2019年12月17日 更新

北欧の生活の知恵に学ぶ、光・色・椅子という3つの魔法

マリメッコに、イッタラ、フリッツ・ハンセン…。北欧生まれのアイテムは、なんて見る者を幸せな気持ちにさせてくれるのでしょう。デザインの源泉は、北欧の長い冬を心地よく暮らすための“心のあり方”にありました。今回はそのエッセンスから、今すぐ取り入れられる「光」「色」「椅子」についてのお話です。

北欧インテリアに興味があれば一度は見たことがあるデンマークデザインの名作家具。自然素材を使った、やさしいフォルムのデザインが世界中で愛されている背景には、家族や友人との時間、自然との共存を大切にする北欧の暮らし方があります。「北欧スタイルを楽しむコツは、生活スタイルを知ることから」と話すアクタスのプレス・関洋之さんに、北欧の生活スタイルに秘める、暮らしのヒントを教えてもらいました。

巨匠らが生んだ伝統デザインから変わりつつある「北欧スタイル」

時代を超えて長く愛されているデンマークの家具たち。美しい木目、有機的なフォルム。控えめながら存在感のあるデザインは、一時期のトレンドを超え、定番の家具として幅広い世代に支持されています。

「日本で“北欧の家具好き”と話す人の約9割は、いまだ北欧デザインの黄金期と呼ばれる1950~70年代のものをイメージしています。日本に限らず、北欧スタイルのイメージは長い間止まったまま。それほどアルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ウェグナー、ボーエ・モーエンセンといった巨匠たちが偉大過ぎたんですね」と、関さんは話します。

彼らの名声はヨーロッパだけにとどまらず、北米でもブームが起こるほどだったとか。全盛期はデンマーク国内に家具メーカーが1000以上もあったそうです。

いまではヨーロッパの美しい家具を中心に丁寧な暮らしを日本に伝えるインテリアショップとして知られるアクタスも、ルーツは当時の北欧家具にあります。前身の会社が日本に北欧輸入家具専門店を始めたのは1960年代。あまり知られていませんが、1970~1980年代には日本総代理店として日本に初めてイケアを紹介していたそうです。
北欧デザインが伝統的なイメージから脱したのは、2000年代に入ってから。

「マリメッコやイッタラもそうですが、長い間、デザインには自国のモチーフや自然から享受された模様やカラーを使うなどローカルに根付くものがテーマでした。でも、若い世代のデザイナーたちが、このままではいけないよね、と、巨匠らにオマージュをささげながら、エスニックなど海外のエッセンスを取り入れ、スカンジナビアンデザインを再編集。

伝統的なデザインのブラッシュアップに乗り出し、新しいスカンジナビアンデザインを手掛けるようになりました。それが近年人気のHAY(ヘイ)などに代表されるニュー・ノルディック系に分類されるデザインです」

北欧の人気雑貨店が日本に増え始めたことで、黄金期と呼ばれる1950-70年代のデザイン一辺倒だった北欧スタイルが持つイメージも、次第に多様性に富むようになってきました。
デザインの表現は変わっても、デザインのシンプルさや、スモーキーカラーの色合いには、昔ながらの北欧らしさが息づいています。

「光」と「色」がおおらかに融合する暮らし

「北欧の暮らし方を体現するものとして『hygge(ヒュッゲ)』というデンマーク語が日本でも使われていますが、家族や友人と過ごす時間や、自然との共存を大切にすること、太陽の光を貴重に思うこと。こうした北欧の人々の暮らしに対する考え方が、北欧スタイルの根底にあります」と関さん。

日照時間が短く、木の葉が落ちて風景がさみしくなる冬が長いからこそ、間接照明で「光」を、ファブリックで「色」を楽しむ。こうした自然を思う心がインテリアに現れているのです。

「北欧には、長く使える製品をつくるメーカーがたくさんあります。北欧インテリアに興味のあるお客さまには、こうした製品の魅力はもちろんですが、北欧の人々が大切にする生活スタイルも知ってもらいたいですね」

さまざまな照明を使い分け、朝と夜を「光」で楽しむ

照明の使い方にも、冬が長い北欧ならではの生活の知恵が生きています。朝は室内をしっかりと明るく照らし、夜になったら気持ちを静めるために照明の光を落とす。自分の生活リズムや暮らし方、気持ちに合わせて「光」を上手に取り入れていきます。

日本のスタイルは一個の照明で部屋全体を同じ明るさで均質に照らす「一室一灯」が一般的。でも北欧では、多灯使いが基本です。ペンダントライトやフロアランプ、テーブルランプなどいくつかの照明を用います。

「一人暮らしならフロアランプから取り入れて。もしソファがなくベッドだけなら、テーブルランプをベッドサイドに一つ置いて、寝る前はその照明だけを使う時間をつくると、ゆったりした時間が楽しめますよ」

ファブリックも衣替えし、空間の「色」で四季を感じる

「光」を用いて空間に明るさを取り入れるように、「色」を用いて四季の豊かさを室内で楽しむのも北欧の生活スタイル。

「日本では一年中、同じカーテンを使う人が大半ですが、北欧では次の季節を迎える準備としてカーテンや、クッションカバーなどのファブリックも替えます。はじめはクッションなど小物で色を取り入れて、慣れてきたらラグやカーテンも試してくださいね」

春が近づくと芽吹きのイメージ、冬が近づくと温かみのある色など、自分が心地よいと思う色を取り入れましょう。

ストーリーのある椅子1脚を、暮らしのパートナーに

「光」と「色」の効果で室内の快適さが増すと、より心地よさを追求したくなります。そこで、いよいよ椅子の登場です。

北欧家具は丸みを帯びた有機的なデザインが魅力といわれていますが、なかでも椅子はとりわけ象徴的。デザインがとんがっていないので、飽きることなく長く使い続けることができます。

どういった椅子があるか調べていくうちに、好きなデザインの塗装の色違いや布貼りタイプに出合うこともあります。また、デザイナーではなく、職人が手掛ける椅子のデザインを見比べるのもおもしろい。

「最初はネットで検索するのもいいですが、椅子は家具のなかで一番人間の身体に近いものなので、最終的には実物を見て触って、座ってみてください。アクタスにも、こうしてじっくり探しながら、椅子を1脚ずつ集めていくというスタッフが結構います。インスピレーションを感じたら、その椅子が持つ背景を調べてみる。つくられた年代やデザイナーやメーカー、どういった想いが込められたデザインなのか、など。見た目や値段だけでなく、いいなと思ったもののストーリーを探って、そのストーリーに共感できたものを手に入れてほしいですね」

ライフステージで家族の人数が変わっても、一生使い続けることができる椅子。たとえ使わなくなっても、お気に入りのデザインならディスプレイスペースやベッドサイドに置いて、眺めるだけでうれしいもの。一人暮らしの空間だからこそ、ストーリーのある椅子がより愛らしいパートナーになってくれそうですね。

まとめ

毎日を忙しく過ごしていると、空を見上げたり、景色の移ろいを感じたりする時間もなく、気が付けばまた季節が変わっていた、なんてことも。冬本番を迎える前、心地よく暮らすための北欧生活のエッセンスをぜひ試してみてくださいね。
<取材協力・画像提供>
株式会社アクタス プレス 関 洋之さん

アクタス新宿店
東京都新宿区新宿2-19-1BYGSビル 1・2F
TEL 03-3350-6011
11:00~20:00営業、不定休
https://www.actus-interior.com/

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