宅建設・募集の企画提案の実績は600件以上。マネージャー就任後も1000件以上の案件(売買実績)に携わる。2017年に独立し現職。現在は売買全般、賃貸住居系のほか、テナントリースの案件も数多く取り扱う。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、不動産賃貸経営管理士、住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)資格を保有。
イラスト・MARIKO TANAKA
文・松田政紀(アート・サプライ)