2021年01月04日 更新

一人暮らし時間を豊かにするスパイス! 日本のシーズン・イベントを楽しもう「七草がゆ・鏡開き」

日本には古来より、暮らしを豊かにしてくれる多彩なシーズン・イベントがあります。2021年のスタートは、一人暮らしだからこそ楽しめる日本のトラディショナルを意識してみませんか? こむずかしいことはぬきにラフに楽しんで、ワクワクするおうち時間を満喫しちゃいましょう!

一人暮らし初心者さんもベテランさんも、おうち時間をさらに楽しくする「季節の行事」を意識して取り入れてみませんか? 日本には季節ごとにさまざまなイベントがあります。

のんびり過ごしたお正月が過ぎて、あわただしい日常に戻ったころ最初にやってくる「七草がゆ」と「鏡開き」。その由来と楽しみ方を、一人暮らしを応援し続ける河野真希さんに教えていただきました!
河野真希 家事アドバイザー・暮らしアドバイザー・料理家

自らの一人暮らし体験を元に取材や研究を重ね、2001年からWebを中心に各種メディアで暮らしに関する情報を発信。料理や家事、インテリアなど、気持ちのいい暮らしを作る、はじめるためのライフスタイル提案を行う。『料理教室つづくらす食堂』主宰。
著書に『一人暮らしの季節ごよみ 毎日が楽しくなる「プチ行事」のススメ』(祥伝社)。監修本に『世界一たのしいひとり暮らし術』(イースト・プレス)『忙しい人の人生が整う 家事の習慣』(西東社)ほか多数。

https://www.kawano-maki.net/

一人暮らしでもイベントを楽しもう!

最初は新鮮だった一人暮らしも長く続くと、毎日同じことの繰り返しになりがちです。単調な毎日にアクセントをつけるのにおすすめなのが季節や行事を意識すること。

お正月であれば玄関に注連(しめ)飾りをつけてみたり、1月7日に七草がゆを、鏡開きにお餅を食べてみたりするだけで、いつもの毎日が豊かになったように感じますよ。
河野さん

一人暮らしであれば、しきたり通り完璧にやる必要はありません。できる範囲で無理なく、季節や行事を取り入れていきましょう!

先人の知恵!「七草がゆ」でカラダの中をリセットしよう

お正月が明ける松の内にあたる1月7日は、「七草がゆ」の日。新しい年の無病息災を願い、邪気を払って元気に過ごせるよう、まずは七草がゆにチャレンジ! では、一人暮らしでも楽しめる方法は?

ビタミンたっぷり! 七草がゆは元祖ヘルシーフード

春に七草がゆを食べる風習は中国から日本に伝わり、平安時代に宮中行事として行われていたものが江戸時代に幕府の公式行事となり、一般庶民にも広まったといわれます。

秋の七草は観賞用ですが、春は食べる七草。「セリ・ナズナ・ゴギョウ(ハハコグサ)・ハコベラ(ハコベ)・ホトケノザ・スズナ(かぶ)・スズシロ(大根)」の7種類の野草・野菜が春の七草です。
河野さん

春の七草は、早春にいち早く芽吹くことから邪気を払うといわれています。その年1年の無病息災を願って、人日(じんじつ)の節句である1月7日に春の七草を使ったおかゆが食べられるようになりました。また、七草がゆを食べるのは、野菜が乏しい冬に不足しがちな栄養を摂るとともに、年末年始のごちそうで疲れた胃腸を休めるためともいわれていますよ。

手軽に「七草がゆ」にチャレンジ!

1月7日前後にスーパーに行くと、春の七草がパックされて生鮮野菜コーナーで販売されています。本格的に作るのであれば、七草を刻んでおかゆに入れると、青菜の美味しさを楽しめます。

でも、当日に買いに行くのが難しかったり、もっと手軽に七草がゆを作りたい場合は、長期間保存できて手間いらずのフリーズドライの七草がおすすめ。温めたレトルトの白がゆに混ぜたら完成です!
河野さん

ちなみに、ナズナやハコベラは日本中どこにでもよく見る雑草です。近くに原っぱや公園などあれば、探してみても楽しいかもしれませんね。

七草粥アレンジを楽しもう!

七草がゆにお好みでお醤油とラー油をちょっとたらしたり、ごま油をたらせば中華風にもなります。洋風にしたいなら、チーズやコンソメで。お米と青菜だけのシンプルな素材はどんなアレンジも自由自在。自分流の食べ方でOKです!
  • ごま油で中華風に

仕上げにごま油を少し。おかゆのベースは、かつおや昆布などの和風だしでも鶏ガラスープでもよく合います。ごま油の香ばしい香りと風味がアクセントに。
  • 鶏もも肉がホロホロになるまで煮込んで

時間に余裕があるなら、炊いたご飯ではなく生米からじっくりおかゆを作ってみては? 研いだお米1カップ(100g)、水500㏄(やわらかめがお好みなら600cc)とひとくち大に切った鶏もも肉を鍋に入れ、フタをして強火にかけます。

