『まだ結婚できない男』の主人公桑野の部屋に学ぶ一人暮らしの部屋

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ドラマの部屋を作っている方にお話をうかがい、一人暮らしの部屋を素敵に演出するコツを教えていただく企画第三回は、ドラマ「まだ結婚できない男」の主人公・桑野信介(阿部寛さん)が過ごす、都内のマンションの1室にうかがいました。桑野は建築家なので、部屋のいろいろなところにこだわりが見られます。そんな部屋を見ながら、自分でも真似できそうなところを見つけてみましょう。

13年後、桑野の部屋に変化は?

カンテレ・フジテレビ系列で10月8日からスタートするドラマ「まだ結婚できない男」(火曜夜9時)。実はこれ、13年前に放映された「結婚できない男」の続編なんです。

13年前、阿部寛さん演じた桑野信介は40歳独身の建築家。ちょっと偏屈で「結婚なんてメリットがない!」と独身生活を謳歌していましたが、腹痛を起こして運ばれた病院の夏川結衣さん演じる女医・早坂夏美といい感じになり……。2枚目俳優の阿部さんが、皮肉屋で偏屈な結婚できない男を演じ、そのギャップが面白いと話題になったドラマでした。

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そして13年後、やっぱりというか、残念ながらというか“まだ結婚できない男”としてドラマに帰ってきてくれました。

ドラマに登場するのは、桑野が1日の大部分を過ごすリビングダイニングルーム。扉を開けて入ると、手前右手にクラシック好きな桑野が音楽を聴くミュージックエリアがあります。大音量でCDを聞くため、お隣と揉める原因になりました。

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この優雅で座り心地のよさそうなチェアに座り、音楽に合わせて指揮棒を振って指揮者の真似をする桑野の姿が印象的だったのですが、その姿は続編でもきっと見られるはず。

このミュージックエリアの奥には、PCが置かれたデスクのあるワーキングエリア。右手には本棚があって、建築関係の本が並んでいました。上段の右端にある本には『ローマと日本をつなぐ風呂の文化』というタイトルが。これって、まさか阿部さん主演のあの映画のこと?と思いましたが、どうなんでしょうか……。

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今回お話をうかがったのは、美術を担当されているTACreateの吉野雅弘さんとテレフィットの坂東一城さんです。部屋にある電化製品は13年の時を経ていますから、その間に新製品も出ているので、同じ物ではないとのこと。その他の家具に関しては、桑野がこだわりを持って選んだ物のはずなので、なるべく同じ物をということで探したのだそう。当時は続編があるとは決まっていませんから、家具をキープしておくわけにはいかないので、苦労されたのではないかと思います。
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そんな風にして前回を再現した家具の中でも目立っているのは、20世紀を代表する著名な建築家フランク・ロイド・ライトによるフロアライト「TALIESIN2」。桑野も建築家ですから、こういうデザイン性の高い照明がさりげなく置いてあっても違和感ないですね。となりのサイドテーブル上のランプも、個性的で目を引きます。

「桑野さんのリビングダイニングルームには、このふたつのライトに加えて、もうひとつ間接照明があるのですが、これがひとつあると部屋のイメージがだいぶ変わります。雰囲気が出ると言ったらいいでしょうか。天井にきちんとした照明があっても、ひとつでもいいので、間接照明を部屋におくといいですよ」(吉野さん)

さすがに「TALIESIN2」は高額で手が出なくても、お手頃価格の間接照明は、いろいろありますね。いつも自分が過ごす場所の横にでも、置いてみたくなりました。

余計なものはおかない。シンプルながら重厚感のある部屋に

桑野は食にも並ならぬこだわりがありました。前回のドラマの第1回では、ステーキを焼いて美味しそうに味わう姿が印象的。そんな桑野の部屋の手前右は一人暮らしとは思えないような立派なアイランドキッチン。その奥がダイニングテーブルです。ここを独り占めして、美味しそうな料理を作っては堪能する……まさに独身生活満喫ですね。
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「前作の部屋のデザインをした人に直接聞いたわけではありませんが、家具は阿部さんのイメージに合わせて全体的に重厚感のあるどっしりとしたもので揃えたんだと思います。そして今回も、桑野さんの性格も考えて、余計なものは置かないように。そしてシンプルだけれども、デザイン性のある物というコンセプトで探しました」(坂東さん)
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今回部屋を見せていただいたとき、あ!これは!と思ったのが、このスマートスピーカーです。桑野らしさはそのままに、最新のトレンド要素を押さえたアイテム。ドラマでは「ミスター・スポック」と名付けられ、桑野は彼(?)に照明の調節をさせたり、聴く音楽の選曲をさせたりしています。

「これは、既製品を使うわけにはいかないので、市販のスピーカーを使って作っています。側面が光るようになっているのは、中にLEDを仕込んであるからです。このように、市販されているものが使えない場合は、自作することは多いですね」(吉野さん)

赤い光がぼーっと点滅するのは、なんだか生きているみたいでかわいらしく、愛嬌も感じられます。ドラマが始まったら話題になりそう。

部屋は好きなものを中心に考える

最後に、ドラマのセットを作る立場から、坂東さん、吉野さんに部屋づくりのコツをうかがってみました。

「桑野さんは、音楽が好きですよね。だから、CDもたくさん持っています。特に男性は、そんな趣味のものをコレクションする人が多いんですが、まずCDならCD、フィギュアならフィギュアがきちんと納まるものということで家具を考えていくといいと思います。あ、この棚いいなとか、器から考えるのではなく」(坂東さん)

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確かに、私たちは、まずお気に入りの家具を置いて、それから中に入れるものを考えがち。なので、このアイディアは目からうろこですね。

「家具が好きな人は多いので、この椅子を置きたいということで考えてもいいとは思います。その場合は、桑野さんの部屋もそうなんですが、部屋の中で一番目立つのはソファです。だったら、まずソファを置いてみて、その色味に合うものをということで、他の家具を考えていくと、すっきりとした部屋になると思います」(吉野さん)

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13年前と基本的に部屋の構造は同じとうかがいました。でも、スマートスピーカーがあったり、キッチン回りにも若干変化が。この部屋で桑野はどういった生活を見せてくれるのでしょうか? そして、この金魚、前回のドラマの最終回では1匹から2匹に増えていて、桑野の恋の行方を暗示させていましたが、今回はどうなのでしょうか? やっぱり結婚できないままなのか。それとも新しい恋が? ドラマの行方に注目です。

ドラマ まだ結婚できない男

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10月8日(火)スタート カンテレ/フジテレビ系列 毎週火曜夜9時
出演:阿部寛、吉田羊 ほか
脚本:尾崎将也

偏屈×独善的×皮肉屋の建築家・桑野信介が令和になってさらに進化!? 人生100年時代と言われるこのご時世で、53歳になった桑野は偏屈さに一層磨きがかかり、相変わらず独り身を謳歌する日々。しかし、ひょんなことから出会った女性達との間で、回り始める運命の歯車。果たして今度こそ人生のパートナーを見つけることができるのか?

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