一人暮らしの部屋をおしゃれで落ち着きのあるアンティークなお部屋にコーディネートしてみましょう。本物のアンティークをワンポイントにしたり、比較的リーズナブルなアンティーク調で統一するなど、コーディネートのコツやポイントをインテリアコーディネーターのMAKOさんに教えていただきました。
古い洋館にあるような優雅で上品なアンティークなお部屋にするヒントやポイントを紹介します。アンティークはお高そうで敷居が高い……と思いがちですが、ポイントをおさえたちょっとした工夫で素敵なアンティーク調のお部屋が楽しめます。
via (株)ラフスタイル代表取締役・インテリアコーディネーター
アンティークインテリアって?
そもそも「アンティーク(Antique)」とは、フランス語で「骨董品」を意味する言葉です。作られてから100年以上経過した美術品や工芸品のほか、家具などをアンティークと呼びます。
MAKOさん
アンティークインテリアとは、アンティークな家具や内装をインテリアコーディネートに取り入れることをいいます。しかし現在は、アンティーク調(実際には新しいが、古い年代物に見せたもの)の家具やDIYで家具をアンティーク調に加工したものを取入れ、全体をコーディネートしている場合もあります。
また、家具をはじめとしたインテリアのスタイルやテイストにもいくつかの種類があります。
英国アンティーク
オークやマホガニーなどの無垢素材の木製家具を主としたインテリアが特徴のイギリス発祥のアンティーク。素材の風合いを生かした上品なデザインが多いです。
フレンチアンティーク
フランス発祥のアンティーク様式で、パステルカラーや白などの明るい色を組み合わせたおしゃれでエレガントな雰囲気が特徴。装飾的な家具が多く、優美で気品あるお部屋が演出できます。
ヴィンテージ
デニムなどにも使われる「ヴィンテージ(Vintage)」は、おおむね100年に満たないものを指し、年数を経ることで味が出た質の良い一級品の家具やインテリアを指します。アンティークよりもシンプルでモダンな雰囲気の家具が多いのが特徴。
インダストリアル
向上や産業という意味を持つ「インダストリアル(Industrial)」は、ちょっと雑に使い込まれた、ダメージ感のある風合いのものを指します。無機質な金属素材にレザーや木材などといった異素材を組み合わせたものも。
以上の4つが大きく分類したアンティークのおもなスタイルやテイストですが、ほかにも「レトロ」と呼ばれるジャンルもあります。レトロとは「古い、懐古趣味」といった意味で、作られてからの年数は関係なく、古く見えるものなどを指します。昭和時代の家電やインテリアなど、「昭和レトロ」も人気です。
アンティークインテリアのコーディネート実例
一人暮らしのワンルームでも、憧れのアンティークインテリアで素敵なお部屋を楽しむコーディネート実例を紹介します。
アンティーク調のデザインを選ぶ
アンティークインテリアのいちばんの特徴として「デコラティブ」なことがあげられます。カーブがかった猫脚がついたエレガントなソファや椅子、テーブルなどはアンティーク家具の代表ともいえるものです。
また、背の部分にボタン留めなどの装飾的なデザインが施されたソファなどもお部屋を一気にアンティーク調にしてくれるアイテムです。
白を基調としたフレンチアンティーク調のコーディネートでは、猫脚のテーブルと椅子がお部屋を優雅で上品な雰囲気にしてくれます。
MAKOさん
アンティーク調のインテリアは基本的に、脚部分が長く装飾がついていてデザインが豊富なのが特徴です。また、家具に植物のモチーフや唐草模様などの彫りデザインが施されているなど、エレガントさが演出されているものも多いですね。
色合いを考えよう
古い家具の特徴ともいえる経年変化による色合いで、どうしてもブラウン系が多い印象のアンティーク調コーディネート。狭いワンルームの部屋でも上手にまとめるには、インテリアの色味をそろえることがポイントです。
ブラウンを基調に、締め色に白を効かせたアンティークなお部屋。オーガンジーのような透け感のあるカーテンなどのファブリック使いで重厚感を和らげていますね。
MAKOさん
ブラウン系が多いアンティーク家具は、コーディネートの際に締める色をプラスするなど、単調な雰囲気を外すと上手にまとめやすくなります。デザインが違う家具の場合は、色味が似ているものを合わせるとよいでしょう。家具のサイズが大きいものは、白など明るい色味の家具を用いるとボリュームダウン感があり、視覚的にサイズ感の調整が可能です。
アンティーク風に加工する
木製の家具や小物は、アンティーク風に自分で加工することができます。ペイントするだけで簡単に使い込まれたような風合いになる塗料が市販されています。
黒ずんだような汚し加工ができる「アンティークメディウム」や、ひび割れ加工ができる「クラッキングメディウム」、塗るだけでくすんだマットな仕上がりになる「バターミルクペイント」や「ミルクペイント」という塗料がそれ。ホームセンターなどで買うことができます。
