2019年07月05日 更新

敷金はいくら返ってくる? 物件退去時にちゃんと返金してもらうコツ

物件退去時に返ってくるはずの敷金ですが、全額戻ってくるのか?一部なのか?それとも本当は戻ってこないのか、気になる人も多いかと思います。一人暮らしを始めるときに初期費用として支払った敷金は、退去後に戻ってくるとは言われているけれど、どのくらい戻るものなのかいつ戻るのか、退去後の不安解消のために確認しておきましょう。

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賃貸物件の敷金について

そもそも敷金とは?

敷金とは何のためのお金なのか、改めて確認しましょう。
長らく法律で明確に定義されていなかった敷金について、2017年成立、2020年4月より施行される民法改正で、定義とそのルールが明文化されました。

この内容を要約すると、賃料(家賃)の担保を目的として貸主に預けるお金はすべて敷金とみなすということです。家賃の未払いや、部屋の破損などが生じた場合に貸主の損害を補う保証のためのお金なのです。ですので、預けた敷金は基本的に住んでいる物件を退去後に返ってきます。
なお、西日本では敷金を保証金と呼ぶこともあります。

参照:法務省「民法(債権関係)の改正に関する説明資料-主な改正事項-」
▼敷金について詳しく知りたい人はこちら
敷金とは何? 賃貸契約前に知っておきたい初期費用のこと

敷金って払ってるんだっけ?

最初の賃貸契約は両親が進めてくれて、敷金を払ったのかあまりわかっていない人もいるでしょう。
手元に契約書があるならば、まずそれを確認しましょう。
必ず敷金や保証金といった名目での記載があるはずです。手元にない方は、両親や保護者など契約書を持っている人に確認してください。

敷金の相場は家賃1,2カ月分と言われています。敷金は賃貸契約のときの初期費用として支払っているので、敷金ゼロの物件を選ばなかった限りは支払っているでしょう。
▼敷金ゼロの物件もある。初期費用が重たい人はチェックしよう
初期費用なしは本当? ゼロゼロ物件選びの注意点
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敷金の返金について

敷金は担保を目的としたものであると説明しました。あくまで預けているお金ですので、返還されるはずのもの。では、どのように返金されるのでしょうか。

敷金が返ってくるタイミング

賃貸借が終了し賃貸物が返還されたときに、敷金は返還されなければならないと定められています。(改正民法622条の2)

退去して物件を明け渡したときが返金の時期だということですが、実際にはさまざまな精算の終了後に行われます。明確な規定はなく契約書の内容によるのですが、退去から1ヵ月後または2ヵ月以内に口座振込でされることが多いです。

しかし、敷金は無条件で全額返還されるというわけではなく、家賃の未払いや、部屋の破損があればそれらを差し引き、さらにクリーニング費用を引いた後の差額が返ってくることが多いです。

敷金が返ってこない場合の理由とは?

入居者には退去時に原状回復の義務があります。勝手にリフォームしたり、手入れ不足によってカビが広がっていたりした場合は元に戻すための費用を支払う必要があります。この費用が返金額から引かれ、返金分がゼロになるということがあります。

しかし、入居者に過失がなくても、クリーニング費用やリフォーム費用を賄うという理由で、敷金が返金されないケースもあり、入居者の過失によって必要になった原状回復では、相殺によって返金がなくなる、損傷がひどい場合には追加費用もかかります。

しかし、通常範囲の経年劣化や損耗は、本来貸主側が負担して修繕するべきものです。それでも返金されないことがある理由には、賃貸契約の中に、敷金に関する特約を加えて、これらの費用も入居者側の負担と定めていたことが挙げられます。なにかと理由をつけて敷金を返還しないことがよくあるトラブルでしたので、法改正によって今後こうしたトラブルは減っていくでしょう。

敷金を返金してもらうコツ

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退去前にお部屋を掃除しておく

引越し前には最後に大掃除をしておきましょう。たとえ手入れを怠った結果のキズや汚れではなかったのだとしても、確認時に部屋が汚れていては説得力がありません。綺麗に使用していたというアピールのためにもおすすめします。
また、ハウスクリーニング費を借主が負担するという特約を承諾していたとしても、しっかりと清掃がされているならば費用を負担せずに済むケースもあります。

負担額が正しいかガイドラインで確認しておく

原状回復の項目や負担額については、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を発表しています。また、東京都でも賃貸住宅紛争防止条例に基づいた「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を発表しています。

これらには通常の鍵の交換や台所の水回りの消毒、家具を置いていたことによる床の跡やへこみは貸主負担とするなどの具体的な区分けも記載されているので、正しい項目が請求されているのか確認してみましょう。
借主と貸主双方が納得した上で結ばれていればさまざまな特約も有効となりますが、借主へあまりに一方的な負担を強いるような契約は無効とされることもあります。

退去時の立ち会いには必ず参加する

退去時は新居への引越しと重なることもあり、立ち会いが面倒だと感じるかもしれません。ですが、どれが入居者の過失でどれがそうでなかったのかを後から証明することは難しく、トラブルになる原因にもなります。
可能な限り立ち会って、どの部分が原状回復の対象となるか、なる場合はその理由を確認しましょう。

この際に役立つのが入居時のチェックの記録です。どれが入居中に起こった変化なのかをはっきりさせるためにも、できるだけ入居したときにチェックリストを作成して共有しておきましょう。

見積もり額と精算額が違ったら指摘する

その上で、もし見積もり額と実際に精算された額が違った場合は指摘しましょう。
単に事務的なミスが起こっている可能性もあります。気持ちよく契約を終了して退去するために、不明点や疑問点は臆せず確認しておきましょう。
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まとめ

敷金は本来返還されるべきものです。しかし、それを実現するには、日頃から部屋を綺麗に使用することが大前提となります。
掃除をさぼったりはせず、正しく使っていて設備が壊れたら、その都度貸主へ連絡して対処することを忘れないようにしましょう。
監修:矢野翔一
暮らしやお金のアドバイザー
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP) 関西学院大学法学部法律学科卒。
宅地建物取引士、管理業務主任者、2級FP技能士(AFP) 関西学院大学法学部法律学科卒。 数々の保有資格を活かしながら、有限会社アローフィールド代表取締役社長として学習塾、不動産業務を手掛ける。 引越しや住宅ローンといった暮らしやお金の様々な悩みに対してアドバイスを行う。
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