沸騰したらフタを取り、弱火にして時々かき混ぜながら約30~40分じっくりコトコト煮ます。最後に塩で味を整えたら完成です。
  • ガッツリ派はチーズを入れてリゾット風に

あっさり白がゆじゃ物足りない! という人には、とろけるチーズなどを使ってまったりとしたチーズリゾット風もアリ。トッピングはお肉やツナ缶などお好みで追加するのも◎

歳神様のお下がりをいただく「鏡開き」

お部屋にちょこんと飾ったプチ鏡餅。お正月気分も盛り上げてくれる鏡餅は、一人暮らしでも取り入れやすいアイテムですよね。でも、お正月を過ぎても飾りっぱなしだった! なんて経験ありませんか? そもそも鏡餅はどうして飾るの? どうやって食べるのがいいの?

1年分の幸運を持ってやって来る歳神様!

元旦には「歳神様」という新年の神様が各家庭にいらっしゃるといわれています。鏡餅は歳神様の居場所であり、その魂が宿っているとされています。一人暮らしの部屋にお供えするのであれば、パック入りの小さな鏡餅がおすすめ。

橙(だいだい)や敷き紙、三方(さんぽう)といった飾りまでついているものだと、他に何も準備する必要なく便利ですが、本物の小さな蜜柑や木製の三方を使うと、パック餅でも本格的に見えますね。
河野さん

お餅が苦手な方など、鏡餅を買っても食べきれずに困る場合は、鏡餅のオブジェを用意してみてはいかがでしょうか。ガラス製や木製、プラスチック製など、インテリアに合うものを探してみましょう。本物の鏡餅ではなくとも、新年の幸せをもたらす年神様をお迎えする気持ちを表すことができますよ。

鏡餅を食べて歳神様のご利益をいただく!

歳神様にお供えした鏡餅を鏡開きに下げて食べることで、新しい生命力を授かるといわれます。鏡開きで歳神様を見送り、お正月に一区切りつけるという意味もありました。鏡餅は飾っておしまいではなく、下げて食べることで完了! せっかくの歳神様からのご利益ですから、きちんといただいておきましょう。
河野さん

鏡開きとは、鏡餅を食べることで歳神様からの恩恵をいただき、その年1年の無病息災を願う行事です。一般的に年歳様がいらっしゃる松の内が明けた1月11日に行われ、お雑煮やおしるこ、ぜんざいやかき餅などにして食べられることが多いです。

鏡餅の簡単&美味しい食べ方

鏡開きでのお餅に必ずしも決まった食べ方はありません。簡単なのはお餅を焼いて醤油などをつけて食べる方法ですが、トースターやグリルがなくても、電子レンジ調理やフライパンで焼けます。電子レンジ(600W)なら、水をくぐらせたお餅を耐熱皿に入れ、ラップをせずに30~40秒加熱するだけ。とろけるチーズをのせて加熱しても美味しいですよ。
河野さん

フライパンで焼く場合は、薄く油をひいてお餅をのせ、4~5分柔らかくなるまで焼きます。油の代わりにバターで焼き、仕上げに醤油や砂糖をかけると、あと引く味になりますよ!

鏡餅をアレンジしよう

ちょっとしたひと手間で、鏡餅がスイーツやピザなどのおやつや、夕食の1品に大変身! もち米をついただけでできているお餅は、アイディア次第でいろんなアレンジが可能な万能素材。好きな食べ方を見つけて、鏡開きにチャレンジしてみてくださいね。
  • レンジで簡単大福もち

gettyimages (51250)

サイコロ状に切った鏡餅を耐熱皿に入れ、砂糖小さじ1と水大さじ1を加えてふんわりとラップをかけ、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱し、やわらかくなるまで混ぜます。それを3等分して片栗粉を薄くふったラップにのせてあんこを包めば完成。イチゴやミカンでフルーツ大福にしても。あんこは缶詰などの市販のものでOK!
  • 好きな具材をのせてお餅ピザ

サラダ油(オリーブオイルでもOK)をひいて温めたフライパンに薄く切った鏡餅を敷きつめ、水大さじ1をかけてフタをして蒸し焼きにします。お餅に火が通ってやわらかくなったら、ケチャップとお好みの具、ピザ用チーズをのせ、チーズが溶けたらできあがり!
  • レトルトカレーでカレー力うどん

gettyimages (51251)

切った鏡餅を焼いて、うどんにのせれば力うどんのできあがり! レトルトカレーをかけて、カレー力うどんにするのもおすすめです。

まとめ

「七草がゆ」と「鏡開き」という、古来より日本人が大切に行ってきた2つの行事。その意味や由来を知って実際にやってみると意外と簡単。だけど奥深くてオモシロイ。

今年はぜひ、季節ごとにやってくる日本のシーズン・イベントをとり入れて、自分スタイルで楽しんでみましょう。きっと、一人暮らし時間が豊かなものになるはずです!
文・京澤洋子(アート・サプライ)
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