MAKOさん
使い込んだアンティーク感を演出するには、塗装したあとにひび割れや汚れ工やエイジング加工を行う専用の塗料を使用すると簡単です。色をのせるもの(ベースとなる家具や小物)がきちんと色がのるかを事前確認してから行うようにしましょう。
初心者にもおすすめのアンティーク調インテリア
監修の小島さんおすすめのアンティーク雑貨と家具各5選を紹介。1920~60年代のイギリスやフランスなどのアンティークのほか、比較的購入しやすいアンティーク風に作られたインテリアをセレクトいただきました。
ポイント使いで楽しむアンティーク雑貨5選
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繊細で美しい装飾に魅了
1940年代のイギリスのシルバープレート。存在感のある大きさのトレイは、テーブル代わりにも。お休みの日のブランチも優雅な気分で楽しめそう。
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テーブルを華やかに演出
もともとは焼いたホールケーキをまるまる1台飾るためのケーキスタンド。テーブルコーディネートの中心として花を添えるセンターピースとして使われていました。1940~50年代、イギリス。
MAKOさん
テーブル上に花を置いたり、アクセサリースタンドとして使用したり、ブレッドやアミューズを置いたり、玄関にフレグランスやキー置き場として利用したりと、さまざまな使い方が楽しめるアンティークインテリアです。
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オシャレな収納アイテム
1960年代のイギリスの主婦が使っていたお買い物かご。シンプルでかわいいデザインのヴィンテージのかごは、英国アンティークはもちろん、どんなお部屋にもマッチ。
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レース編みの1点もの
フランスのアンティークマーケットで買い付けた1点もの。アンティークならではのパターンが美しいマルチカバーです。
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ハーブの押し花の額絵
アンティーク風の額に入った本物のハーブのドライフラワー。壁にかけたり、床に置いたりしても雰囲気のあるお部屋づくりのポイントになります。
シンプルであわせやすい入門編アンティーク調家具5選
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上質でシンプルな小テーブル
すっきりしたデザインの上品なマホガニー素材の1920年代にイギリスで作られたオケージョナルテーブル。「オケージョナル」とは「便利に使える」という意味で、どこに置いてもサマになるアンティークらしさ溢れるテーブルです。
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オシャレなレセプションスタンド
「レセプション」とは、「受付」のこと。海外のホテルなどで活躍していた本物のレセプションスタンド。装飾的なアイアンの脚がゴージャスな雰囲気です。1930年代、イギリス。
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アンティーク風家具の花台
ツイストのラインが美しい3段のアンティーク風プランツスタンドですが、お花やグリーンだけでなく自分流に好きなものをディスプレイして楽しめます。
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アンティーク風ラタンテーブル
ラタンで丁寧に編み込まれたアンティーク風サイドテーブルは、便利なマガジンラック付きです。どんなお部屋にもマッチするナチュラルな風合いも魅力です。
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オシャレなロイドルームチェア
丸い背もたれがかわいいデザイン性のあるロイドルームチェアです。ロイドルームは、1917年にラタン(籐)に代わる画期的な家具として誕生。どんな部屋にもマッチするやさしい風合いの椅子です。
インテリアをアンティーク風にコーディネートするには
最後にコーディネートするうえで注意したい点を小島さんに伺ったところ、「現代家具とあわせてコーディネートするときは、デザインの違うものを近くに並べるとちぐはぐに見える場合があるので、距離をおいての配置に」とのことです。
本物のアンティークだけでなく、アンティーク調の家具やDIYも取り入れながら、自分好みのアンティークなお部屋づくりを楽しみましょう。
文・京澤洋子(アート・サプライ)
https://www.laugh-style.jp/